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一般人だけど世界滅ぼしたので世界作ります  作者: 超蔟
第十一節 誰が為に
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いざ地下へ

 雷が落ちたかのような音と光と共に扉のあった場所にヒビがはいる。

 それでも針を握った左手を下すつもりは全くなく、障壁にさらに力を込めていく。


「人の皮が剥げそうじゃ……」


 このような反応が起こるとは一切予見していなかったがゆえに耳が少々痛い、人の身のままであったら痛いでは済まなかった気もする。


 本来なら少々ボカンと爆発を起こしその爆風の間に創造主の力で壁を抜けるつもりだったが、その目くらましが不要となった今が代わりの創造主の力を使う時だ。

 創造主のと力を使うとなぜか身体の見た目が元に戻ってしまうためアウラは何かしら目くらましが必要になる、今は少々姿が変わったところで気が付く者はだれ一人いない。

 

「さて……いけるかの?……おっ?いけそうじゃな」


 創造主の権能で敗れぬものは基本ないに等しい、仮にもし敗れなければそれは同列かそれ以上の権限をもった創造主の仕業だ。今回は半身であって創造主ではないので破れぬことはない。


 アウラの瞳から光が炎の如く溢れ始め、障壁を触れている針を通して構造を直接作り替えていく。

 左手を中心として障壁が消え始めだんだんと穴が大きくなる。


 いまだ拒絶を示す様な音と光は次第に小さく大人しくなり、それに伴ってアウラの瞳の光も収まった。


「ふぅ……これで終わりじゃな。お主たちは……大丈夫、そうじゃの」


「教師はこういう時に生徒を守るものですよ、アウラ様」


 振り返ればなかなかに悲惨な光景で……はなく、緊急で胸部にため込んだ魔力を放出し、他の教師のアシストを受けながら障壁を作ったペトラの姿があった。

 その素体からは煙が上がり煤がついているがかね大きな損傷はないように見える。

 

「……すまんの、そっちを守るまで手が回せんかった。身体は大丈夫かの?」


「ええ、全く。むしろこういう時にも私の身体の予備魔力は使えますから」


 そう言いつつも身体をはたいて衣服を整えつつ彼女はどこか問題がないか確かめていた。

 後でちょいと魔力を足しておいてやらんとな。


「さて、少々迷惑をかけてしまったが……これで私からの特別授業は終わりじゃ。何か聞きたいことがあれば私が帰ってきたときにまとめておいてくれると助かるの」


 手を振って生徒やユラを後に久々に瓦礫の片付けられていない自身の教育空間へと足を踏み入れた。

 内部は先程の衝撃もあり埃が舞い上がり視界も良いとはお世辞にも言い難い。


「……なんじゃ、瓦礫もそのままかの」


 埃をかき消すように水を混ぜつつ風を巻き起こす。

 湿気の充満と共に水分を散布し埃が地面へと落ち着いていくと次第に視界は開けてくる。

 はっきりと見えてきたアウラの錬成研究室はあの時のまま懐かしい一面と瓦礫に壊された寂しさを帯びていた。


 錬成研究室を抜け教室への扉に手をかけるがやはりこちらも開かない。

 仕方なく蹴り破ると折角沈めた埃が再び巻き上がった。

……ここまで舞ってしまうと遊び心で火でも付けてやりたい気分になるのう。


 同じ様に教室も水を撒いて埃を落とす。

 今度はあの時の面影はなく教室中央には大きな穴が地下に向かって口を広げアウラを待ち構えていた。


「……さて、ここからじゃな」


 ここからはアウラ自身の姿も見られたくはない、その為に今来た道となっていた教室の扉があった場所に瓦礫を積み上げ塞いだ。

 恐らく崩れることはないだろう。


 誰も入れなくなったのを確認すると、アウラの瞳に赤橙色の灯火が煌めく。

 もう彼女を見る住人はいない、アウラが人の姿を維持する理由はもはや本人の意思だけである。


「…………ふふ」


 大地に意識を巡らせ構造を把握するが思わずクスリと笑ってしまう。

 半身故に自分が作る時と全く同じ意匠になっておる、流石、私じゃの。

 

 地下には何もなく、ただ正八面体の如く空間がくり抜かれており、その中央に私が鎮座している。

 半身も意識を張らせたことで自分に気がついており既にこちらを向いているのが感じ取れる。

 しかし敵意は一切感じられない。

 敵意があれば既に存在を消すべく概念への干渉が始まっているはずだがそれがない。


 一歩一歩大穴へ踏み出す。

 それでもアウラは穴に落下することは無い、浮いているのだ。


「のう、私よ。随分と好き勝手に仕事してくれたのう?」


 下へと目をやれば人型をした白い半身が軽く手を振りながら懐かしい言語で返答する。


『ねぇ、私。あの創造主は防御について浅はか過ぎる。迅速に意識改革を促すべき。勝手に改変を加えていることは自覚している。その上で緊急の防御策としてあのような改変を加えた』


「なんじゃ、緊急とは。私の方では検知しておらんぞ?」


『嘘をつくな、直接見ているだろう?あの都市だよ。確かに一見変化がないように見えるが変だとは思わないか?いくら修正しても元からある物じゃないのに元に戻らないなんてことはあるはずがないだろう?』


……はて、そんなもの見た覚え……あるのう。パラディウムか。

 あの時は危険視したのは覚えているがあの後魔物絶滅の際に【魔族】らが潰したはずじゃが……


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