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一般人だけど世界滅ぼしたので世界作ります  作者: 超蔟
第2節 文化成長編
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文化英雄と最初の【魔法使い】②

 この世界には【魔法使い】はいなかった、と言うより必要なかった。

 言い伝えでは【デミ・ヒューマン】が魔法を最初に使ったとされているが今では誰も彼もが同じように使えるからだ。

 当初は舞と呪文を組み合わせることで発動させていたが声や筋肉などで特定の魔力の流れを作り出せれば誰でも魔法が使えると判明してからは様々な詠唱が開発されていった。

 そもそも、これまでの魔法はそもそも一対一が前提であり、出せる威力も大きなものではなかった。

 故に誰でも使えるが魔法だけで戦う人はいなかったのだ。

 しかし突然現れた青年のやってのけた事で前提がひっくり返ったのだ。

 【デミ・ヒューマン】ですら見つけられず、後に高い適性を持っていた我々【エルフ】も見つけられなかった、記録媒体に詠唱再現させる手法。

 この手法によって発現する【魔法陣】は平面的なものであるが魔力と触れる部分すべてを記載通りに動かすことができる、これによって従来では肉体が触れる面積が稼働できる魔力限界だったがこの技術によりその限界が取り払われたのだ。


「まさかこんなことになるなんてのう……アウラといったか。まさに神の使いのようであった……」


 ユラはそんなことをぼやきながら研究室に籠っていた。

 その机にはアウラから授かった資料とそれに伴った研究論文の山が出来つつある。

――城が世界に出現した後、同じように空間に魔力を練ること自体は成功しているが城に再び異変があったことはない、雲が同じところに固まっている以上明らかに城はあるのだが姿は現していない。

 そんな彼が今行っているのは【魔法使い】としての【魔法陣】をいかにすれば練ることができるか、いかに詠唱をせずに魔法を行使することができるかについての研究論文の執筆……もといアウラからの情報の整理である。


「あの日のあの美しさが魔法の輝きというのなら……それをぜひとも作ってみたいものじゃのう」


 後に最初の【魔法使い】と呼ばれるようになった【ハイ・エルフ】の老人は今夜も世界へ魔法を貢献させるべく研究を続けるのであった。



「……とりあえずこっちの世界では城は認知されたとおもうがどうかのう」


「ええ、ありがとうございました、ですがそちらの世界だけでいいのですか?世界は2つあるのですが……」


 男は飲んでいたコーヒーを研究室の机に置きアウラを迎え入れる。


「そうだな……問題無い、むしろもっと簡単にできるからのう、今向こうの世界を観察しているのがおるであろう?そいつを読んできておくれ」


 とアウラが言うのでトールを読んでくる。


「創造主様と、アウラ様ですか。一体何用でございましょうか。例の【パーティー】の件でありましたら……」


「あぁ時代を進めたときに変化があったか、それは済まなかった。わかる限りでいいが【パーティー】はどうなった?」


 トールが説明するには、【パーティー】は最終的に何人かが様々な地で国を興したという、中でもリーダー格だった【ヒューマン】はオリハルコンそのものを大事にしているらしい。

……結果として時代とともにその【パーティー】はなくなってしまったがその国同士はしっかりとした国交を持っていてそれぞれ【ギルド】を抱え込んでいるという。

 そこまで聞いて男は気が付いた。


「神様、もしかしなくても【ギルド】に城について流して調べさせるついでに実物を見せる寸法ですか?」


「まぁこちらの世界は【魔法使い】が確立した代わりに機械技術で魔法が使えない人々が差を補ったらしいから、何かしら雲払いは手伝わないといけないんだがのう……」


 世界樹の世界とは違いこちらは【魔法使い】が存在するのだ、逆に言えば全員が雲払いの要件を満たせるわけではないということでもある。

 ちゃんとした【魔法使い】が魔力飽和を起こさなければ力不足で雲は払いきれないのだ。

 するとトールになにか思うことがあったようで。


「……なにかしら剣でも作らせて捧げさせてはどうでしょう?……創造主様の最初の仕組みが無駄になりますが代わりに雲隠れはそれっきりにすればいいのではないでしょうか。例えば聖剣のようなものとかいかがでしょう」


 聖剣をささげさせるとは言うがそもそも作れる鍛冶屋がいるのかどうか、という問題がある。

 しかしながらその考えに加えてアウラが面白いことを言い出した。


「どうせなら、鍛冶の神さまでもつけて剣にやどしてやってはどうかの?女神さまにいろいろしてもらえば雲払いもできるじゃろ、ついでにその剣周辺の管理や扱いもそやつにまかせればよい。」


「鍛冶の神様ですか……トール、【ドワーフ】としてそういうのはどう考える?お前をつけてもいいのだが私としては別に授けたい仕事があるのだが。」


 しばらく考えたのちにトールが答えたのは、鍛冶の神様は我々がなにかを作り出した時に加護を下さるものだと考えておりました、だからそういうものを実在させるのであればありがたい限りだと。



「さて……こっそりとこちらの世界のギルドにそういう依頼を出しておいたからの。依頼主を存在させたり報酬も高めにつけたり、ついでに例の【ヒューマン】にはそういうのをつくらせるように仕向けておいたからなんとかなるじゃろう。……それにしてもこれまでうわべだけで作っていた伝説を実際に世界の住人たちにやらせるのは実に面白いのう、私もやらせておけばよかったと今更ながらそう思ったぞ。」


 とりあえず鍛冶の神となるべく存在はその剣ができるまで世界に待機してもらった、女神さまにしてしまったが彼女の役目は優れさ作品に加護をつけることと城まで導くこと。

 世界の管理はさせないのでそのまま、というわけだ。

……さて、これで城の一件も進むはずだ、かわいい娘を褒めてやらねば。


「マキナ、ご褒美を挙げよう何かほしいものはあるかい?」

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