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一般人だけど世界滅ぼしたので世界作ります  作者: 超蔟
第8節 アイヴィス編
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量産できるもの。できないもの。

 ペトラがてきぱきと加工を施していく一方でユラはユラで【錬成】を駆使してパーツを量産してくために錬成で作り上げた素材を流し込んでいく。これで作り上げる金属は純粋なものから合金まで、ましてや融解なども自由自在だ。


「どうじゃ、これでよいかの?」


「硬さもバッチリですね……取り出しまで時間があるのでユラ様、おひとつ伺っても?」


「結構じゃが……あのペトラのことですかな?」


「えぇ……あんな【魔製人形】は初めて見たので技術者的な知見としてぜひ……」


 その後ペトラの構造的な話でかなり深い部分まで質疑応答があったが特に盛り上がったのは今回使用されている特殊腕についてだ。あの腕は【魔製人形】でなくても作業員が使うことができれば毎回遠くから高名な魔法使いを呼ぶ必要がなくなる。それだけにとどまらず彼女の様子からして高度な術ではなかった。あれは万人にも使えるようになれるはずだとペトラの手際を観察した設計師たちは踏んだのである。


「――ところで彼女が取り替えている腕についてなんですが……」


「ふむ……いや、あれが正直なところほしいのじゃろう?まずあれの構造じゃが単純なものじゃな。魔法陣を複数重ねておる、それをこちらで開発した方法で上手く同調、出力の安定化を図ることで極めて小さな一点という条件付きじゃが高出力化を成功させたのじゃ。デメリットは言うまでもなく膨大な魔力消費。じゃが……ここにはそれをどうにかする術はここにいる誰でもわかるじゃろ?」


「……なるほど……ちなみに量産化なんてことは……?」


 構造把握は技師として気になるところだがそれよりもこれの量産と普及が可能なのかが焦点だ。膨大な消費魔力と言うのはここならいくらでもカバーが出来る。最悪そこらへんの噴射機関の燃料から持って来ればどれだけ大出力だろうとあの腕に積まれていた燃料を想像すればそう問題ないだろう。


「……まぁどうしても魔法陣を作るのに手間も必要なのは周知じゃがそれよりも枚数が必要でございましてな……外から見れば五つに見えるでしょうがあれは実は指一つに十程度魔法陣が重なっておるんじゃ。そこはまぁ置いといてもう一つ、それについて相談がありましてのう?」


「量産化の詳し話は後で進めるとして……その相談とは……?」


「彼女を見ていたのだからわかると思うんじゃが、手をはさみのようにしておったじゃろう?あの指に使っている金属がどうしても量産できなくてのう……【錬成】で同じように見えてもどうやら魔力の通り方が同じにならなくてな、寸分なく同じ魔力の通し方ができ、あの装甲版よりも高い火力に耐えうるものが量産できずじまいなんじゃよ。ペトラに積んだのはその中で奇跡的に成功した物じゃ」


 何と言うことか、ただならぬ精度、それもかの大魔導師様ですら奇跡的と称するほどのものを要求されてしまっては量産は現状では絶望的ではないか。しかし精度の高いものを作れるようにするのが我々の仕事とするならばもしかすればできるかもしれない。そう淡い期待は捨てないでおこう。


「……後日またしっかりと相談しましょう、ここではその製作ができるかの判断は怪しいので……」


「わしは学園があるからのう……今度は来てもらうことになるかもしれんが大丈夫かの」


「えぇ、それはおそらく大丈夫でしょう我々のうちアイヴィスに乗らない者もおりますし、我々には離れていても独自に連絡を取れる手段がありますから」


 なんら念話の様な魔法があるわけではないがアイヴィスからマグを飛ばせば並大抵の生物より早く動くことはできる。多少の荷物であってもそれは変わらない便利な手段だ。

そのまま次に伸ばすことになってしまったがその段どりを話し合ってるところで作業員からパーツを取り出し、組み立て終わったとの報告が入った。


「あ、申し訳ありません、相談中でありましたか」


 そのまま一度戻ろうとした作業員を引き止める。特にこの話はいつでもできる。終ってからでもいいぐらいだ。


「いや、気にするな、で?終わったのか」


「はい、なので搭載の方をお願いします」


「ふぉっふぉ……ペトラにやらせてしまったからのう……やっとわしの仕事か」


 ユラを先ほど作られたパーツをくみ上げられて完成されたもののところへと案内する。ユラに作ってもらっていたのは新兵装となる物だ。


 原理も完成しており、現物もすでに何基か稼働状態にはもちこんであるのだが今回のように戦闘に投入するものとしては初めて、かつ艦載も初めての兵装。各国の思惑が滲みやすい軍事において唯一共有される技術となる兵器。


「……今回みたいなことがあるからのう、使わない兵器と言うのが一番幸せなんじゃがな」


「…………」


 ユラの顔が先ほどとは打って変わり暗い。彼の掲げていることを考えてみれば当然だろう。名目は輸送時の対魔物用としているがそんなのは建前でしかない。人に撃てば当然人は死ぬ。

 

 原理だって魔法陣を事前に弾の後ろから貼り付けて蓋をしそのまま発破するだけなのだからいくらでも人殺しにでも龍殺しにでも人の発展のためにでも転用、応用できる。それに今後パーツの量産自体が出来る以上増やそうと思えばどんどん増えていくのが自然だ。


「この艦では人殺しの無いことを願うがの……」


 そう言いながら必要なものだから仕方がないとユラはそれを何門か甲板や側面でペトラが事前にあけた部分に魔法で砲を動かしてアイヴィスに一つ、また一つと取り付けていった。

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