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一般人だけど世界滅ぼしたので世界作ります  作者: 超蔟
第十一節 誰が為に
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統合

「面白いぐらいに都市の情報を書き換えられておるの」


『ここでなければ、もっと早ければ、私だけで処理していたのに』


 隠されていたのはパラディウムについてだ、かの都市は未だに改変が続いていた。

 再び介入されぬよう概念を幾重もの重厚な殻で包み込み、冬虫夏草が如く密かに、されど確実に世界を蝕み続けていた。

 侵略者を潰した際に共に元凶も潰したと考えたのが浅はかだったと突きつけられる。


「次が来るのはもう少し先じゃと思っとったが……まさか、じゃな」


 私が男に次が来ないと言えたのは同じ様に経験していたからだ。

 相手は単に頭がいて、手足がいて、末端がいて……そんな在り来りな相手のはずだった。

 

 彼らは単純で末端が潰されたのがわかれば随時上位個体が送られてくる。

 しかしタイムラグがありその間は確実に来れないのが経験則だった。


……これではまたいつもと同じではないか。

 どうしてこうなってしまうのか、アウラの中にある記憶と共にどす黒いものが蘇る。


 あぁ何故こうも上手くいかんのだろうか。

 一度もスムーズに創造できたためしがあったじゃろうか?否、全くない。

 全てにおいて驕りが原因だったわけではない、アウラが原因出なかったこともそれなりにある。

 何故、なぜこうも自由にやらせてもらえぬのか。


 アウラの身体が徐々に人ではなく不定の存在へと戻り始める。

……が途中でその変化は半身に止められた。


『……ここでは我々は第一の創造主ではない、過去の後悔を拭うように動けばいよいよ潰される』


「……なに、適当に遊んだら『偶然』潰れるくらいじゃよ」


 わざとらしく笑うがその目は一切笑っていない。

 抉られた空間の壁面がアウラの力により針の山、柱の檻となり半身へと向けられる。


『我々の舞台ではありません、今の創造主に経験を活かさせるべきです。貴方が動いてはいけない』


 その力に乗せるように壁面から石柱を生やしアウラの作る物にぶつけ、尽く相殺していく。


「…………」


 瞳を光の炎と化し石柱を内側から金属で爆ぜさせ、そのまま容赦なく半身目掛けて伸びていく。


『……力を振るわれましても仕事用に分けた半身の方が強いに決まっていましょう』


 みるみるうちに金属塊は錆びて崩れ始める。

 赤茶けた粉末が二人に降り注ぐ。


「っ……黙っておれ!ここで制限されるのは第一の創造主たるあの男だけで十分じゃ!」


 錆を含めて塊が溶解しだす。

 恐ろしいほどの熱を持ったゲルが空間を埋めていく。


 そんな環境とは真逆に半身は涼しげだといわんばかりに体に灯る炎を蒼くしている。


『……物理的にいろいろやったって私の処理に影響はありませんよ。干渉だって消すつもりではなく吸収でしょう?それでは私は私の防御を抜くことはできません』


 上から膨大な水がバケツを返したように流し込まれ空間が今度は水蒸気に覆われ視界が奪われる。

 急激な温度変化は破砕をもたらし、塵のように砕かれ土となって積もっていく。


――まさに今アウラのいる空間は天地創造の様を模していた。


『……私とて気持ちがわからないわけではない。ただそれに流されていいのかと言われたときに抑えられるだけ。確かに我々は傲慢で、奔放で、短気で、好き物で、残酷で……猟奇的。でも上位格の存在を無視はしないし、消したところで成り上がれるわけじゃないことを承知している。むしろ居場所がなくなるのは重々承知のはず』


「……自分の思うままに創造して消えるもまた一興だのう。そのまま消せるならの」


 半身の話を真面目に取り合おうともせず嘲笑う。


 アウラにとっては創造したものはすべて作品であり、それが過程であれ、完成品であれ壊され、他の物にされることを異様に嫌う。

 半身が行ったことであればまだ己のアレンジの範疇としてきたがそうでないと分かってしまった、挙句の果てに原因はあの最も己の作品を汚してきた存在だと突きつけられたのだ。


『そもそも、今すでに動いたところで何ができるというのですか?弾かれているのに』 


「……そこまで見ておって手伝いもせずなぜ止める!」


 すでにこの位置からパラディウムの消去を何度も並行して行おうとしているがすでに弾かれている。

……がそれは今のアウラ単体だからだと、この半身も使えば消せると当の本人は思っている。


『薄々自覚はしているでしょう?第一の創造主でない以上権限として力が足りていないと』


「……そうじゃな。さりとて非情に腹が立つには変わらないじゃろ?ではどうする?今ここで一つに戻って力を振るえばよかろう?」


『神としては理想的なほどに短絡的ですね。ですが第一の創造主に経験を積ませるべきでしょう。今後の己の創造を自在なものにするために』


 無理やりアウラの力が再び押さえつけられる。

 押さえつけたのは言うまでもなく半身だ。


「なっ何をするんじゃ!これでは何もできぬではないか!」

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