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Ⅰ:Revive

ーー決起三日前ーー


 強襲揚陸艦ヴァスタードはマスデニア帝国から南に広がる広大なベルー海を航行していた。グレーに塗装された全長600メートルもあるこの艦艇は数々の武装に加え、対潜水艦戦、対水上艦戦、対地攻撃、航空戦闘、輸送任務、災害地への人命援助活動など、あらゆる状況、任務に対応することができるマスデニア帝国の技術を結集させて作り出された艦艇でありその姿はまるで要塞のようである。


その艦内の中心部に運用管制室はあった。半円形の室内には座席が十席配置され、各座席ごとにモニターや、コンピューターが配置されてはいるが、どの座席もモニター以外は全く別物のコンピューターが配置されている。その半円形の室内のちょうど中心点にこの艦艇の全ての権利と責任を握っている男がいた。大柄な体格に髭を頬から顎にかけてはやしている如何にもという風貌をしたその男はどっしりと艦長席に座っていた。


 名前はレヴィエス。彼の顔からは戦地に赴く兵士が浮かべる独特な緊張の色は見られなかった。それは艦長であるレヴィエスだけでなく他の乗組員も同じであった。それもそのはず今回の任務は戦闘行動が一切ない物資の輸送任務だからであり加えて航行する海もマスデニア帝国の領海だからであった。


「バーンズ国防長官より入電です。音声出ます。」


オペレーターがそう言うとセンターモニターの映像が切り替わり画面には「SOUND ONLY」の文字が表示された。


「艦長、状況はどうだ?」

挨拶も無く本題に入った低い声が運用管制室に響き渡り、それと同時に運用管制室内の乗組員全員の視線がセンターモニターへと向けられた。


「は!良好です。約5時間後には帝都グラナスに到着いたします。」

「では、5時間後に私もグラナスに向かう。くれぐれもトラブルは引き起こさぬよう用心しろ。」

「お言葉ですが長官。この海域では用心する必要はありませんよ。」

レヴィエスはにやけながら自信たっぷりに言い放った。事実それは当然の事である。


「用心しすぎるくらいが丁度いいのだよ。いいか用心したまえ。」

レヴィエスの言葉に対し間をおかずにバーンズ国防長官は念押し、返答を聞くことなく一方的に通信を切った。


ーー強襲揚陸艦ヴァスタードは少なくともこの時まで何1つの問題も無くグラナスに向かっていた。しかしこの通信を最後に消息を絶ったのである。

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