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一般人だけど世界滅ぼしたので世界作ります  作者: 超蔟
第十二節 歪み
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整える

「いや、予想以上だね。僕も久々にバックアップを使ったよ」


 彼女は先程までの真剣さはどこへやら、構えを解いて笑っている。

 対して男には疑問があった。


「環境を作ればいい、と言っていたがこうして君に斬られてしまったんだが……?」

「ん?あぁそれはね……さっきの壁、もう一度出せるかい?」

「こうかね?」

「そうそう、これこれ。助かるよ」


 再びジュノーの前に壁が用意される。

 何枚間に差し込んだかは覚えていないので適当な厚さを見繕った。


 再び彼女は剣を構えて壁の前に居直す。


「僕はあくまで『斬って』なくてね。ただただ半分に『分けて』るだけなんだ」

「それなら硬ければ硬いほどやりにくくなるはずだろう?」

「あぁそうじゃないさ、ものを二つにするって言うのはあくまで概念で実際にやってるわけじゃない。単にこうやって……」


 そう言って軽く剣を当てると当てた場所からじわじわと壁が二つに『分かれ』ていった。

 なるほど確かに斬ってはいない様だ。


「二つになったでしょう?」


 剣が置かれた場所は確かに斬られてはおらず、同じもの二つになっているように見えた。


「なるほどカラクリは分かった。つまり分かつことは出来ない、単一の物としてないと分けられてしまう……という訳なんだな?」


 剣をどこかへと仕舞うと顎に手をやりなんと説明したものかと少々唸った。


「んー……そうだね。ただそうやって否定で防御を作るとキリがないし、自分を制限することになる、例えばそうだね……エネルギーを与えただけで本人は壊してないと言い切り物質を自壊させたりまでくるともう本人の捉え方次第でやりたい放題、ね」


 流石に本人の言い方しだいと聞いて乾いた笑いが零れてしまう。

 いくら環境を変えても物は言いようということらしい。

 例えるなら後出しじゃんけんに自己ルールを重ねたような酷さだ。


「ひどい話だな」

「あくまで創造主同士は、の話だけどね。僕達【守護者】は創造主の発想を一度受けたらそれしか使えないから個々で対策されるとどうしようもなかったりするさ。僕だってその分手は多いけど全部潰されたらどうにも出来ないからね」


 そう言ってジュノーは宙を回りながら「何度かあったけどあれは大変だったねぇ」と懐かしそうに笑っている。


「さて、もう一度……いやその前に用意かな、せめて動かなきゃさっきみたいに避けようがないからね」

「動く、なぁ……実際その場に居なければいいとかあるじゃないか。必要なのか?」

「もちろん必要、物理的にじゃなくても攻撃は飛んでくる、位置情報を変えることでそういったものにも妨害になる」


 流石にそれなら仕方ない、諦めて動くとしよう。

 と言ってもジュノーみたいには動けないので瞬間移動みたいなのが精々いい所だ。


「なら……こうか?って何度もやりたいものじゃないなこれは……」


 あちらへ、こちらへ、逃げるように瞬間移動とやらを軽く使ってみたが頭が揺さぶられたようにくらくらする。

 再びやってみたが視界がかき乱されて酔ってしまう、創造主でも酔えることに驚きもある。


「えぇ……普段はむしろ何を使ってたんだい?あれと同じでいい、下手になんでも作ると処理が追いつかないよ」

「あー……あの感じでいいのか」


 感覚が戻ってからやり直す。

 普段はそこへ出かけていくような感じで暫く歩けばその場所にいる。

 試しに後ろに出かけるつもりで前に踏み出してみた。


「……おや?出来たかね?」

「出来てるよ、試しに連続でやってみて」


 あちらこちらと考えるのも戦闘時には煩わしい、となってきたので「適当にそこら辺」という余りにも大雑把な想定で「ちょいとそこらまで」の転移をしてみることに。

 しかしこれが意外にも楽しい。

 普段はそれこそ研究室から世界、魔界……への移動ぐらいにしか使っていなかったがこの近距離で使うと大体一歩で転移が完了する。

 正直な所を言えばこちらの方が酔いそうなものだが不思議と酔いは来ない。

 ジュノー曰く「速すぎて先のはダメージを負ったのでは」と言うことらしいが、要は私の強度が足りないのだろう、ジュノーがやる分には問題が無かった。


 加えて一つ面白い発見があった。

 一歩前に出て次の場所ならば……と思い軽い気持ちで一歩後ろに下がった時だ。

 どういう原理かは創造主たる自分にすら把握できなかったが元の位置に戻ることができた。

 さすがにこれには驚かされたがジュノーはあまり実戦向きではないとそこまでいい顔をしておらず、理由を聞けば「後ろに下がれば戻るのを覚えられればそこを狙って攻撃を事前にしかけるたりできる分不利」とした。

 しかしながらブラフと混ぜることで大いに活用出来ることには変わらずこれを暫しの手段とすることとなる。


「……じゃあもう一度やってみるかい?主に僕が今度は攻手だ」

「」

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