表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
一般人だけど世界滅ぼしたので世界作ります  作者: 超蔟
第8節 アイヴィス編
117/226

同型艦

「女王様、ありがとうございました」


「これがお礼になるのでしたら何度でも……とはいきませんができる限り協力しますわ」


 話し合いは無事に終わり船を出ると迎えの騎士が既に待機していた。


「では期日には……それまでお世話になります」


「ええ、まだ完全には復興していませんが、国民はあなた方を歓迎してくれるでしょう」


 隣を見ればアイヴィスの隣にはもう一隻同規模の飛空艇が泊まっている。違いといえばこちらは軍属、向こうは民間ということだろう。武装は魔物を追い払う程度の簡単な物、装甲も魔物から守る程度である。有事の際同型同士で殴り合う設計のアイヴィスと比べればどれだけその装備が拙いことか。……と言っても輸送に関して言えばこちらは装備の分限りがあるので軍民で比べるようなものでもない。


 さて、この同型の最大の特徴は左右上方から伸びる二対の大きな翼であろう。まさに空を飛ぶ魔物の翼を再現したかのようなそれは今は畳まれているが飛び立つ際に開けばおおよそ船体の幅の数倍という長さになる。風を受け上昇の手助けとし、さらに煽り風を受け流せる構造はこの国ならではであろう。近年この国で飛び始めた小型艇も横にひらべったい物が主流となっている。


「この国は軍用にはしないのですか?」


「侵略しないうえに防衛でも不要、かと言って商売なら話は別。軍にいらなくても民には必要です、国が保有しているもの全てが軍用な訳がありません」


「……そうですね、余計な口出しでした」


 確かにこの国で防衛するなら地の利を活かす、地の利を活かすのにこの高峻な山々をわざわざ超える飛空艇は不要だ。高所の利は山頂にいれば得られる。


 かと言って商売は情報を含め鮮度が命。自国の商人は回り回って自国に富をもたらす。国営で企業一つ抱えてることなど珍しい事でもない。ここの皮産業も国が一枚噛むことで保護を兼ねつつ収益のごく一部を受け取っていた。本来なら嵩張る物、保管をに手間のかかる品物こそ大型艦の価値が出てくるがここでは地理的に大型艦は価値があるのだ。


 女王を見送り今度はティナの元へと向かう。ボイベン以来の地上での休息、それと改装についての報告だ。



「あ、所長お疲れ様。アイヴィスの魔力はまだ八割はあるから缶一本借りちゃった」


「ええ……」


 普段リースがいる艦橋が暖かい、その訳は目の前にある。そこらの廃材から簡易的に炉を作ってしまったからだ。本人曰く改装に向けて金属を溶かすためと言うが確かに炉になっているとはいえ細部を見れば明らかに暖をとる仕組みの方が機構として割合的にどう見ても大きい。魔力を借りるとは聞いていたがまさかこうだとは……


「……その魔法陣はどうしたのよ」


「食堂から借りてきたの、皆外だろうから使っていいって」


「それ、火力足りてる?」


 当然のことだが料理の火力と鍛治の火力では比べるまでもない程違う。料理用ので鉄が溶かせるわけがないのは火を見るより明らかだ。


「足りてる……というか足らせたよ、そのためのこれ」


 そう言って繋いである缶をぺしぺしと叩きながら説明する。


「魔法の大原則、効果は投入魔力に比例する。そりゃもちろん投入し過ぎないように魔法陣側で制限してたりはするけどそれを外けば効率にさえ目をつぶることになるけど魔力を投入すれば底上げはできる。リミッターを外すぐらいなら適正関係なく魔法陣読める人なら誰でも出来るしね」


 魔法陣とは非常に遠隔で行使出来ることに関しては便利なものだ。魔法陣の起動には魔力の流し込みが必要だが別にそれは自然の魔力でも人工的なものでも構わない。現にこの船の常に動く様なものは周囲から魔力を得て動くし最悪機関の結晶から引っ張ってくればそれで動くのだ。つまり彼女は必要量の二倍を流し込むために缶を使ったわけである。リミッターを外すというのも知っていれば難しいことではない、魔法陣から各当部分を消すだけだ。


「そうだったわね……それはわかったわ。でも材料はどうしたのよ」


「瓦礫から貰ってきたよ、あとはそこらの工房から壊れて溶かし直しのを安く買ってきた。たった六つ分だし鎧か大盾でも溶かせば足りるしね……あぁ所長、ちょっとこれの型を【錬成】してもらっても?」


 ティナが図面を広げある一部分を示す、よく見ると再装填用のガイドだ、確かに曲がりくねっているものをフリーハンドで複数そのまま作るのは難しい。


「これの型用の物を作ってくれってところね……まぁ一二回ぐらい使えればいいんだからそこまでがっちりさせなくてもいいわね……はい、これでどうぞ」


 型の元を渡せばすぐにティナが掘り始めた。自分が掘ってもいいのだが設計図を持っているのはティナしかいないので手を出すことはできない。パーツ的にもそこまで大きくはないので図面に合わせてガイドをつけ掘っていく作業はすぐに終わった。


「で……あとはこっちが溶けるまで暖を取りながら待つ……と言ってもさすがに暑いと思うんだけど」


「それは同感……ただ温度は下げるわけにもいかないしドア閉めて薄着にでもなればいいんじゃないかな、幸い魔法陣で火つかってるから換気してればいいだけだしね」


 冷え込む外の人々の恰好とは真逆の恰好の二人が艦橋で待っている。あぁそういえばもらった酒やら何やらが仕舞ってあったような、消費してしまおう。

(´・ω・`)NE☆O☆CHIには気を付けようね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ