表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
一般人だけど世界滅ぼしたので世界作ります  作者: 超蔟
第十一節 誰が為に
145/226

半年ぶりの学園

「おろ?もうこんな時間か……」

 

 中庭を抜けた辺りで生徒が教室から外にぞろぞろと出てきた。

 生徒たちの表情は前とさほど変わっておらず、楽しげに見えるのは何よりだ。

 アウラに気が付いた生徒たちが付近の生徒とざわつき始める。

 

「ねぇ?あれ、アウラ先生じゃない?」


「先輩、それは誰ですか?」


「あぁ君は知らないのか、半年ぐらい前まで【錬成】を教えていた先生がいたのは知っているだろう?その先生だよ」


 聞き耳を立ててみれば大体こんな話か「あの子は誰だろう」という話ばかりだ。

 確かにこの見た目で教師なのは幻視でも使っていなければ滅多にいないだろう。

 

 すると、見覚えのある――教え子だった生徒が数人寄ってきた。 


「……アウラ先生!」


「おお!元気そうじゃな。どうじゃ?変わりはないか?」


「え、ええ。今はまだ大変ですけどなんとか」


 それとなく愛想を返してくる。

 まぁ授業を身に着けるのが大変じゃなかったらここに来る意味は薄いからしかたないのう。


「そうかそうか、しっかり学ぶんじゃよ。ここでの経験は後で使う時が確実にくるからの」


「はい」


 ん、そういえばユラについてここで聞いてしまうのが得策か。

 おらんかったらペトラでも捕まえればよかろう。


「ところでな、ユラは今どこにおるかわかるかの」


「普段通りなので学長室だと思いますが……」


「そうか、感謝するぞ。お主らもしっかりな」


 教え子らと別れ、普段通りと確認を取った上で学長室へと向かう。


……しかしそうか、普段通りか……彼らにはもうこれは普段通りなのじゃな。


 そして学長室までの間でも懐かしい教え子たちに出会った。

 皆それぞれ授業があり、私が消え【錬成】の授業がなくなった後に各々道を選択していったのだろう。


 と、廊下を進んでいた所をペトラとすれ違った。

 やはり【魔製人形】、授業に一切の支障を感じさせない。


「あ、アウラ様?要件は終わりましたか?」


「おお!ペトラか。いやぁ……色々あってのう、これからユラに合って話を先に回すことにしたんじゃ」


「あら……折角ですし私もご一緒してもよろしいですか?」


「ん?問題無いが……ならば急ぐかの、ユラがどこかへ昼でも取りにいったら探しなおしじゃからな」


 生徒が食堂へ流れるのをさかのぼりペトラを加えて目的地までいくらかの教室の前を経てたどり着いた。

 ドアをノックすれば聞き覚えのある声がいることを示す。

 しかしアウラが返答するのを遮ってペトラが答えた。


「所長、お客様をお連れしたのですが……」


 アウラの口を抑えて何か思わしげに目を細めてにんまりとしながら申し訳なさそうなふりをしはじめた。


「はて、今日はそのような話は……どういうお方じゃ?アイヴィスの方は確か明日来る予定であっただろう?遅れるならわかるが早く着くのは……」


 疑問の声を返してくるユラ。

 アイヴィスは聞き覚えがあるが一体アレとここにどのようなつながりができたのじゃろうか?


「クスッ、所長も驚くと思いますよ」


 いたずら心を込めて楽しそうにほほ笑む。

 ユラはあの時から変わっておらん様じゃがペトラもなんだかんだで所長と仲がいいんじゃな。


「入れてもよろしいですか?怪しい者ではありませんよ」


「……そ、そうか。なら入れてもよいぞ」


 ユラの返答の半分ほどでペトラが扉を開けた。


「……おう、久々じゃの」


「あ、アウラ様?!」


 ユラの反応は面白いものでペトラの背後から手を振る私を見たとたん目の色を変え大きく見開いた。

 まぁもう会えないと勝手に思っていたようだしわからんでもないがの。


「お主、聞いたぞ?私に二度と会えないと思っておったそうじゃないか。ひどいのう……そんなわけがなかろうて」


「そ、その話をどこでっ!?……ペ、ペトラか!」


「申し訳ありません、私はこうなると信じていましたので」


 何か賭けていたんだろうか、「してやったり」と言わんばかりにしたり顔をし軽く礼をするとユラの横に控えた。


「……おじいちゃん泣いてもいいじゃろか」


 これだけ見ては明らかに孫に嫌われた【ハイ・エルフ】のご老人だ。

 そんなユラに呆れつつ本題を振る。


「全く……半年じゃほとんど変わらんのう……で、ユラよ。私が来た時点でわかったとは思うが地下に行きたい。じゃが向こうに置いた奴が壁を作ったようでな。ちょいとばかり力を使いたいのでな、私の教室周りに誰も寄せ付けんようにしてほしい、いかなる音と爆発がしても、じゃ」


 その話を始めるとユラの顔つきはおじいちゃんから学長に戻った。

 さすがにいかなる音と爆発がしても誰も寄せ付けるな、とは無理難題にもほどがあったか?

 

「……夜間ではだめですかな?それならば生徒を寮に閉じ込めることもできるのじゃが……」

 

 ユラもさすがに無理だと言わんばかりに顔をむっとさせている。


「何とかならんか、夜じゃと少々厄介なんじゃよ」


 すると何かを思い出したかのようにおお、と言ってとある提案をアウラにしてきた。


「ふむ……でしたら魔物討伐とでも銘打った学園の依頼として堂々と行かれてみるのはいかがですかな?」


 確かにユラの提案で行けば討伐なのだから地下で爆発が起きようと奇声が上がろうと、ちょっとぐらい天変地異が起きてもごまかせ……るのか?

 しかしそれでも地下に堂々と入れる理由が得られるこのの方が大きいのかもしれん。


 アウラは喜んでその提案を飲んだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ