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一般人だけど世界滅ぼしたので世界作ります  作者: 超蔟
第十二節 歪み
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灰をかぶった世界

 アウラは新たな世界を確かめる。

 こちらの世界は向こう側と比べて平和には程遠い……はずであった。

 加えて大規模に魔力は扱えず、故に大型の乗り物もない。


 それなのにこの国の平穏はなんだ?

 戦争は形骸化したのか?


 そんな疑問をもって世界を見つめる。


 この世界は龍神が暴れていただけはあり魔物はよりアクティブな脅威となっている。

 加えて魔法技術以外の発展は世界樹側よりも進んでおり国による差が非常に目立つ。

 統一されていない貨幣は各国の技術を示し、加工技術の程を伺わせるし、服飾に付いてもより様々な創意工夫をもって様々に発展している。

 生命面ではどうだろう、死ぬ人も多ければ生まれゆく人も多い。

 頭角を現す才能持ちたる成長限界の見えない輩もその才を余すことなく発揮している。


 一部の人間は戦争を経て国と定住を捨てた。

 また一部の人間は戦争を経て力を求めつつも国に縛られることを嫌った。

 そんな彼らに集会所として機能していた場所は仕事を与え始めた。

 数人程で行動、意思決定を行い、仕事を請け負うなんてスタイルは所謂何でも屋。

 傭兵よりも人数の分安く、国も自国の兵を投入せずとも問題ない程度に対して動員しやすい、そしてそれなりの知識を持ち合わせた彼らは世間に気がつけば浸透していく。


 そんな彼等は気がつけば【冒険者】と括られ少数の限度なしという英雄への憧れを支えとしてそれなりの人数を成していた。


 ここはそんな死がより近場にある、破壊と血で彩が濁った世界である。


 世界を見回してみれば確かに戦場は存在するし、生命が散っているようにも見える。

 戦場にまで視点を落としてもやはりハッタリなどではなく本物が戦っていた。


「……感覚が麻痺したかの、或いは刹那的平穏が当たり前になったかの?」


 疑問は解決され無かったが他にもすることはある。

 この世界をできる限り自由にできるように情報を隠すのだ。

 裏で如何なる戦力を並べても気が付かれぬようにし、じっくりと力を蓄えたい。


 しかし、これをするに当たってある障害に気がついてしまった。


 ……非常に扱いにくい者が常駐しているのだ。


「あれは……ルルイエの所の者じゃな」


 どこかで個々に好きにしていれば問題はなかったのだがかのレヴィアはどうも住人に対してなにか訓練している。

 それも教えているのはどれも明らかに限度なしの素質を併せた子供たち、場所もアウラのいた城内ではないか。

 神国の戦力としてはまさに最高峰となるだろうがアウラの目的からすればそれに教えているあのレヴィアが問題だ。

 確実に何らかの形でルルイエから男に情報が抜けると思って間違いはないだろう。

 かと言って手を出してあの創造主クラスとの戦闘慣れした集団を相手にはしたくない。


「どうにか上手く隠すかの、理由はわからんが少なくとも教えることしかしておらんようじゃし……」


 アウラは世界に溶けている中で様々に種をまいていく。

 男の【守護者】には少々席を譲ってもらう、ここはこれより我が領域だ、奴の下々はこの世界に入れさせない。


◆Side創造主


 期日までに学べと言われた彼はまず、彼女の遺した物から調べあげる。

 しかし予測された通り遺したものは皆揃いに揃って機能を保持したままアウラ周りについて綺麗さっぱり抜き取られていた。


「申し訳ありません、確かに抜かれたことは分かるのですがその内容がさっぱり……」

「そうか、何も知らないか」

「確かに私は貴方に作られていないのだけは分かります。ですがそれしか……」


 そう言って非常に申し訳なさそうにしているのはアウラが遺したものの一つである【守護者】ジュノーである。

 アウラが我々から離れる際最後に接触を図っていた彼女に何らか遺してないかと期待をして向かってみたのだがいざ彼女の元へ来てみると何やら見たこともない様式の設備に囲まれてただ一人佇んでいたのだ。


 どうしてここで?と思ったが「わからない」と答え「そう作られたので」という。

 この時点で既にアウラに何らかの手を加えられたのは確かでアウラについていくらか問答しても「わからない」、「そもそも誰でしょう?」という始末だ。

 それでも何か抜け落ちたのは自覚しているようで記憶に整合性がないとの旨も言い出した。

 流石に困った男は頭を掻きつつ空を仰いだ。


「しかしなぁ……これで神様はどう学べと言うんだろうか……」

「私を作ったというその方は私の機能を設定した方ですか?」

「あぁそうだが……」

「自分の身体であれば分かりますが……」

「ほう?」


 そう言ってジュノーは自身の仕様について説明をし、特に瞳について語れることは語った。


「――と言った感じです」

「本当に破壊できるのか?何でも?」


 半ば最強の矛のように説明され興奮する男。

 これがアウラへの打撃になると期待できるのだ、当然だろう。

 不意にジュノーの顔が曇る。


「……どうでしょう。防御の仕方はそれぞれですので」

「防御の仕方?存在を守るのは同じではないのか?」

「『経験上』は万能な攻撃手段なんてありません。少なくとも無抵抗ならば通用しますが……」


 ジュノーの記憶のアウラの関わっていない部分が次第に類寄せられ始めた。

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