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一般人だけど世界滅ぼしたので世界作ります  作者: 超蔟
第十一節 誰が為に
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記憶の違和感

「まぁ軽くで良いなら……説明は挟もうかの。生徒のためになるなら断れないでな」


 対応しつつ脳裏では理論建てが高速で行われる。

 改変を介さず障壁破りを作らねば……


 そんな最中ライカに合わせダンを始めとしてほかの教師らも付随する。


「……それなら僕の所も参加させます。たしかにそんな魔法は戦場ぐらいでしか見れませんし、そもそも障壁も張れる人が限られてます。またとない機会かと」


「私も軍用魔術は基礎しか出来ないので是非」


 気がつけばほぼ全員が参加させると言っていた。

 まぁ突破だけだから時間は取らせんし、そう何度もするもんじゃないからの。


 束ねた髭に手を当てつつ頃合かとユラが号令した。


「フォッフォッ……異議が無ければこれにて解散としたいのじゃが……よいか?」


 それに無言で頷く教師たち。

 もう少し困惑されると構えていたんじゃが、そんなことはなかったの。


「……ふむ、では午後の授業の頭に生徒を連れてくる者は連れてくるよう……解散じゃ」


 何やらユラに話がある者以外ぞろぞろと部屋をあとにする。

 ライカにあたっては伸びをしながら気だるげに帰ろうとしていた。

 先程までとはうって変わり顔には眠さが溢れている。


「んんーっ……寝るつもりだったんだがこの時間じゃちょっと無理そうだねぇ」


「なんじゃ、ライカ寝とらんのか?」


 すると欠伸がてらに答え始めた。


「教材作ってたら日が登っててねぇ……昼の間に寝ておくつもりだったんだよ……まぁ生徒の相手もしたし元より無理そうだったんだけどな。あーあ、ペトラが羨ましいよ」


 そう言いつつ横目で見られたペトラはため息を吐きながら呆れている。


「……それなら教材をもっと早めに作るべきです。どうして前日に頭から作るんですか……」


 そう言われた途端痛い所を突かれたらしくライカがたじろいだ。


「せ、生徒の状態に柔軟に対応出来るだ……ろ?」


「それは前日分だけいいですよね?ライカさんの場合は……」


「お、おい!ここでそこから先はっ!」


 ペトラは容赦なくライカを追い詰めていく。

 その様子は私だけでなくユラとダンも先ほどから変わらず別件を話しつつ眺めていた。


「……ですのであの話はその方向でなんとか」


「そうじゃな……さて、あの片方が手を出す前にどうにかせねばならんな」


 ライカとペトラの会話に紛れるようにして聞こえたのはこれぐらいであり、細かな内容は分からなかった。

 まぁこの世すべての世間話まで知る必要もないじゃろ。


「のう、お主たち。あの二人はいつもあれなのか?」


 その質問にはまさかと思ったらしく、半ば驚きまじりの顔になる。

 よくよく考えてみればなかった気がしないでもないんじゃがここまでじゃったろうか……?


「あれ?アウラ先生以前も見たことありませんでしたか?毎度あんな感じですよ」


「そうなのかの?久々で記憶が薄まってるのかもしれんの……」


 嘘をついた。我々創造主たるものにそんなことはありえない、どんなことでも記憶を掘ればいくらでも鮮明に呼び出せる。


……それにしても半身がどこまで周辺の情報を書き換えたのかがまるで分らんのう。


 一つ考え始めたところをユラの掛け声によって現実へと戻される。


「アウラ様、準備の方はいらないのですかな?」


「ん?あぁ……準備な。ええと、準備は――」


 準備、どうしてくれようかの。

 実演するときは普通の者と違って魔力を用意しておく必要もなければなにか大規模な魔法陣をかくということも必要ない。

 しいて言えば先ほどから考えているのは生徒らに説明するときにどんなこじ付けをするべきか、ということだ。

 一点集中させた魔力が……とか、むりやり魔力の流れをかき乱した……とか、その類はおそらく教師陣がためしている。

 より高度に精密に……とすればいいと思うのだが誤魔化しのためだけに精密に扱うのは手間がかかり過ぎる。


「――準備はな。魔力の予備をいくらか用意しておいてくれんか。使わんとは思うが念のため、じゃな」


「ハハハ……念のためですか。わかりました、用意しておきましょう」


……そうじゃな、まぁゆんらりと教室に向かう間にでも思いつくじゃろ。


 ダンに予備の魔力を用意してもらうことを取り決めいまだ騒いでいる二人を止めに入った。

 こういうのは止めるだけでよさそうじゃからちょいといたずらを混ぜることにする。


「……お主ら、そろそろ終わりにせんか。生徒が見ておるぞ?」


「えっ?!う、嘘でしょ!?しまっ……」


 ライカの慌てようはさすがに笑いそうになる程だった。

 一体何を隠していると言うのか……


「嘘じゃよ。いい加減に終わりにしろということじゃ」


 それをいわれると心底安心したようで胸をなでおろす。


「あ、あぁ……ごめんなさいね。ってまずい!アウラ先生、私は生徒との約束があるのでこれで!」


 ライカは何かの拍子に約束事を思い出したようで眠そうな目をこすって廊下へと駆け抜けていってしまった。

 ダンもそれを見送るとぼちぼちと学長室を後にする。


「では僕もこれにて」


「……私はもう先に教室前にむかっておるからな、生徒ともども楽しみにしておるんじゃぞ?」


「ええ。楽しみにしてますよ」


――アウラはその少し後にユラ、ペトラと共に錬成教室跡へと向かい始めた。

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