表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
一般人だけど世界滅ぼしたので世界作ります  作者: 超蔟
第8節 アイヴィス編
103/226

土にお帰り

 砲弾がアイヴィスに着弾する手前船体から青白いフィールドが展開される、これこそが新しく搭載される簡易障壁である。障壁に対して正面から飛び込んだ砲弾は押し返されることすらなく触れた瞬間に押し潰され炸裂した。


「おし!成功した!魔力消費はどれ程だ?!」


「十本中今ので一本です!」


「やはりまだ……効率が……」


 一本、ペトラの特殊腕一本分と同じ量である。彼女はその一本も使い切ることはなく装甲板を加工して見せているのを考えるとどれだけ効率が悪いかが分かる。


 魔法使いを使わずに大規模な術式を魔法陣のみで行使するには未だに魔力のロスが大きい。いくら魔力を燃料として用意できると入っても一回の展開でそんな消費をしていては実用性は皆無だ。こんなのでは戦闘開始から数分ももたないだろう。それに加えてさらに問題もある、展開中は内側から撃てないのだ。内側から撃った所で障壁にぶつかってしまう。


「障壁自体の性能悪くないんだが……」


 頭を抱える設計師をよそにそれを見ていたユラは何か考えている。


「ふむ……ちょいとまた魔法陣を書き直させてもらうがよいかの」


 そう言ってまた甲板へと上がっていき、何やら盛大に書き換え始めた。もやは元の魔法陣は残っていない。さらに魔法陣自体の数もふえ三つ、四つと甲板に書き加えられていく。ユラが書き終わる頃には五つの魔法陣が並べられていた。


「さて、あとはこれで良いはずじゃが……」


 仕上げに中央に置かれた魔法陣に魔力を流し込み起動する。すると連動してほかの四つも起動し始めた。それで完成のようでそのまま先ほど試験時にみまもっていた場所へと戻ってきた。


「まぁ魔法陣は五つじゃがこれで格段に消費は減るじゃろう」


「い、五つ?!そ、それでは消費が……」


 残る魔力は九本分という状況でユラの魔法陣を見れば膨大過ぎる消費に稼働は無理だ、と言うだろう。それが常識と言われるがユラの魔法陣はそれを覆せる仕組みがある。


「使ってみればわかるはずじゃ……っ?!」


 とその時である。甲板よりも少し上の所で突然火の玉が炸裂した。ユラが慌てて壁を作り出したおかげで大きな被害は免れたが怪我をしたものもいるようだ。壁を作るユラの前にペトラが割り込みユラを守る。


「ユラ様っ!お怪我は?!」


「なに、わしは平気じゃが……それより他の者は」


「だ、大丈夫です!擦り傷程度で重症者はいません!」


 一体何が……と考える間もなくその元凶はすぐに現れた。あの創造主によって作られた龍共である。恐らくこれまで追い返してきた分の仕返しとでも考えているのであろう。今にも次を放とうとしながらアイヴィス直上を周回している。その場にいた作業員は機関に向かわせる。


「リース艦長、指示を」


「すぐにアイヴィスに乗れる奴は乗り込むんだ!戦闘態勢、砲手は誰がやっても構わない、急ぎ迎撃せよ!」


 作業員も例え戦えなくてもドックに居るよりはアイヴィスに乗った方が安全だと踏んだのだろう、新しい搬入口から駆け込んでいく。まだ機関を稼働させていないアイヴィスは沈む事はないので妥当な判断だろう。しかしながら乗ったところでまだアイヴィスには砲はあっても砲弾は一つもない。直上の怪物に弓も届かなければ魔法ぐらいしか対応が出来ない。


 全員がとりあえず艦に入る頃には甲板の木造部分は既に火の海となっており下手に手出しが出来なくなってしまった。


「くそっ一体何だってこんなこと……それにあんなの魔物にしたってみたこたねぇ……」


「流石にアイヴィスもまだ耐えられるがいつまで持つか……」

 

 船体が揺れる度作業員同士でも不安が募る。あのような魔物は戦ったことすらないだけでなく見たことがない。上空でも大きく見えるのだから地上での大きさなど考えたくもないほどだ。


 そんな中ユラとペトラがせっせとなにか準備を始めようとして設計師に話を聞きに行ったようだ。


「リース艦長。あの砲弾のサイズをご存知でしょうか?」


「……砲弾?砲弾は試験に使った砲の付近にしか……」


 一体何をするつもりかと思いつつも艦には今は砲弾は一切積んでない旨をペトラに伝える。


「だ、そうですがユラ様」


 ペトラがユラの方を振り向いたときにはもうすでにユラが例の砲を魔法で移動させ艦内まで運んでくる。運よく被弾はなく中の砲弾も無事だったのだがそのまま砲から取りだすとその砲弾を躊躇することなく解体し始めた。するとほかの作業員が何かに気が付いたようでその解体を手伝い始めた。


「ユラ様、パーツにするのは我々がやりますからユラ様は【錬成】の方を!」

 

「うぬ、頼んだぞ」


 そう言って解析されたパーツを大急ぎで【錬成】を使い複製していく。今回は精度に我儘は言えない、まず数をそろえて撃つのが今は最重要だ。一つ、また一つとユラの手でどんどん砲弾がつくられていった。


 砲弾さえあればもうアイヴィスに守られてるだけじゃない、作られた砲弾は引く手あまたに使える砲へと運び込まれ間髪入れずに上空から迫りくる脅威に撃ち込まれ始めた。数十と撃ち込み始めたが命中率はさほど良くなく、命中したのは数発ほどであった。しかしそれでも効果はあったようで龍は翼に穴が開いたのを発端にバランスを崩しそのままドックへと堕ちていった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ