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一般人だけど世界滅ぼしたので世界作ります  作者: 超蔟
第十二節 歪み
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奇妙な、面妖な

 詰所まで近づくにつれ次第に五分五分だった魔物と住人の割合が魔物に傾いてくる。

 そして鎧の割合も代わり次第に関節のみだったり急所のみの防具――要は機動力重視の防具をつける者の方が多々見受けられるようになった。


「もうすぐかの?」

「そうですね……よくお分かりで」

「種族の割合もだがまぁなんというかの……様式が変わったからの」

「なるほど、様式ですか……別に柔らかくする必要はありませんよ」


 様式と言ったがそうではない。

 実際には明らかに汚くなった、というより使い込みによる破損や汚れ、シミ等々が目立つようになり、何より砂埃が床に見えるようになった。

 こんな常に訓練を行い汚れを持ち込む兵共のいるところを城の主要部と同じように清潔に維持しようなど無駄もいいところ、というわけだ。


「まぁ兵士が皆常に礼儀正しくきびきびしておったらむしろ気持ち悪いからの、悪いことではないじゃろて」

「そういうものでしょうか?あ、こちらが入口です」


 ようやく着いたのは兵の出入りする場所のようで最終目的地はこの扉の向こう側のようだ。

 その向こう側へと通されると殺風景な小部屋が現れた。


「この部屋ですが……いかがでしょう?」

「別にどこでも大丈夫じゃが……ここはなんの部屋なんじゃ?」

「本来なら城門側にあるはずなのですが……ここは予備の身体検査用の部屋ですね」


 この付近には門はなく、あるのは詰所から外へ出る裏口ぐらいで城の外れともいう場所だ。

 確かにまだここからでも正面の城門は臨めるがわざわざ身体検査のためにここまで連れてくるような距離じゃない。


「まぁ確かにここに降りて向えば粗方怪しまれることもないかの」

「ごく希に使ってることがありますが大丈夫だと思います」

「希に使っとるのか……」


 部屋を一巡りして床に手をつく。


「?いかがしましたか?」

「ふむ、ここでよいか……ここをこうして……こうじゃ!」


 かアウラの手から空気が新たに作られていく。

 またたく間にアウラがもたらした空気は部屋を満たした。


「一体何を……」

「ん?ちょいと知られてはまずい相手がおるのでな。ここに来ても知られぬようにするための隠れ蓑じゃよ、徐々に大きくして最終的にはこの城を覆えれば良いがの」

「は、はぁ……」

「まぁ、こんなもんじゃろ。龍神には帰ったと言っておいてくれ。ご苦労じゃったぞ」

「えっ?!ちょっ……!」


 そのままアウラは部屋から世界へと溶け込んでしまった。


「えぇ…」


 取り残されてしまった近衛はぼちぼちどうやって龍神様に説明したものかと頭を抱えながら謁見の間へ帰っていくしかなかった……のだが


「まぁ来た時もあんなだったから信じてもらえるよな……?はぁ……」

「……だれが信じてもらえないんだって?」

「そりゃ龍神様に・・・・えっ?うわああっ?!」


 背後から悠々と現れたのはその龍神様本人であった。

 近衛には目をやることもなくアウラが消えていった場所を調べはじめた。


「ど、どうしてこちらに……」

「何かしたようだったからな。この手は自分の目で見るに限る」

「な、なるほど……」


 龍神とて【厄災】と付けられているが仕様をたどれば【守護者】に近いものだ。

 改変をたどるぐらいならば差し支えなく行える。

 それにも関わらず龍神の顔色は優れない、むしろ次第にその顔は難しい表情になっていく。


「……どういうこった?全く持って弄れやしねえ。それどころか内容を見せてもくれねえじゃねえか……」


 知識として持ちうる手段をいくら用いたところでアウラの痕跡が見れるわけでもなく。

 それはわかっていても欠片だけでも力になるやと思い、いや城の担い手として行動として示しがつくというのもあるが、参考や今後の戦力になると思ってやっているがこれではどれも叶えてくれなさそうである。


 それもそのはず、アウラ式の隠蔽用の改変は盗んで覚えようにもそれを許すわけがない。

 アウラは本来通り生命線にかかわるものに対して男にするような『教えるための手抜き』をするなんてことはせず、絶対に思いを遂行させるために行っている物であるからだ。


 そしてこのアウラの隠蔽の施しによって龍神の試みは感知されそのままアウラに伝わってしまう。


 それが敵襲だという意味を込められて。

 小部屋が急に青白みがかかったかのような色になる。

 瞬間電撃が走ったかのような感覚に陥り慌てて龍神は部屋から手を離し部屋の端へと飛びのいた。


「っ?!」

「うわあっ!、いかがなされましたか……?」

「……なんかまずいもんでも引いたらしいな」

「え、それはどういう……うっ」


 近衛が手を首にやり倒れ込む。

 龍神も急激にからだが軽くなった爽快感に近いものを受けた後全身が縁から食いちぎられるような痛みに襲われ始めた。


「……ほう、仕掛けた瞬間にかかったかの。いやいや、ちょいとばかし早すぎんかの?」


 何もない宙からアウラの声が聞こえる。

 あぁこれが殺すときのやり方か、などとは考える余裕もとうになくなりただひたすらに誤解を伝える方法と痛みから逃れようともがく。

 しかし、その場にいた二人が意識を手放すまでそう時間はかからなかった。



「さて、どうやって情報を吐かせ……あっ」


 幸運にもアウラが情報を吐かせるつもりでいたのが生命にさよならを告げる必要性をなくしてくれたのではったが……

さすがに多忙すぎて書けなかったツラミがある。

できる限り日1本にもどせるよう努めてまいります故

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