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一般人だけど世界滅ぼしたので世界作ります  作者: 超蔟
第十三節 加速
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神の駒

 こちらに向かってくるのはトールであった。


「創造主様!事の最中に水を刺すようで申し訳ございませんが緊急時でございます!」

「なんだ?神様の件なら直々に宣戦布告されたぞ」

「なっ……な、なら話は簡単でございます。もう片方の世界が改変されました。マキナ様の尽力も虚しく……ほぼ乗っ取られた形に……【守護者】ながら至らず、申し訳ございません」


 頭を深々と下げ、なかなかあげる様子を見せない。

 流石にアウラ相手には彼らでもどうにもならないだろうに、自分の方が申し訳ない程だ。


「いや、謝るな。こうなっては仕方ない、私も宣戦布告はそのまま受け取った。来るべき時に備えろ」

「……かしこまりました」

「指示は追って加える。各【守護者】にもそう伝えてくれ」


 そうしてトールを研究室へと下げる。

 まさか世界を片面掌握するとは思わなかった、これが創造主同士のやり方か。

 幸いにも隣にいる彼女にこの自体の真意を問いかける。

 その彼女の笑顔はどこへやら、眉をひそめ不安そのものだ。


「ジュノー、君の経験ではこれはどういう意味を指す?世界の一部を陣取って何をしているのだい?」

「大抵はこういう策なら向こうでこちらの世界に適した軍を揃えるか……住人を利用するよ。創造主が世界の意思を変えるのは容易いからね」

「住人を使うのは意味があるのか?」

「もちろん、世界が乱れる。安定を失わせ崩壊へと導ける」


 世界を掌握するのもなかなかに許し難いが何よりも作品を利用して作品を汚すのは何よりも許せない、微かに怒りがこみ上げる。


「それとこちらに適した軍か……それなら【守護者】をどうにか自衛できるようにして新たに討伐向けの者共を用意する、ぐらいか……」


 ……自分だけでなく【守護者】も自衛させるための手段を考えなくてはならない。

 評価はジュノーがしてくれる分希望があるか。


「どうやって自衛させるんだい?ものによっては創造主が思っている以上に脆いよ?」

「君が判断してくれればいい、それだけで多少マシにはなる……が君はどうやって守っているんだ?」

「ん?僕は……前はこんな瞳じゃなくて蒼い絶対不変の瞳だったからそれで……」


 とんでもない名前が出てきた。

 絶対不変?そんなものがあればほぼ解決じゃないか。

 やや興奮気味に聞き返す。


「な、絶対不変?一体どういう代物なんだ」

「決まった方法でしか解除出来ない物でね。それ以外の方法に対しては中の仕組みが相互に互いを守り続け、瞳のバックアップが常に自分を更新し続ける……そんな瞳。ただ……相手は僕を創った以上解除方法も知っているとおもうよ」

「そうか……残念だ」


 あまりに喉から手が出るような話だったので肩を落とす。

 それを見てジュノーも肩を竦めて苦笑した。


「似たようなものなら何とかなるかもしれないけど……まぁ感づくと思うよ」

「そもそも解除方法が必要な理由はなんだね?」

「ん?作る時にどうしても出来てしまうのさ。こればかりは、ね」


 このまま……となると微妙な防衛方法しか持たないままになってしまう、それは避けたい。

 ならば捨てても壊れても乗っ取られても平気なものを運用すればいい、となるのだが……


「……現状の【守護者】は使わない方がいいのか?」

「創造主のトールが有事の際代役としてなんでも出来るなら彼らを動員しても大丈夫じゃないかな。彼らは彼らなりに考えるからね。ここで出なかったことを考えてくれる時だってあるさ」


 彼女の言葉を信じてみよう。

 創造主の駒となってもらう訳だ、世界を守護する役目は果たしてもらわねばなるまい。

 するとジュノーは立ち上がり翼を開いた。


「攻撃能力は僕のをコピーして流用するところから始めよう。いくら僕のことを知っていてもある程度は通用するさ」

「どうやって彼らに引き渡すんだ?私ですら何処にいるか把握してないんだぞ?」


 その発言にジュノーきょとんと拍子抜けした顔をして言う。


「何を言ってるんだい?創造主なんだから彼らの記憶に加算して持たせればいいんだ。今から渡すものをすべて彼らの存在に付け足せばいい」

「……なるほどな。で、どれだね」


 手渡しで渡されるものを解析、フィードバックかと思い、ジュノーに手を差し出した。

 しかしジュノーは何も渡さずと男の顔へと手を伸ばし始めた。


「っ、ちょっと失礼」

「なっ……」


 額が重なる。

 液体のように膨大な情報が流し込まれていく。


 目の前で私に情報を送り、目を瞑っている彼女は見とれるほど美しく、まさに女神であった。

 アウラは文化に触れたことがなかったと言っている割にはかなり綺麗に創造してきたことが感じられた。


 と、そんなことを思っていれば彼女がこちらの視線に気がつき目を開ける。


「んっ……なんだい?」

「あ、あぁいや、すまない。邪魔したか」

「量が多いんだ。案外恥ずかしいから出来れば見ないでもらえると……」


 ほのかに赤らめつつ視線を逸らしながら訴える。

 流石にこう言われては目を瞑らざる得ない。

 流れ込む情報に意識を傾けながら男は視覚を断ち切った。


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