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一般人だけど世界滅ぼしたので世界作ります  作者: 超蔟
第十一節 誰が為に
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再会

 深夜、灯りの灯った部屋で座って向かい合う二人。


「アウラ様……申し訳ありませんでした」


 申し訳なさそうに頭を下げるのは【魔製人形】、ペトラである。

 今彼女の腕は普段の人の腕ではなくひじから先がそのまま剣となっていた。


「いや気にせんでええ、むしろこれまで守っておったんじゃろ?」


 先ほどペトラが斬りかかってきたことですべてが腑に落ちた。

 間違いなくそうだ、ペトラがこの家を掃除し、夜間もこうして見に来ていたのだろう。


「ええ、こうして夜間見回りに着たり……あと日中掃除しにきたり……」


「お主は寝なくて大丈夫……なんじゃったな」


 こんな夜間に平然と動きながらも日中影響が無いのは【魔製人形】故だろう。


「元々夜間は学園の警備もしていましたから。そ、そもそも私は【魔製人形】。寝るという概念もほとんどありませんよ……そ、それにしても戻ってこられるとは思ってませんでした……そして飛んだご無礼を」


 ペトラの声はどこか震えていたが別に何かし返すつもりは無い。

 それを突っぱねるが如く笑って返す。


「ハッハッハ、だから気にするでない。落ち着け。仮にも私も創造主、戻ってこない訳がなかろう、私が消えたらほぼ世界は終わったようなもんじゃぞ?……あとなんじゃ、ユラは元気か?」


「え、ええ……ただ会えない気がすると言い出して文書を一つ……」


 そう言って何を思ったか腕を引っこ抜き、服を脱ぎたした。


「っ?!お主いきなり何をしておる!気でもやったか?」


「少々お待ちを……普通の腕も持ってくるべきでした」


 器用に片腕で服を脱いで下着姿になると胸元のハッチに手をかけ、胸部のプレートを外すと下から書状を一枚だしてアウラに差し出した。


「……なんてところに隠しておるんじゃ」


「隠し場所には丁度いいでしょう?」


 何故か胸を張るペトラ、呆れつつも手渡された書状に目をやる。


「で、これか……」


 ロウで封がしてあり、重要書類と銘打たれている。


「封はそのままにしておくべきじゃの」


 そんなものを開封するのもはばかられるので外側から中身を読み取らせてもらった。


「相変わらず……なんでもありですね」


「創造主が一柱じゃからな……なになに?……そうかそうか……」


 内容は私が学園に来た際の対応と……私の正体についてそれとなく仄めかされた文書であった。


 まぁ内容はあくまで推察止まりであの男と違い私は創造主であることを特に隠していないし、知られたところで、と思っている。

……それと分身を取りに来るのが遅れたのは単に忘れていた、というのは言わないでおこう。


「……まぁそうじゃな。私が着たからまずユラの杞憂は意味が無くなった訳じゃな」


「そもそも忘れてると思いましたよ」


「うっ……そ、そんなことはないぞ?」


 怪しむような目で早速見られてしまったがこれ以上何も言うまい。

 逃げるように話題をそらした。


「ま、まぁ明朝学園地下にお邪魔して半身には話を付ける。それはそうと学園はどうなっておる、復興も進んだか?」


「そうですね……まぁ見た限りほぼ終わっています」


 その言葉のさなか瞬間暗い表情を見せた気がしたがかき消すように微笑んだ。


「終わっておるか、では私が離れてから大きな問題は無かったかの」


「ええ、最初は混乱こそありましたが何事もない内に皆慣れました」


「……そうか、何も変わっておらんか」


 半身がゲート関連を書き換えていた他にも幾らか変えていると聞いている。

 しかしこうして確認してみるとそうでもないらしい……一体どういうことか。


「本当に何も変わっておらんのか?」


「変わってません。アウラ様らしくもありませんね。……何か戻ってきたのも関係が?」


「まぁ、無い訳では無いのう。そのために半身に話をつけるんじゃが……あまりにも変化が感じ取れなくてな」


 ペトラも「まぁ私の半身がそんな手抜きなことする訳ないがの」と自傷気味に嘲笑ったアウラを眺めていた。


「……アウラ様もそんな顔するんですね」


「なんじゃ、急に」


「いや、珍しい表情を見たので、懐かしんだり真面目な顔はしてましたけど。そんな物憂げな顔は初めて見ました」


……時計はないが日が昇るまでまだしばらくかかりそうじゃな。


「そうか?……まぁこっちに着てから大分柔らかくなったからの。前は全く顔なんて使ってなかったんじゃがなぁ……そうか、顔に自然と出るようになってしまっておったか……」


「何だか出来の悪い【魔製人形】みたいなこと言うんですね」


「……流石に酷いとは思わんのか」


 眠りのいらない二人の空間はまるで眠ったかのように静かに過ぎていった。


 そして翌朝、ペトラは学園へと足早に引っ込んでいき、学園がすぐに騒がしくなるのは当然の事態であった。


「……さぁ、会いに行くかの……(仕事をする私)に」

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