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一般人だけど世界滅ぼしたので世界作ります  作者: 超蔟
第8節 アイヴィス編
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いつもと違う

「射程内入りました!まだあいつらは撃ってきてはいません!」


「……今はまだ撃たないで。命中率が期待できない以上引き付けるのよ!」


 あの大小様々、色合いも様々で同族でも同種に見えない彼らはいまだにこちらに向かってきているが何らかの攻撃を放つモーションは見えない。このまま無視できれば理想だがどうだろうか……?


「……全砲門、装填しといて。撃ち方用意」


「撃ち方よぉい!」


 砲が一斉にドラゴンやら龍やらの塊方へ向く。リースの号令一つで火蓋は切って落とされるであろう。緊張が走る。


 ふいに一瞬だけ先頭にいる黄色、いや金色のドラゴンが青い魔法陣を張った。しかし同時には何も起きない……一体何の魔法なんだろうか、いやそれよりも攻撃するべきだ。


「あれは攻撃の前触れか?撃ち方はじ――」


「艦長!あれは解析系です!攻撃ではありません!」


 伝声管から索敵の魔法使いの声が遮るように入ってくる。


「……嘘じゃないんだな?」


「艦長、魔物が解析系を使うのは初めて見ましたがあれの魔法陣は間違いありません」


 まだ攻撃は受けていない。解析系を使える時点でおそらく知能は高いとみて間違いないだろう。これで相手が襲ってくるか何もしてこないか……


 そのままドラゴンの一団はアイヴィスに接近してくる。万が一に備えてアイヴィスの防御障壁が起動された。これで前回と同じような攻撃であれば最悪出力に喝を入れて無理やり脱出も視野に入れられる。遂にドラゴンはアイヴィスの十mぐらいのところまでやってきた。明らかにこちらを見ているが一向に攻撃する気配はない。しかし……


「か、艦長……これは……」


「ま、まだよ……これで引いてくれるなら何もしないで済む……魔法使いだけ何があってもいいようにしておきなさい、砲手は装填したまま撃つな」


 囲まれてしまったが包囲殲滅のためと言うよりはじっくりと観察しているように見える。前に来てみたり後ろから覗いてみたりと子供が物を舐め回すように見る所作に近い。それにほかの個体と会話するかのように鳴き声をあげていた。甲板の魔法使いたちはすぐに対応できるように障壁、あるいは攻撃出来るように予備動作だけ済ませて待機し、万が一に備える。そんな中とある報告が伝声管から上がってくる。


「か、艦長、こちら第三砲塔です……ヒステリックを起こした奴はどうす――」


「おい、なんでそんな奴を砲に入れた!今すぐ追い出せ!」


「は、はい!」


 私が答える前に副長が怒鳴った。……というかそのヒステリックを起こした奴には心当たりがある。どちらにしろ誤射する可能性がある人を砲に入れてはいけない。


「艦長、このまま離脱しますか?」


「できるならばそうしたい所だけど……あっ」


 副長からの提案を返すがてらふいに艦橋から窓を見たときである。例の先頭にいた金色のドラゴンと目があった。その目は蒼く、無限に広がる力強さを感じさせる。その瞳と強大な存在を前にしたからか動くことが出来なかった。


「……長?!リース艦長!?」


「えっ……?」


 副官に揺さぶられて我に返った。


「あれと目が合ってから全く別人のような瞳になっていましたが……大丈夫ですか?」


「だ、大丈夫なはずだけど後で確かめてもらうわ……あの後の指揮は?」


 もう一度船の周りを見回すともうすでにドラゴンらの姿は見えなかった。一体どれほどの間現世離れしていたのだろう。周りの乗組員も心配そうな目で見ている。しかしそれよりも船のことが心配だ。


「私が代理で。とりあえずあの後はそのまま艦は離脱させました、船に被害はありません」


「そうか……」


 とりあえず一安心だ。まぁ私を起こすという采配もあったのだろうがおそらく戻ってこなかったのだろう。副官の彼はもとより軍属、私より経験がある……が艦を動かす魔力的適性がなかった。さて、艦についてはこれでいいとして次の疑問を解決しよう。


「ところで……ひと段落したところでこの鎧について聞いても?」


 覚えていましたか……と観念したようで頬をかきつつ白状した。


「あー……それはですね……アイヴィスの制式の鎧が欲しいという話が前々から乗組員の間でありまして……いや、私がそう言ったわけじゃないんですが……そしたら代表であるリース艦長に着せるという話まで進みましてね?さらに言えば艦の代表は中立性を示すためにもどこかの国の鎧を着るのはまずいのでそれで新しく作ろうということに……」


「なるほど……?でもサイズがぴったりなのは全く訳が分からないわ……それにいつ作ったの?」


 本題はこっちだ。それを聞かれると今度は周りから互いに何かを合図するかのように目だけで会話している。それもお前が言え、私が言うのか?と互いに言い合うかのように。


「いつ作ったのか、と言われると実は船の中で戦域に入る前、ですね……中に鍛冶が出来る者がおりまして……でサイズのほうですが……実は……洗濯の時に全員の衣服を有事の時につくれるようにという名目でリストアップしよう、とティナさんが……」


 しばらくの沈黙。要するにティナがなにかを企んで私含めた全員分の衣服からサイズを割り出したということだ。乗組員は男女で洗濯物ふくめていろいろと分けているから見分けるのは簡単だろう。しかし今は冷静に語っている場合ではない。


「……ティナ、ちょっと動かないで!話があるわ!」


 顔を真っ赤にしてリースがそのままティナのいるところへ走っていく。しばらくしてティナの悲鳴が聞こえたのは言うまでもない。

前日の昼ごろにも更新はさんでいるのでそちらも

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