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一般人だけど世界滅ぼしたので世界作ります  作者: 超蔟
第十二節 歪み
172/226

ゲームメイカー

「さぁ始めよう。何処からでもおいで、あぁそうそう存在を潰すつもりでもいいよ。練習にならないからね」


 ジュノーの顔つきは和やかなものから真剣なものへと変わった。

 アウラとの記憶がなかろうとそこは【守護者】、彼女の本分が何か一つでも欠けた訳では無い。


 ……とりあえず出せるだけやってみよう。


 ターゲットはジュノー唯一人。

『彼女』に当たりさえすればいい、どんな経路を辿ろうと食らいついていけば良い。


「ならその言葉に甘えさせてもらおう」


 引き金を引くかのように宙で人差し指を曲げてそのまま引く。


 無から数多の光の塊が創られそのまま急激に速度を与えられて引き伸ばされそのままジュノー目掛けて飛んでいった。


「なかなかに綺麗じゃないか!いいね、このセンスは嫌いじゃないよ!」

「それは褒め言葉かな、見た目以外も見てほしいね」


 ジュノーの瞳へ力が込められ破壊の瞳へと収束されそのままジュノーが見つめた弾の破壊が行われる。


「それはまだまだ、せめて目以外も使わせてからだね」

「じゃあ今すぐに再評価してもらおう!」


 再び引き金を引く。

 先程よりも多く、より様々な軌跡を描くように、即着弾も混ぜつつ速度も引き上げる。


 そのまま男の背後一面の空間を覆い尽くすまでの弾が即座に放たれた。


 混ぜた即着の弾には対処しきれず、ジュノーの身体に命中を叩き出す。

 身体を抜けた弾に驚愕の眼差しで見せた後、我に帰ったように慌てて残りの弾を翼を盾にして弾く。


 凄まじい爆音と光の雨の後翼を開けば血こそ無いものの所々大穴が空いて向こう側が良く見えるようになってしまったジュノーの四肢が現れた。


「ははは……久々に風通しが良くなっちゃったね」

「さ、流石に終わりかね?あまり軽傷には見えないが……」

「いや、まだまだ。これぐらいじゃあかすり傷にも」


 そう言って翼で再び身を包んで中で発光すると何事も無かったかのように綺麗な四肢が蘇っていた。


「なるほど、回復できる、と」

「いや、でも久々に使ったよ……回復というか巻き戻しだけどね」

「そうか……でもこれなら目に叶っただろう?」


 ニヤリと笑みが零れた。

 まだ自分は一歩たりとも動いていないがなんとも言い難い楽しさがこみ上げる。

 勝負を進めていくことが楽しいのか、仕様ではなく手頃な物質を創造するのが楽しいのかは定かではないが今この瞬間は新たな世界を見ているようで新鮮だ。


 それに気がついたのかジュノーも笑いながら構え直す。


「そうだねぇ……でもそろそろこっちの番かな?」

「いや、まだまだあるぞ?ずっと私の番だ」


 引き金を引くと共に第二波が襲い掛かる。


「流石に二度目はないよ!」


 即着弾は命中したが先程のようにはいかずガキンッという音だけが弾いたことを示す。


 そのまま流れるように迎撃に姿勢を整えると紅い瞳が煌めくと呼応するが如く地平を薙ぎ払うように直進した誘導体は爆散していくがこれはごく一部に過ぎない。


 流石に目での破壊が追いつかないと判断するとそのままジュノーは反転し、移動速度を引き上げて回避軌道を描く。

 円を描くように飛んで誘導弾が纏まるようにしては振り返り弾から距離をとっては再び眼を煌めかせ誘導弾を薙ぎ払う。

 しかしその間に男も眺めているだけではない。

 イメージするのは強度を備えた大型弾頭。

 直線でいい、強く、大きく、速く。

 そうして構成された大型の光弾は回避と迎撃を繰り返すジュノーに向けて一直線に飛んでいった。


「……っと?!」


 眼では間に合わないと判断したジュノーが剣を出し大型光弾を真っ二つに切り落とす。

 そのまま剣を振るった勢いを殺さぬように一直線に男へ斬りかかった。


「ッ!」


 男にはまともな防御手段は無かったが攻撃は最大の防御という言葉はあった。

 大丈夫だ、一度斬られたぐらいで負けてはたまらん。


「…………」


 創るは壁。引き金を引けば男とジュノーの隙間を埋めるように壁がまたたく間に差し込まれる。

 競り合いの形となってもジュノーの離れず、そのまま剣を振り下ろそうと力を込める。


 残念ながらその壁は光弾よりは硬くとも鎧の代わりになる程ではない。

 差し込む壁の数に対して僅かに上を行ったジュノーの剣はじんわりとそのまま男へと刃を伸ばす。


 さらに引き金を引く、するとジュノーの背後からこちらに向けて光弾が放たれた。

 否応なしにジュノーを引き剥がす為だったが……ここに一つ失敗があった。


「発想は十分だけど……見た目に騙されちゃいけないよ。僕だってできるさ」

「なっ……」


 彼女が翼を広げれば翼から男と同じように光弾を作り出して相殺してしまった。

 男が気がつくべきだったのは彼女の翼はそもそも飛ぶためのものでは無いという事だ。

 所々にそれを示すものはあってもあくまで腕で守るような感覚だったのだろう。

 焦る男は即座に引き金を引いた、が……


「くっ……」

「おっと、見えてるよ」


 ジュノーと競り合う壁の裏から最後に一撃放ったがそれすら相殺されてしまった男にはそれ以上の手段は無く、試合はそこで終了となった。

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