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一般人だけど世界滅ぼしたので世界作ります  作者: 超蔟
第9節 異界遭遇編
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利用するのに理解は必要か

 解析組に仕事を投げつけて宿に戻ると丁度入口のところで騎士団の一人が待っていた。


「あ、お待ちしておりました。こちらが例のものになります」


「ここで確認するのも何なので中でも?」


「あぁ、ここで大丈夫ですよ」


 彼は大丈夫と言うがそうじゃない、寒いのよ。


「いや、指輪ないし、寒いから……」


「あっ……それは申し訳ありません、迂闊でした」


「まぁという訳で中で見させてもらうわ」


 そうして宿の中にある食堂の一部を借りて確認し始めたが見れば見るほど面白い。


 頼んだものは皆インク部分が凹んでおり恐らくこれとは別に一枚原本の魔方陣が存在する。

原本を上から何かしらの方法で魔法陣を凸面で作り紙に押し当て凹みにインクを流しているのではなかろうか。あるいは凸面にインクを付けて用紙に押し当てているかもしれない。


……確かにこれは国家機密にしても納得のいく技術ね。


 魔方陣が量産できるというのは生産性が上がるだけではない。魔法使いが汗水たらし集中力をの限界まで叩き上げて作っていたものを初回だけやれば良くなるのだ。これはどの国でもネックになっていた砲や装置の量産化の際の一番の手間を省くことになる。


 それは軍備で見れば素早い拡充を意味し、商売で見れば魔方陣の大量生産を利用し金に変えることすら可能だろう。


「……最後に使えるか確認して問題なければ受け取りね、支払いは……本来はないけども……いい物を得たし支払うわ」


すると急に騎士が慌ててそれを制止してきた。


「あ、待ってください。私は姫様から支払いは受けるな、と」


「え?いくらお礼とはいってもこれをそのままもらうのは気が引けます」


「支払いなら代わりに一つ依頼を受けてほしい、と仰っていまして……書状がこちらに」


 広げられた書状はたしかにサイヴァスの国からの正式な物で、姫君の名前が添えられている。

内容をよく見れば試験的にあのゲートを複製するので試験的に設置してほしい、とのこと。


……これならサイヴァス内部で済ませてしまえばいいのではないかしら?


「これ……私たちが請け負う必要性がありますか?」


「いや、我々でも出来ないことはないのですが――」


 曰く、文字がどういう意味かはわからないがゲートの複製作業が急ピッチで進行中らしい、あの周囲の文字をそのまま書き写せばそのまま似たようなものが動かせるのではという論だそうだけど……それで動いてしまうとなると都合が良すぎる話ではないかしら。


「ちなみに動く可能性は?」


「発見時から複製は始まっていますがどうやらあちらの文字は不思議なで一文字でも何かしら魔法が稼働するんですよ。なのであれをすべて写し取れば同じものが出来る可能性はかなり高いかと」


「そうですか……それならまぁ……動くと思ってもよさそうね、で受けるかどうかとして私たちはそれで試験として何をすることになるのかしら?」


 ゲートの試験時に魔法陣をもらえるならそのまま上に持ち込めばこちらでも後々使えるようになるだろう、この国限定の技術としておくには惜しい物だ。

それに先ほどの書状には極秘とはついていないので問題ないと解釈しても当然よね。


「この国はご存知の通り山に囲まれておりますが山の向こう側に一つだけ村があります。もともと山越え手前の村なのでそれなりに栄えていますがその村に複製品のゲートを持って行って欲しいのです。その際に利用できることが確認できればその村の者でいいので知らせてほしいわけです」


「解析、調査はいいのかしら?使えなくてもいいから設置だけしてほしい。ということに見えますが?」


「えぇ、使えれば御の字ぐらいの判断です。せっかくなので近々ある感謝祭には間に合わせたいという姫君の所存がありまして……逆に使えなければどうやっても間に合いませんからやるだけやってみようということでございます」


 設置だけでいいというのなら……艦載艇も運用すれば大丈夫だろうか?外側であれば風にあおられる心配も薄いだろうし、乗ったまま作業するわけではない。地面にアイヴィスは着艦できないので代わりに艦載艇を使うのだから着陸さえできれば問題ない。


「わかったわ、それで済むなら引き受けるわ……それでもお礼は置いていくから。謝礼はその技術を使ってくれてことにでも当てて頂戴」


 押し問答になっても困るので席を立ち部屋に戻ることにする。そもそも内容的には別に謝礼に絡めなくても受注してもいいようなものだ。自分としては礼の代わりにするには不釣り合いにもいいところである。


「あ、あの……!もらったら怒られるのは私なんですが……」


「それなら釣り合わないから押し付けられたとでも添えておきなさい、あとその依頼の詳細と必要なものは昼頃までにもらえるとありがたいわね。あぁあと……こちらでもそのゲートについてのデータはもらうって伝えておいてもらえるかしら」


「あ、あのせめてこの袋は置いていかないでもらえませんか……」


 彼は貧乏くじを引いてしまったに過ぎない、かわいそうに。


 とりあえずまず出港用意を済ませつつリースに魔法陣を引き渡さないといけない。その後他の乗組員へ通達、アイヴィスの保全報告の確認……決まり切った内容だけでも山のように出てくる。


――忙しい日がついに訪れたけど……まずは部屋で爆睡しているティナを起こさなきゃならないわね。

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