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一般人だけど世界滅ぼしたので世界作ります  作者: 超蔟
第十二節 歪み
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答え合わせ

 にこやかにしている彼女と再び宙に浮いた椅子を生み出し、それに座って話し始める。

 所謂反省会、そして先ほど彼女の言っていた答え合わせだ。


「さて……そうだね、何から解説すればいいかな?」

「……できればわかりやすいのから頼む」

「んー……僕にとってはどれも同じぐらいだけど……じゃあ最後のから説明しようか」


 最後の、と言えば男が下手すれば取り込まれていた奴だ。

 男の駒をやすやすと無力化、吸収してみせ、背中から不思議な手を伸ばすあの行動は確かに彼女が何者なのかという疑問を強くするものでもあった。

 如何に説明した物かと考えたのち流れがまとまったようでジュノーはゆっくりと説明を始めた。


「あれは本当に単純で『吸収』と僕は呼んでいるよ。さすがに危ないからここでもう一度やるわけにはいかないからさすがに見せられないけどね。あれは相手が自分の情報を書き換えられない場合なら使える手段の一つで単純に相手をそのまま己の一部として置換できるの」

「ん……?それならどうして私は吸われたんだ?私は君の情報を書き換えられるだろう?」


 そうだ、現にあの時私はつかまれて引きずり込まれた。

 わざわざジュノーが自分で自分からでた手を切り落としてまで止めたのだから私を取り込んでいれば吸収されたのではなかろうか?


「あぁ、それはね。使える手段って言ったけど、身体の中に異物を取り込むわけで……自分より強い物を取り込んでしまえばどうなるかわからない……いや、おそらく逆に内側から変えられて取り込まれる……だろうね」

「……むしろ危ないのは私ではなくて君だった、と?」

「たはは……そうだね。あの時は僕の方が危なかった」


 苦笑いを交えつつ先の件の説明を加えていく。

 現場では実は危なかったのをそう思わせないのもまた一つの経験の差なのかもしれない。


「……そうだね。これについてはこんなものかな。じゃあ次は……これかな?」

「ああ、それだ、その剣だ。全くカラクリがわからないんだが……」


 ジュノーは懐に手を突っ込み例の刀身の無い剣を取り出す。

 複製時は刀身が現れ、さらに私の光弾を幾度となく弾いたり墜とした剣だ。


「これは僕が色々と吸収した際に出てきた残り物を纏めで出来た剣さ」

「残り物?」

「そう、残り物。記憶が抜かれてしまったのもあるみたいだけど少なくとも感じからして十本は纏めてあるよ」

「……どうしてそんなことを?」


 よくよく考えてみれば彼女はそんなことをしなくても十二分に強い。

 わざわざ自分より弱かった者の物を使う理由はないはずだ。


「どうして、って言われてもそれが僕より強かったからさ。吸収出来ないほど、ね」

「これ以外は吸収したと?」

「もちろん。持ち主は強くないからね」


 持ち主は強くない、でも一部だけ彼女より強いとこうするわけか。

 しかし気になるとすればなぜ持ち主も強くできたであろうにそうなってないのか?である。


「持ち主はどうして強くないんだ?そこまでの攻撃性を持つものが作れるならその持ち主だって相当な強さに出来るだろう?」

「ん?あぁそれは単純さ。直ぐに用意した兵たちを簡単に強くするなら装備品を良くすればいいでしょう?それになにも持ってたのが【守護者】じゃなくその世界の住人の場合もある。これはそういう物さ」


 そう言うと「これなんか特にそう」と何やら小石のようなものを取り出した。

 その小石は岩石質のもののなかにガラスが斑点模様に石に混ざっており、ガラス部分は光をよく反射している。


「これは?」

「んー自爆石って僕は呼んでるよ。持ち主と共に存在が消えると創造主クラスの権限でそこら一帯を消去する代物」

「は?!」


 こんな代物でもジュノーは笑いながら「まぁ危ないから……」と軽い調子でそのまま懐に戻す。


「ね?取り込んだら不味いものをこうして分けておいて必要なら使うのさ。この剣もそういうものの一つ」

「……覚えてるものだけでも聞いても?」

「あぁ、もちろん。まず物事の状態を書き換える『変状剣』、存在を固定し、不変とする『存在剣』、理を影に保管する『ポイント・シャドウ』、物事の今を奪う『奪刀』、予知を見せる『神剣予知夢』、遠近を無視する『無限の太刀』……あとは……記憶ごともってかれちゃったかな」


 やたらとそれっぽい名前……はともかくやけに命名に規則が感じられない。


「その名前は……?」

「前の持ち主がそう言ってたからね。名前は形を成すともいうからそのままそう呼んでるよ。変質されても困るし」


 男は名前を変えれば変質する、という情報に驚く。


「変わるのか?」

「本来は変わらないように作るんだけど、稀にそういった対策をしてないのがあったりするよ。その時は認知を変えて安全なものにしたりするんだ」


 対策があるのか、残念だ。

 と言うよりもむしろ基本的な防御として自分が気をつけるべきものらしい。


「じゃあむしろ今その手にあるものは変わらない……か」

「そうだね。だからさっき僕が取り込んだのとかは特に今度はそうするべきかな」

「そう言われてもどうしたらいいんだ……?」


 認知を変えさせない、言うのは簡単だが全く検討がつかない。

 私が「これはこうだ」と言い聞かせた所で……と思ってしまう。

 それに対してジュノーは笑いながら答えてくれた。


「簡単さ、自己を持たせて持ち主と当人が互いに認識し続ければいい。認識する人が多ければ多いほど強くなるしね」

「……つまりその剣は……?」

「もちろん自己を持っているさ。喋ったりはしないけどね」


 人の理解を超えることは案外たやすく行われているのかもしれない。

 そんなことを考えてる所に急ぎ足で訪ねてくる人の姿があった。


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