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一般人だけど世界滅ぼしたので世界作ります  作者: 超蔟
第9節 異界遭遇編
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魔王軍深夜のゲート攻略前半戦

――世界樹側ゲート周辺


「おお寒い寒い、交代までまだ時間があるな……」


「おいおい……さっき交代したばかりじゃねえか」


 ゲートに危険性はなくともそこに挑もうとする危険知らず、いや馬鹿は一定数いる。それを防ぐのが今の彼らの仕事だ。場所が場所だけにバリケードや柵を作ることが叶わず、港の警備の人員をアイヴィスの乗組員を増員して割り当てている。


「あぁ早く酒でも一杯やりたいねぇ」


「あぁ……終わった後にこうグイッと……」


 行きつけの酒屋にでもふと目をやった時だ。どこかの家からフラッシュのように白い光が溢れた。


「な、なんだ?!」


「ルシウスは終わったみてぇだな……悪いが大人しくしてなっ」


「そノマま気絶シてロ、『隠世』」


 マイモンが気絶させるとミニョルの手により状態固定が計られる。これでこの周辺に動けるのは我々【魔族】だけだ。


「マイモン、この鉄の塊をどけておいて貰えませんか?」


「おう、邪魔だが壊したらまずいらしいからな……よっと」


 マイモンが涼しい顔をしてアイヴィスをかつぎあげ、そのまま港の外に持ち出してそっと地面に置く。これでゲート下に空間ができた。アイギスがやって来たルシウスに抱かれてゲートの反対側の空に運ばれる。


「さぁ始めますわ……『不可視領域インビジブルセッション』を構築します!」


「『アイギス』起動、機能解放……範囲指定……展開完了」


 普段の【魔族】はそのまま武器を振るい、そのまま魔法を行使する。そんな彼らが『名前付き』を行使する時は以前の創造主から授かった武器のアシストを含めた己の解放を意味している。


 創造主からの武器が持つ能力は己への改変を無効化し相手の耐性を無視するというものだ。しかしそれでも名前を言う、と言うのは魔法を練りやすいのとは別に相手に次の行動を知られるだけではなく様々な弊害があるのだが……そこまでしなくてはルルイエの魔術は止められない。


「姫様!いつでもいいですわ!どれだけ放っても隠しきりましてよ!」


 アイギスも頷くのが見える。ルシウスの発光はただ意識を逸らすためではない。あれは魔法陣のコピーと再確立が終わったという合図でもある。あとはアイギスとアスタリアが囲ったゲートを消し去るだけだ。


「『宙を煌めく星々よ 大地を覆う源よ 我が叫びに呼応せよ 我が願いに呼応せよ 罪を背負うは我等が運命 道を示すは我が役目 今より世界を背負いて此処に参らん――【侵食エレ・ロジオン】』」


 ルルイエの周辺から急激に魔力やら空気など何もかもが消えていく、否、全てルルイエの魔力源と化していく。彼女の周辺は次第に干渉しはじめた四素が塵や渦を形成したり火花を散らし始める。今彼女の周囲では全ての存在が彼女のための存在となり彼女の管理下となった。


 これが【魔族】を守るためだけに作られた世界の創造主の娘の制限なし無詠唱なしによる上限なしの力である。その状態のまま周囲の地面を抉らないように気をつけつつ魔法陣の下に移動する。間違っても足でも付ければアイヴィスはべっこりと凹むだろう。


「……元居た世界がなくなってもまだ使えるんですのね」


「ええ、効果は少々変わりましたけどね……『仮初の根源たちよ 我は古よりの時の要にして導き手 全てを手にする守護者なり 我等が敵は眼前にて裁きを待つ 創造の楔から離れ今こそ滅びを与えんことを!――【破壊ジ・シュカテリム 】!』」


 ルルイエのかざした手から青白い光線がゲートへ飛んでいく。そのまま光線は太くなりゲートを貫通しその射線上を溶かし尽くしながらアイギスの防御範囲へと到達する。


「まだ、危険域外、問題、ないけど……くっ」


 ミシミシと音を立てながら耐えているが地面で踏ん張るのとは訳が違う、空中で解放しているアイギスがルシウスと共に押さ始めれ次第に高度が上がっていく。


「アイギス、大丈夫ですか!『複製』!」


 ルシウスは【堕天使】を冠しており魔将の中でも珍しい種族判定を持つ。飛行能力に留まらず光と反射を能力の拠り所としそれを利用して複製が可能なのが特徴だ。彼が今それを行ったのは『複製』によりアイギスを増やし防御壁の強度を増し、負担を軽減するためである。


――ピキッ


 反対側からルルイエもルシウスがアイギスを増やしたのを見て耐えるのに限界が近いことを悟った。しかしまだゲートはヒビが入った程度で健在しており魔力をまだ与えつつ破裂を誘わなくてはならない。


「もう少し耐えてください……まだゲートを破裂させるには……っ!」


 それを聞いてアイギスの盾が魔法による障壁を作り始める。『複製』されたアイギスも同じように障壁を展開し始めた。しかし強化のための展開ではない様でアイギスの顔には焦りが見え始める。


「……『アイギス』変換効率低下……盾より魔力、危険かも……っ!」


「アスタリア!アイギスまで繋げてちょうだい!」


「わかりましたわ!」


 アイギス背後に繋がれたゲートから現れたレヴィアがルシウスの代わりにアイギスを抱える。


「ベルフェリア!ほら手伝ってあげるからしっかりしなさい!『水天』!」


――ビキビキビキッ


「レヴィア、なんか違うのが召喚されてないか……?」


「姫も言ってた効果違いって奴でしょ、操れるなら大丈夫よ!ルシウスあんたは私も『複製』して!」


 レヴィアの背後から水で形作られた水神が現れる。水神はそのまま周辺の水分を全て魔力源と変えアイギスへ流し始めようとする……が盆地故に乾燥しており思ったよりも魔力変換効率が芳しくない。刻一刻とルルイエが火力を落としていてもその魔力をガリガリと削られている、まだ消費に補給が追いついていない。


「ちっ……土地が悪いって?『天候操作、豪雨』!」


「ちょっと、レヴィア!気が付かれるわよ!」


「こんなのただの通り雨よ!」


 港が豪雨になり視界も悪くなる、港を満足に照らすのはルルイエの魔砲の光のみとなり、無理やり雨を降らせることでようやくアイギスへ十分な魔力が供給される。


「長々と出来ないなら火力を上げるわ!――【破壊ジ・シュカテリム】!」


 もう片方の手から詠唱を短縮され僅かに威力の落ちた魔砲が放たれる。ルルイエは僅かに浮かんでいたのだが若干地面に近づき魔力化範囲に入った地面がえぐれる。


――ビキビキビキビキビキビキッ


「そろそろっ……」


「まだよ!――【侵食エレ・ロジオン】効率制限解除っ!」


 ルルイエの周囲の魔力化の範囲が二回りほど大きくなる。それに合わせて魔砲はさらに太く、輝かしく威力を増していく。


「なぁミニョル。ちょいとまずくなりそうじゃねえか?」


「先ニ気がツイたなら実行シロ」


「……ちがいねえ」


 することがなくなり手持無沙汰に眺める二人の魔将は各々に勘づいたことがあるらしい。どこかへと消えていった。


「あと少し……っもう一層……解除っ!」


――パリンッ


 あの邪魔なゲートはルルイエがさらに威力を引き上げたその瞬間、世界から消え去ったのだ。

アーババアァアー↑ハイルガヨー ナーブレヤーDoホイホルガー

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