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一般人だけど世界滅ぼしたので世界作ります  作者: 超蔟
第1節 基礎創世編
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ステータスと種族①

 一端休息を終え、マキナは任されている世界のチェックに向かった。

 その顔はまだ不安は残っているようにも感じられるがいくらかほぐれてきている。

……コーヒー牛乳を飲んでいた時が常時になるのが今後目標だろうか。

 自分も観察に戻る前に一つ確認しておこう。


「トール、今現在の君の種族はなんだ。」


「私の種族でございますか……創造主様の指定された通り、【ドワーフ】でありますが?」


 突然不思議なことを聞いてしまったが、そのまま必要なことを返してくれるのは素晴らしい。


「やはりか……【ドワーフ】の中には区分はないのか?」


「なるほど、そういうことでございますか、創造主様、残念ながら今現在はそのような区分は発生しておりません、おそらく【ドワーフ】の中では私が必然的にその知識と鍛冶の腕では最上位に当たるでしょう。しかしながら種族の区分方法は創造主様が指定をなされていないので種族の中での技能の序列で名づけられるようになるかと思われます……加えて私はまだ世界に降りていませんからね、その序列も生まれていないかと思われます。」

 

 質問の意図を把握したトールは補足情報まで加えて返してくれる。

 これに加えてほしいと思った時にコーヒーはいかがでしょうか?と聞いてくるのだから恐ろしい執事だといえる。

 

「……トールは種族の区分は見た目にも現れていた方がいいと思うか?」


 急にトールが真顔になる。


「創造主様、その見た目の違いは差別を生む可能性をお忘れなく。余りにも安易に上位の区分へ行けるようにすることは種族内での差別、最後には内部分裂まであり得ます。火種を増やさぬようにご注意くださいませ。」


 普段と変わらないように喋っているが目に力が入っている、どうやらトールは争いの火種も嫌う性格になっているようだ。


「そこまで簡単にするつもりはない。そういう区分変更の条件を険しくすることで下位区分を差別することのないようにすればよいであろう?……そうだな、トール、これはどうだ。」


 そう言って取り出したのは子供時代の黒歴史ノート、今では大事な参考文献だ。

 そのノートのあるページを開いてトールに見せる、恥ずかしいが仕方がない。


「ステータスとレベルでございますか……悪くはないと思いますが文明が発明する前に数字の概念を与えることになります。特に0を与えるのは早いかと。比較するという文化ができてから何かの拍子に与えるのが良いかと思われます。」


 トールが0を与えるのは早いといって気づかされた。

 0――それは無を表す数字だ、これの存在で数学は飛躍的に進むことになる、0の発明は時代を動かすものなのだ。

 例えば物事を数えるときに1個、2個と数える、数え始める前を0と仮定すれば、始めれば1,2、とでき、物事が空っぽであることを指し示せるのだ。

 物事の基準としても運用でき、その前後で数字の正負が入れ替わる。

 0が存在するから私の世界では計算だってできたし、物事の基準とすることもできたのだ。


「確かに早いな……参考として今の文明レベルはどれぐらいだ」


 導入する時期の目安を立てるべく尋ねた。

 自分で確認してもいいのだが会話してる最中に聞くのもいかがなものかと思ったのだ。


「私が把握してる限りではすでに武器を自作し、物々交換と言語によるコミュニケーション、役割分担はできるようです。」


「思っていた以上に早かったな、もうしばらくかかると思っていたが……」


 種族配置によって彼らは人類史よりも百万年分のショートカットをしたことになる。

 彼らに独自性を持たせる期間としてはショートカットしても大丈夫だったと思いたい。


「彼らの進化はおそらく――」


タッタッタッタ――

 軽快な足音がする、目をやると……


「おとーさん、おとーさん……!」


 走ってくる人の姿がある、トールは話をしていたのを切り上げ、何事もなかったかのように振る舞い


「これはマキナ様でございますか、何かあったのでございましょう?」


「マキナの世界で【ギルド】と【パーティー】の原型が出来上がったの!周囲の生き物が強くて狩れないからそれを倒して持ってきてもらう代わりに報酬を預ける集会所ができたの!」


 百万年といったが五百万年分分近くショートカットしているのではないだろうか、これが示すところは労働が物の価値として成立する、という認識が広がったということだ。

 【パーティー】は一族や集落全体ではなくその狩猟討伐専門の人々が集まって協力しているということになるのだ。

 

「マキナ、それは世界の複数個所でみれるのかい?」


 地域性のものになってしまっては意味がない。


「マキナが見た限りでは、数十の大きな集まりで存在を確認したの、それにその集団間を渡り歩いて広めてる人もいるみたい……」


「マキナ様、もしかしてその方々は行商みたいなことをしていらっしゃいませんでしたか?」


「……?マキナが見た限りでは渡り歩いてる人たちはただそうやって喋ってるだけだったよ?あ、そういえば【パーティー】で渡り歩いてるところはすごい周りの人より強かったよ!魔物の攻撃を防ぐ手段も持ってたし、何度か勝ってたの」


 情報が価値として扱われている、それだけではない。 

 すでに魔物に対抗する力を得ている人間がいる。

 すごい強いというグループが魔物に何度か勝っているということは当然それが出来ない人が多数であって、戦闘が立派な役割として確立されているともいえる。

……衝撃的な文化の発展度合いだ、これに関してはトールの驚き様でもわかる。


「トール、彼らがもしもだ……もしも物事を計算する概念を持っていたらステータスを実装してもいいと思わないかね……?」


「ここまで早いとは思いませんでしたね……創造主様の仰せのままに。」


 ついでだ、その【パーティー】がどれぐらい発展に貢献してくれるのか見てみようではないか。

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