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一般人だけど世界滅ぼしたので世界作ります  作者: 超蔟
第9節 異界遭遇編
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第一住人発見

「ほらほらお逃げにならなくてもいいのですよ?」


 ヒョイ、まさにそんな効果音が最適だろう。腰まで潜っていた一人目をそのまま念動で持ち上げ戻してしまった。


「ひっ……」


「あら?怖がらなくても結構ですのに姫様に言われた以上手出しは嫌でも出来ませんし」


 姫様?どうやらここは姫と呼ばれる存在が一番上の体系らしい。つまりあれは城に間違いなく、周囲は城下、城壁だろう。


 それにしても目の前の女性型のそれはどの種族にも当てはまらず、肌の色は青、頭からはもはやカチューシャか冠かと思わせるような青紫から赤にかけてグラデーションがかった角が生えている。不思議と忌避感はしないがとてつもなく強い気配はひしひしと伝わってくる。そして高めの露出度合いがさらに異常性に色を添える。


「じっくり見られても困りますわ?」


「保証もない相手から目を離すなんて出来ないね」


 相手がどんな格好であれ命に関わるときに目を離すなどありえない。むしろ格好に意識を割くほどの余裕もない。そもそも一つ目の魔力の主はまだ見えていないのだ、気が抜けるはずもない。


「保証、ですか。この距離で会話に応じている、というのは材料になりませんの?」


「……全くならないね。そもそももう一人はどこだ」


「あら?そうあうことですの?……後は私一人でやりますから姫様に報告を」


「……わかりました」


 すると急に目の前に人が現れそのまま砂のように消えていった。配下なのだろうか。


「……これでどうかしら?ようこそ魔界へ、記念すべき最初の来訪者さん?」


「ま、魔界……」


「ええ、魔界ですわ。あなた達は偶然にも魔界と繋がってしまった、という訳よ」


 調査隊はゲートの向こう側が危険かどうか、願わくばゲートの閉鎖が目的である。意思疎通の測れる相手がいるならば閉めてもらえる可能性があるというものだ。


「あのゲートは貴殿が開けたものか?」


「違うわ、むしろ私達が使っていた転移陣に割り込んできたのよ」


 調査隊にはこちらに原因があるとは誰も思っていなかった、むしろそんな技術はまだ世界のどこにもないのだ。


「……我々は何もしていないしするつもりもない」


「そうじゃなくてもさせないわよ?」


 彼女が目を細めれば軽い殺気と恐ろしいほどの魔力が調査隊に向けられる。あの我々と同じような見た目にこれだけの魔力が一体どこにあるというのか。しばしの緊迫感のあと何事も内容に笑顔で答える。


「……ちょっと脅しが過ぎたわ、大丈夫かしら?……で、あなた達の言いたいことはなんとなくわかったけどそれを閉めてほしい訳ね?」


「あ、あぁ……そうでなくても何もしない、何も起きないことを保証出来ないか」


 というより今後目の前の様な存在が当然のようにやって来るとなれば混乱は避けられない。こちらからこの世界に行かせないようにすることなら可能だがどう見てもその逆は不可能だ。


「……そうねぇ、たぶん姫様なら出来るでしょうね」


「な、なら閉じるように言ってもらえないか?」


「でもそれならもう閉めてるはずですから、悪いけど姫様ができるのにしなかったのだから期待しないでほしいわ……せっかくですから存在の認知も含めてついてきてくださいます?」



――一方少し前のゲート外 世界樹側


「なっ……?!大丈夫なのか?あれは……」


「どうみてもそのようには……」


 調査隊のうち一人が慌ててゲートをくぐって戻ってこようとしていたのだが突然消えた。明らかに引っ張らられるようにしてゲートの向こうへと消えていった。何かに引っ張り上げられたとしか考えられない。だとすれば向こうでは何かがああったことが容易に想像できる。しかし他の者が一向に現れないのを考えるとだんだんと危機感が襲ってくる。


「……第二陣をおくっても無駄よね……」


「残念ですが……あの様子ではいくら追加で送っても……」


「もしもの帰還には備えて。あとは閉鎖方法を考えないと……縁に触れるなら物質として壊せないかしら?」


 先ほどおそらく原因と思われる炉の魔法陣は止めたがゲートが残り続けているため魔法陣どうこうではゲートはなくならない事がわかっている。


「あと五時間、いや四時間でなんらかの反応がなければ破壊してみましょう、その際アイヴィスも離脱してください」


「そうね……それで閉じれば御の字だわ。ゲート自体の解析の方は進んでる?」


 ただ監視しているだけではない。誰が見てもゲートは今後利用価値が大いに見込める、せめて真似事が出来るようになれば飛空艇以外の移動手段が生まれる。手に入れられる技術ならばなんとしてもここで手に入れておきたい……故に酔っ払いを叩き起こしてまでこちら側でもゲートの解析が進んでいる。


「申し訳ありませんが全くです。なにせ存在から構成まで未知の塊でして……そもそもどうやって存在しているのかデータを取るだけでもやっとと言いますか……ただデータからすると自前で魔力を補っているのがわかっています」


「破壊に切り替わるまでじっくりデータだけでも取っておいて。持って帰るなりすれば大魔導師様に見せることもできるわ」



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