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一般人だけど世界滅ぼしたので世界作ります  作者: 超蔟
第9節 異界遭遇編
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ゲート

「私が置いたところで解析不能になる訳では無いからなぁ」


 世界にあるものは技術的な制約、精度限界を無視すれば解析できないものは無い。出来ないとすれば異物か意図的にそのようにした場合のみである。今回異常をきたしたゲートも例外ではない。


「そもそもゲートならば君らだって作り出せるだろう」


「いえ、そうなのですがむしろどこに繋がったのか分からなくてですね、この世界なようですが確証がありませんので」


「ふむ……こちらとしてはそうだとしたならば触らずに観察したいところだが……」


 偶然にしろ誰かの生涯の研究成果にしろこれで世界樹側は転移の術を創造主からの情報なしに得たのだ。最初に開かれたゲートはどのようになるのか気になるところでもある。まぁ存在が知られてしまう【魔族】には悪い話だが。


「……それでしたらあの繋がったゲートを動かしてもらえませんか?流石にあのような位置に向こうからこられても困りますので……」


「それなら構わないが、君たちは動かせないのか?」


「挑戦はしましたが……やはり我々のものと規格が違ったので出来ませんでしたね」


 同じ類の物でも規格違いなんてことになるのか、むしろその方が面白い話だ。というか全く同じではないのに彼らの魔法が機能するのも不思議である。


 とりあえず城壁の入口あたりに今回繋がってしまったゲートを移す。それに伴いどこに接続したか調べてみる。


「あぁ……ここか、安心して良さそうだね。場所はこちら側の北方山間部、サイヴァス。通りで寒い訳だ……というか【魔族】は誰もそこには行ってないのかね」


「【魔族】にだって当然感覚はありますわ、できる限り活動するなら過ごしやすいところがいいに決まっているじゃありませんか。それを無視しても利が無ければ出来るだけそういう所は行きませんわ」


 確かに言われてみれば【魔族】だから感覚が無いなんて話はない。


「なるほど……話は変わるが向こうから接触があれば君たちはどうするつもりかい?」


「そうですね……何事もなければ五体満足で帰ってもらいましょうか、特に我々が今は知られて困ることはちょっと魔力を貰ってるぐらいしかありませんし、創造主様も我々と戦闘なんてしないままの方がいいでしょう?」


 ルルイエ率いる【魔族】と世界樹世界の人類の戦闘などルルイエ一人でも十分だろう。まだこちらにはあちら側のような限度なしは確認出来ない。今後の進化面での期待の為にもそれは遠慮願いたいものだ。


「姫様ー、繋がりました!」


「あら、もう終わったみたいですね」


 二人して動かしたゲートの反対側の様子を眺めているとアスタリアが城から飛んできた、どうやれゲートを繋ぎ終えたようだ。


「……長居は必要なさそうだ、私は向こう側がどういう反応をするか観察させてもらうよ」


「ええ、手間をお掛けしましたわ」


 男がそのまま消え、研究室へと引っ込む。緊急事態と言われまたあのような化け物が来たのかと思っていたがそんなことは無く、むしろ楽しみが一つ増えることとなった。最近は神様から聞かされていた局地的な時間超越を受けた都市の監視と復興への簡単な調整ばかりで楽しみが欲しかったところだ。



「……なにも起きませんね」


「ええ、さっき脚を引っ込めたっきりです」


 今現在国の騎士団とアイヴィスの乗組員の内まともに動ける人間が例のゲートを囲って事に備えている。丁度集まった頃に一度また船が蹴られ最初は酔いでも回ったかと思われたらしいが疑われることなくこのようになった。


「それにしてもこの国には便利な魔道具があるのねぇ……確かにこれがあるなしは大きいわ」


 そう言ってリースが眺め回すのは結晶とは違う平たい面を持つように削られその面に魔法陣が掘られた赤い石をはめた指輪である。


「安物ではないので流石にそれを差し上げることは出来ませんよ」


「と、当然わかってるわ……むしろこれがあるからあなた達はじっとしてられる訳だしね……」


 こちらの乗組員には貸出のみとなったがこの指輪が非常にありがたい。動けば恐ろしいほどの熱を溜め込む鎧はその素材上冷たくなってしまうと暫く冷たいままであり、常に冷え込むこの地域ではそれは致命的なものだ。そして低温下での任務やじっと待機している際には体温低下がどれほど危険かは言うまでもない。


 そういった問題を解決するのがこの指輪。はめて軽く魔力を流し込むだけで寒さを遮断し最低限の暖かさまで確保してくれる優れものだ。魔力を流すと言っても普段使いの魔法に比べてかなり少量でいいので魔力不足も気にならないという。必要な国にしか流れてこない上に一つ一つが飛空挺一隻という恐ろしく高価なものだがそれでも欲しがる国は後を絶たないのが現状だ。


「やっぱりこういう装備も揃えてほしいわね……あとで上に掛け合って少数用意してもらえたりしないかしら……」


 しかし今ここは別に指輪の展示会ではない。あまりに何もなくほかのことに気を取られてしまう。


「ごほんっ……艦長殿、指輪から戻しましょう。あのゲートですが何か向こう側がどうなっているか分かれば対応しやすいのですが……」


「そ、そうですね、失礼しました。あのゲートまでは危険はないようですが向こうから何が来るかが……」


「では少数を選抜して覗いて見るのはどうでしょう、幸い環境的には危険は内容ですし」


「こちらからそんなのができる人がいたかしら……」


――こうして約十人程の混成隊が構成された。アイヴィスから送られたのは解析専門の魔法使いと副官のみだったのはお恥ずかしい話である。

移動位置確認したら壁が抜けてた大惨事

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