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一般人だけど世界滅ぼしたので世界作ります  作者: 超蔟
第十三節 加速
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こけおどし

「はぁ……いやいや、ごめんね?」


 呼吸が落ち着いた彼女は涙をぬぐいつつあたらめて深呼吸をする。

 さすがにそこまで笑うことはないんじゃないかと思いつつ話をすすめる。


「……何かわかったのかね」

「あぁ、そりゃもちろん。というかたぶん君らも知ったら驚くよ?」

「ほう?」


 再び深呼吸。

 そして次にジュノーが言った答えは確かに二人を驚かせるに値した。


「答えはやっぱり君は強くなったわけではない、ってことさ」

「ん?それはどういう……」

「見掛け倒しだったってわけさ!ハハハッ、いやぁびっくりだね!余りにも外見と中身が違いすぎて……いやぁ傑作だ!なんたって、これで相手は引いたんだろう?」


 見掛け倒し、と聞いてアイヴィスと思わず目を見合わせた。

 当人にはそのつもりは全くなかったからだ。

 心外だ、とも思う部分もあれば、そんなまさか、という部分もある。


「……本当に見掛け倒しなのか?」

「あぁ、本当さ。まぁただ……創造主が思っているのとはちょっと違うかな?」

「違うのか?見掛け倒しと言えば張り子みたいなものだろう?」

「ははっ、確かにそうだね。撃つ側は確かに張り子だったんだよ。ただ受ける側がそれを中身があると誤認した。これが一番大きいのさ。視覚情報として大層な物として受け入れてしまえばあの場で受けてであったアウラ様にはそれが本当に大層な物として襲い掛かる。つまり、中身は一切変わってないんだよ。アイヴィスはそもそも傷ついていた分力は衰えていた。せいぜいこれはプラスマイナスゼロがいいところさ。それなのにアウラ様はそれを大層な物として受け取ってしまったからこそ、大変なものとして作用したし、退却を選択するほどのものになった。まぁその前にすでに彼女が強くなったと思って視覚情報を送り出してるからその時点でも同じように作用してるかもね?それこそ送り手が意図しないような結果をもたらす程には……かな?」


 ふむ、そういうことか。

 しかしここから得られることとして一つ大事なことがある。

 見かけも思い込みもかなり効果的、ということだ。

 硬そうに見える物は実際よりも硬くなってしまうし、逆に本物よりも過剰に危険だと思えば本当に危ないものとして降りかかってくるだろう。


 そんなことを考えてると見透かしたようにしてジュノーはほほ笑んだ。


「まぁ僕らに限ったことじゃないけど根底には『そもそも【守護者】は守護できないはずがない』みたいなものがあるから効果が常に発揮されるわけじゃないよ?」

「……なんだ、そうなのか?」

「当然さ、そしたらだれもかれもがこぞって幻覚を使って陥れるじゃないか。使ってないのがそれを証明しているよ。何より互いにそれは不毛な戦いになるからね。全員がすぐに破られる壁とすぐに破れる矛を併せ持ってても世界は守れないんだよ」


 と言って男の近場から離れてくるりと舞い始めた時だ、アイヴィスが声を上げた。


「できたやえ!」

「え?」


 思わず振り向いたジュノー、自分もそれにつられてアイヴィスの方をみる。

 彼女はどうやらようやく鎧が全身に纏えたらしい、大喜びで回っている。

 しかし、次に聞こえてきたのはジュノーの息を飲んだ音と慌てふためいた悲鳴にもとれる声だった。


「な、なにをやっているんだ!は、早く解除して!急いで!」

「やえ?」

「そのままでは君の依り代がこちらに来てしまうんだよ!」

「やえ?!」


 とんでもないことをしてくれたと口走るジュノーはそのまま大急ぎでアイヴィスの纏った鎧を強制的に剥いだ。

 しかし時すでに遅く、わずかに巨大な船体がうっすらとそこに見え始めた。


「あぁ!言わんこっちゃない!」


 その後もジュノーとアイヴィスの二人でおろおろと慌てる。

 どうも彼女たちの権限では実際に存在を動かすことは難しいようだ……はて、どうしたものか、おそらくこれは私がどうにかせねばならないらしい。

 しかしこいつがどこにあるかも知らないし戻そうにも……あぁ来なかったことにでもしておこうか。


「……過程と結果を無視する」

「へ?」

「やぇ?」


 二人がふ抜けた顔でこちらに目をやったのが少々面白おかしく見えたが、今ここでクスリと着てしまうと集中が途切れてどこまで無視すればいいのかわからなくなってしまうのでこらえた。


「こほんっ、私がいるんだからこうすればいいんだろう?」

「そ、そうだね……突然言い出したもんだから何かと思ったよ……」

「やぇ……申し訳ないやぇ……」


 次第にうっすらと見えていたアイヴィスの船体が消えていく。

 少なくともこれで今あの船体はこちらに来なかったことになり、問題は片付くはずだ。

 そして消えた物が再び船体がこちらに現れることはなく、アイヴィスも再び鎧を纏おうなんて思うこともなかった。


「これが『よく考えろ』と言っていた意味か……依代、ねぇ……」

「そうみたいやぇ……力で無理やり引き出そうなんて思うのはやめるんやぇ」

「……そもそもどうにかすれば呼べる様な物じゃ無いはずなんだけどな。特に君程度じゃ尚更、ね」


 三者三様、それぞれ浮かび上がった疑問と悩みに黙り込む。

ここ数日投稿を逃しましたね。多忙で立て込んでしまうので何卒気長にお付き合い願います。

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