スライム ギノ 冒険編
1日暇だったけど,午後丸々使ってしまった.いいけど疲れた.
(前回のあらすじ)
スライムに転生したギノは生前の記憶があったためスライムでは考えられないほどの知能があった‼おかげで仲間達と棲み家にやってきた人間を狩ることが出来ていたが、人間を殺しすぎた。
話が広がると妖魔がいると思ったホーリーナイトがやって来て多くの仲間が殺され、さらに名前だけだが有名になってしまった(スライムとは思われていない)。
同じ過ちを繰り返さないため、本を盗んで勉強し、ついに簡単な魔法を使えるようになった。
そして生き残った仲間と協力し、並みの冒険者なら待ち伏せすれば倒せるようになったのだった‼
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ギノ達はまず、めぼしい本がもうない村をスルーして町へ向かうことにした。
先行して長老、リーフィア、ハクが歩いてうしろからギノとリーフが歩いている。
(長老、この前聞いた話によると図書館があるらしいですよ❗)
(ほほう、それは楽しみじゃの。生きててよかったわい。)
(私はゆっくり休みたいわ。外だと魔物じゃない動物や人間もいるから気が抜け無いのよね。まだつかないのかしら⁉)
(今日中には着くからもうちょっと頑張って。リーフとの話が終わったら俺達も合流するから。)
(ギノ、やっぱり魔法関係の全ての本を見るのか??目立ってまた強いやつに探されたら終わりだぞ⁉)
(うん、やっぱり力を付けとかないと。スライムが本を盗むなんて思わないだろうからまずそうだったらすぐ逃げればいいさ。)
現在は森を歩いていて、これを抜けると見晴らしのいい高地に柵に囲まれた町「ルーパ」がある。ここは大きくはないが周囲の村から都などへ向かうためにたくさんの人間が訪れ、物の流通が盛んである。町の建物は煉瓦で作られていて広場には噴水などが設置され賑やかで明るいイメージだ。見張りが立ってはいるが人間の出入りが自由なため、たまに荒くれ者が問題を起こすらしいが大事になる前にギルドの職員が止めるそうだ。
(さあどうやって見張りの目を掻い潜ろうか?)
(マントで人間を装う?それとも見張りを殺っちゃう?)
(リーフィア怖いよ。僕は夜を待って忍び込むのがいいと思うけど。)
(そうじゃのう。ゆっくり待ってもいいが、もうリーフが動いておるぞ。)
見張りを見てみると、逆側の茂みから興奮した鹿が複数飛び出してきて応援で呼ばれているようだ。
(じゃあみんな中に入って自由行動で。夜になったらテレパシーで連絡するね。)
((((YES!BOSS!))))
(じゃあ図書館へ行きますか長老。)
(そうじゃのう、行くとするか。)
図書館は町の隅にあり、侵入した場所から近かった。
(入口に受付が1人、中には利用者が数人いるだけで警備はいないようですね。)
(じゃあ窓から入るかの。本は窓の外で読めばいいんじゃろ?)
(そうですね、同じところで周囲を警戒しながら読みましょう。)
魔法書の区画には魔法使いが1人本を手に取っていたので、立ち去るのを待ち、良さそうな本を探した。
「風魔法中級。気配編」
(俺は今日はこの本を読むかな)
外へ出ると長老がもう既に本を読んでいた。
(なにを呼んでいるんです?)
(魔法の基礎の本じゃ。ギノと違ってまだうまく理解できてないからのう。回復位してやれればみんなも戦いやすかろうと思うて。)
(それはいいですね。では暗くなるまで読みましょうか。)
リーフィアとハクは小さな家に入り込んでいた。
(このお肉美味しいわね。牛乳もあるし天国だわ。)
(僕たちが食料を確保しとかないといけないんだよ?)
(この家でいいじゃない。)
(また適当なこと言って、確かに少し他の家から離れてるし旅人への貸し出し用みたいで人の出入りもないし食料もいっぱいあるし、、、、ここでいいみたい。)
(ほらね。軽く食べたら隠れられるように少し荷物移動させたり非常用に抜け穴作ったりするわよ。)
(わかったよ。)
そしてリーフは森にいた。
(くそう、鹿はすぐに捕えられちまうしあいつらは先に町に入りやがるし・・・。夜まで待つか。)
そして夜
(みんなー図書館に集合!次の見回りは明日の朝らしいからゆっくりできるよ。)
(私が見つけた小屋の方がいいわ。旅人がくるまでたぶん人が来ないし食べ物をあるわ。)
(僕もこっちの方がいいと思うよ。)
(仕方ない移動するかの。)
(わかった。本も読めないしそっちへ行くね。ところでリーフはどこにいるのかな?)
(今町へ入ろうとしているところだよ!!もうちょい待ってろ!)
夜はみんなで干し肉とさっき拾ってきた野菜を少し食べ、俺と長老は今日読んだ本について話し、リーフィアとハクとリーフは念の為に金属を溶かして鋭い刃物を作っていた。
2日目、3日目と本を読んで過ごし、そして4日目に家に帰ると揉め事が発生していた。
(人間のお肉が食べたいわ!!)(俺もそろそろ食いたい!いつまでも干し肉じゃあ持たないだろ!)
(でも人を食べたらここも見つかっちゃうよ?せめてギノ達が本を読み終わるのを待とうよ!)
(そんなに待てないわ。いつになるかわからないじゃない。ここだって住めるとはいえ洞窟ほど安全じゃないし、移動もしないといけないじゃない。)
これは大変だ。だが問題はない、この数日でだてに勉強してた訳じゃないぞ。
(みんなごめんね。リーフ、裏道とかでいなくなっても問題ない人ってわかる?)
(あぁ。見つけといたぜ。とりあえず5人ほど。)
(よし、じゃあちょっと魔法かけるからリーフとリーフィアを戦う準備をして。ハクは藁とか布とかを出来るだけ重ねて帰りを待ってて。長老が指示してくれるから。)
裏道にて、物乞いの男、名前はユジという。昔からわがままで大人になったときに家を出たが何をしても長く続かず、現在はルーパの町で数店の飲食店から交互に残飯をもらうことで生活している。今日も食事が終わり、安心できる裏道へ入ったとたん、後ろから強い風が吹いた。振り向いたら壁にスライムがいて、声を出そうとしたら横から首を斬られた。驚きながらも助けを呼ぼうとしたけどなぜか声が出ず、口の中に壁にいたスライムが入ってきて意識が遠のいた。走馬灯はなかった。
(お疲れ!今の俺達なら人間一人位運べるさ。俺は魔法で音を消すから2人でちゃっちゃと運んじゃってー。)
(それはいいが、だったら俺が口に入る必要なかっただろうが!!)
(そんなことないよ。魔力勿体ないし、あくまでも少し空気を操るだけだから大声とかなら消せないし。)
(いんじゃないうまくいったんだから。)
(リーフィアの手際が良すぎて怖いwまぁ運んじゃおー。)
(おー。)(やっぱ納得いかねー。)
3回ほど人がいた時に隠れて、なんとか到着。ちなみに血は落ちないように首と口に酸をネバネバ状にしてつけたよ。もちろんリーフが。
(ほほう、うまくいったようじゃの。ではその上に乗せてくれ。)
魔法陣の周りを丸く布などで囲い、その中に死体を入れる。そして長老が魔法を唱えた。
(静かなる水神よ、我の願いに応えたまえ。(タイムヒール!!))
この魔法は怪我の治療などに使われ、細胞が少し前の状態に戻ろうとする。逆に時間を早めて治療するなどもできるが、この魔法のいいところは死んだ生物にも使えることで、氷や塩などが貴重な所での食材の保存などに適している。細胞を腐敗させなければ匂いも出てこないため、家に入られない限りはバレることはないだろう。
(とにかく!!いただきます!!)
((((いただきます!!))))
成人男性であり、かつ栄養不足気味ということもあり子供や女ほどは美味しくはない。人間にしてはだが。
(((うっめー。)))(おいしーい。)
みんなで美味しくいただきました。5人とはいえ、この量なら3日は持たせられるだろう。ストックはあと4人もいることだしまだまだ本が読めるぞ!
(ところでギノはどんな魔法を覚えたの?)
(本は一杯読んだけど、風の中級が使い勝手がよさそう。気配とか音を消したり逆に拾ったりできる。ただホーリーナイトのジークハルトが使ってた伝心は上級みたいでもっと大きな図書館か強い魔法使いの家にしかないらしいんだ。)
そして15日後・・・。
(肉がもうないですね。)
(ちょっとリーフ、他に食べれる人間はいないの?)
(ばれないようにだと厳しいな。森へ狩りに出てる人間なら襲えるけど・・・。)
(じゃあ明日の夜に外に出ようか?念のためここに火を付けていくよ!)
翌日、旅人に貸し出すことが多い家が燃えた。燃えた家の火が他の家へ移ろうとしていたため騒ぎになり、ギノ達はそれに紛れて簡単に町から出た。
目指すはルーパの町から北へ数キロ離れた「海鳴りの洞窟」だ。ここは海に面していて満潮時に少し水に浸かる。名前の由来は波の音が反射して魔物の鳴き声のように聞こえるからとか・・・。
もちろん、翌日に狩りに出て来た人間をお腹いっぱい食べ、余りをお弁当で持って移動を始めた。
距離は1日で付ける範囲だけど街道を歩くわけにもいかず、一日野宿するつもりで出て来たのさ。
そして何事もなく洞窟に着いた。すると入口から声が聴こえる。
騎士A「やっぱりここは修練にもってこいだな」
騎士B「全くだ。マーメイドがいるからすっきり出来るしなww」
騎士A「それはお前だけだろ!俺は人間の女しか抱かないぞ。」
騎士B「だが今月きついんだろ?誰にも言わないから明日はお前もしろよw」
騎士A「俺は、魔物とは絶対にやらん。だが経験値が高いからここでの修練には付き合うぞ。」
(みんな、あいつら殺そう。)
かつてないほどリーフィアが怒った。
(明日まで待るのじゃ、マーメイドクインは確か伝心を使えると聞いたことがあるからマーメイドと協力して殺すのじゃ。ワシ等より種族的にかなり強いマーメイドが敵わないんじゃ、無策では挑まん方がええ。)
(じゃあ俺は奴らを付けるぜ、ギノ頼む。)
(もう気配消す系の魔法なれたから詠唱なしでもいけそうだわ。風神よ、かの者の気配を消したまえ(ウィンドハインド!!))
(じゃあギノさんたちは洞窟に入ってください。僕は後から食料を配りながらついて行くんで。)
マーメイドには半魚人の魔物の仲間の2種類がいて、区別は肉を食べるかどうかだ。また、魔物は人間の子供を宿さない。だから騎士でもあーゆー屑がいるんだ。
洞窟内は入り組んでいるが、どの道を進んでも定期的に広間があり、そこにマーメイド達はいる。ただ通った道にいるマーメイドはみんな人間に殺された後か、襲われて無残な姿にされている。
(転生前のゲームでゴブリンとか酷いと思ってたけど人間の方が酷いんだな。)
そして一番奥まで行くと真下に落ちる穴があり、壁に張り付いて降りて行った。
「スライムか?なんのようだ?」
テレパシーでは通じないので壁に伝心を使ってくれるように文字を書いた。
「ほう、賢いスライムもいるんじゃな。してわらわになんの用じゃ?」
(マーメイド助けたいです。協力させて下さい。)
「スライムが騎士を倒せるとでも?」
(俺たちのレベルです。)
ギノ LV24
リーフ LV28(進化可能)
リーフィア LV3(バタフライスライム)
長老 LV18(進化可能だが、昔に戦線を離脱)
ハク LV20(無名の1スライム)
「確かに普通の人間位なら余裕だろうが、奴らは強いぞ?とても正面から戦っては勝てない。」
(正面からじゃないですよ。実は・・・。)
「はっはっは。よかろう。マーメイドの中で人間が好きそうな美女に協力させよう。」
(ありがとうございます。それと、できれば伝心を教えてください。)
「よいぞ、奥に昔祀られていた頃に納められた本がある。読ませてやろう。」
(ありがとうございます。無事倒せたら読ませていただきます。)
翌日、あの2人がやってきた。
騎士A「さあ狩るぞ。」
騎士B「可愛い子いるかなー。」
いつものように洞窟を歩く。今日はなぜか水が多くて進みたくない道があり、誘導されているような気がする。
騎士A「なにかおかしくないか?」
騎士B「なにが、ってめっちゃ可愛い子がいたぞ!!」
目の前にはサラサラの髪の毛が少し湿って背中に張り付き、すらっとしているにもかかわらず出るところは出ている騎士Bが好きなタイプのマーメイドがいた。気が付いて逃げようとしたがもう遅い。組み伏せてすぐに鎧を脱ぐ。
騎士B「抵抗したら後ろの奴が首をはねる。大人しくヤられろ!!」
いつもは抵抗があるが今日はなかった。
騎士A「やっぱりおかしくないか?」
騎士B「今からなんだから邪魔するなよ。」
騎士Bはそそり立つ物をマーメイドに近づけ、触れた。
騎士B「うおーー。スゲー包まれてる。これはやばいぞ、まるで溶けているような・・・。すごい熱を持っているのか?マーメイドなのに?なにかが・・。」
騎士Bが離れようとすると、毒にかかったように皮膚がグズグズにくずれていて、麻痺作用があったのか痛くないが動かない。後ろを向いている仲間を呼ぼうと声を出すが、魔法にかけられたように声が出ない。見ると足元からスライムが口に飛び込んできて、意識が遠のいた。
騎士A「そろそろ終わったか?なんかスライムが酸を周囲に撒いてて不愉快なんだが。」
振り向くと騎士Bが無言で倒れていた。駆け寄ろうとすると、撒かれていた酸が燃え出した。
騎士A「油かなんかだったのか?誰かがスライムを操っているのか?」
無理やり囲いから出ようとするよバタフライスライムが刃物を持って襲ってくる。
騎士A「なんでこんなのがいるんだよ!もっと危険な洞窟にしかいないはずだろ。」
仕方ないので逆側から出ると、大きな炎が目の前にあった。
騎士A「嘘だろ?これ上級魔法じゃ・・。」
(残念、まだ中級だよ。燃え盛る炎神よ我に炎を貸し与えたまえ(フレイムボール!!))
直撃を受けた騎士Aの顔が蒸発した。
(終わったね。お疲れ様。)
(この前バタフライに進化してからやっと戦えたわ。)
(俺はなんでいつも口に入るんだ。)
(仕方ないじゃん。鎧堅いし直接が一番だって。それに今回の被害者はハクでしょ。)
(僕頑張りました。目の前でおっさんがズボン脱いで怖かったけど毒出して耐えてました。)
(あれは汚かったのぅ。回復してやるからこっちへこい。リーフィアもやけどを治してやろう。)
(それにしてもレベルが上がったね。そろそろみんな進化しようか?)
(おいギノ、スライムレンジャーって進化先が増えてるんだが・・・。)
(僕もスライムウォリアーってのが増えてるよ。)
(それは凄いのう。本でみたわぃ。ワシが説明するからギノは報告と本を読んできていいぞ。)
(それは助かるよ。二人ともできれば新しい進化先に進化してね。)
「ホントに騎士をやつけるとはすごいな。褒めて遣わすぞ。」
(ですが、元を叩かなければ更に騎士がやってくるかもしれません。早速ですが本を読ませてもらっても?)
「好きにせい。だがその前に騎士の肉をわらわにも持ってくるように仲間に伝えてくれ。」
(みんな、俺の分を少し残して残りの肉はマーメイド達と分けてね。クインも食べるみたいだから運んであげて)
(じゃあ運んでから食べながら続きを話そうかのう。)
ギノ(ふむふむ、そうか、相手の魔力に干渉してイメージを流し込む感じか・・・。あっ、隣の本も読んでいいですか?)
「うむ。好きにするがよい。」
長老(つまり、大昔に人間を困らせたスライムがおっての、その配下にスライムレンジャーなどがいたのだ。どのように進化するのか書物では不明となっておったが、恐らくどこかのスライムの進化先だろうのう。進化せずにレベルが上がってたからそういう条件もあるのかのしれんし、奥が深いのう。)
(レンジャー、徘徊する者か。進化するぜ。)
(ウォリアー、闘士ですか、僕なんかでいいなら進化したいですね。)
(私だけ普通じゃない、なんかずるいわ。)
(じゃがそのスライム、エンペラースライムと呼ばれていたそうじゃが、そのスライムの妻がフェアリースライムだったと聞く。おぬしギノが好きなんじゃろ?)
(えぇ、でも彼の邪魔はしたくないし、今のままでいいわ。)
(お互いに真面目よのう・・。)
3日後、騎士の分隊が海鳴りの洞窟へやってきた。どうやら2人が帰って来ないため、小隊の内の半分がやってきたようだ。2人の騎士が抜けているため23人しかいないが分隊長はみたところ相当強い。他の兵士は新兵らしいのも混ざっていて、強くても2人程度だった。
(ってやべーよ。策巡らせて前回2人倒しただけだもんよ。どうすりゃいんだが。)
レンジャーとなったリーフは隠密のスキルでまず見つからなくなり、楽に監視をしていた。
(おい、きたぞ。1分隊で23人だ。)
(ありがとう。じゃあ手筈通りに。)
洞窟での死闘が幕をあける。
俺は分隊長のシド、今回は行方不明のアホ2人を探しに洞窟へやってきた。マーメイドは経験値がいいし繁殖も早いから狩場にはもってこいだがマーメイドクインが出てきたらヤバイ。小隊でも倒せるかわからない。だからこそ立ち入りを禁止していたのにあいつらはいつもここに来ていたらしい。とりあえずクインが怒ってないか確かめるのが先だな。
「おいお前ら、5人ずつ2組入って様子を見て来い。怪しげな気配があったらすぐに逃げて来い。マーメイドには絶対に手を出すなよ。」
騎士たちは笑って入って行ったが大丈夫だろうか。
(朗報、5人二組が両サイドに入った。)
(了解。倒せそうなら倒して、無理そうなら姿を見られないようにしながら戦って。)
片方の道ではリーフィア、ハク、長老が待っていた。
(じゃあ霧を出すぞい。(ミスト!!))
長老は水に適性があり、簡単な水魔法は楽に使えるようになっている。もっとも長年生きた知恵とギノとの勉強があるから本を読めたわけで、普通スライムは魔法は使えない。
騎士達「なんだ!?霧か。マーメイドが来たようだぞ。シドさんは怯えていたが、この程度ビビるまでもねぇ、クインが来ても俺らでやっちまおう。」
「いてーーー。」
一番後ろを歩いていた騎士が叫び声をあげて両目を抑えていた。
「どうした?」
「くそ、アキレス腱を斬られた、なにかいるぞ!」
「馬鹿な!!鉄のブーツだぞ!!」
「黒曜石レベルの武器を持っている奴がいるようだ。気をつけろ。」
動ける3人で円陣を組んだが敵の姿が見えない。
(もう倒せるでしょ。)
(あわてないでまずは止めを刺そう。)
「うっ。」
「どうした!!」
円陣を崩さずに目を斬られた騎士を見ると首を斬られていた。
「うわーー。」
足を斬られた騎士は錯乱したように剣を振り回している。
「どうしたっ!!」
「わからないがなにかいる。別の場所も斬られた。」
「くそう、壁際へ寄せるぞ。肩を貸せ!」
振り返ると足を抑えている騎士がまた1人。
「やばい、増援を連れてくるから待っていろ!!」
2人が慌てて洞窟から出て行った。
(騎士より私の方が早いんじゃない?)
(まあいいじゃないですか。とりあえずこいつも殺しましょ。)
取り残された騎士の悲鳴が入口まで届いた。
もう1つの道では1人の騎士が慌てて逃げていた。
「くそっ!どうなってやがる。なんで攻撃されて誰も見えないんだ。」
洞窟に入ってしばらく進むとマーメイドが複数見つかり、慌てて逃げるのを見て追いかけた。
すると後ろの騎士の上から岩が落ちてきた。慌てて躱したが2人が潰されてしまい、更に道が塞がれてしまった。明らかに魔法だ。
こちらで魔法の使える仲間が探知しようとしたときには正面から炎が飛んできて探知前に殺されてしまった。仕方ないから2人で外に出ようとしたが岩を斬っている間にまた炎で仲間がやられて1人になってしまった。
「よしっこれでっ!!」
通れる隙間をあけて通り抜けようとすると目の前に不思議な光景を見た。
「スライムが杖を持っている?それになんだこの魔力は!?」
魔法使いではない人間は多少の魔力では気が付かないはずで、俺はわからないはずなんだ。なのになんで濃密な魔力がわかるんだ?とりかく逃げないと。
「やばっ。」
隙間を通ろうとしているときに正面から炎の球が飛んできたら躱せるわけないよな。
そのまま俺の意識は途切れた。
俺は分隊長のシド、今回は行方不明のアホ2人を探しに洞窟へやってきた。しかし5人2組を洞窟に入れたのに、片方は連絡はなく、片方は2人が慌てて帰ってきた。これはどういうことだろう。残りの騎士は俺を含めて15人だが、不慣れな洞窟での戦闘。しかも敵は話からしてクインではないだろう。小型で知恵のある妖魔でも棲みついているのか?だとするとこの人数では危ないな。
「ひとまず撤退するぞ。見回りの奴らを呼んで来い。」
「待ってください。まだ1人置き去りで・・」
「そんなところに置いておいて生きていると思うのか?」
「・・・。すみません、馬鹿な事をいいました。」
「遅くないか?」
周囲には危険な魔物はいないため、4人をばらばらに見張りに立てていた。そこに呼びに行った4人も帰って来ない。もう暗くなってしまうから7人で野営も視野に入れつつ帰りを待った。
そして、ついに帰って来なかったため少しはなれて野営をすることにした。
「ここにはなにかいるらしい。常に2人以上で移動し見張りも2人でするんだ。」
怯えながら野営をし、気配を感じて起きてみると声が聴こえた。
(二度と海鳴りの洞窟に低俗な騎士を近づけるな。)
「伝心の術か。マーメイドクインか?」
(違う、だかお前たちはやりすぎた。二度とマーメイドを襲わないと誓うなら今回は見逃してやる。しかし嘘を付いても見張りをつけるからすぐわかるぞ。)
「わかった。降参だ。大人しく帰る。クインに暴れられたら街が無くなるかもしれないんだ。部下にはよく言っておくよ。」
(わかった。ではな。)
騎士達は翌朝すぐに帰って行った。馬も7人分は残っていて、残りはいなくなっていた。
シドは後日マーメイド達とも仲介を命がけで果たしたとの噂が立ち、小隊長に出世した。
(なんとかなったね!)
(僕凄い力が付いてるんだけど・・。進化って凄いね。)
(俺は結構近づいても全く気付かれなかったから見張りをやりやすかったぜ。呼びに来たときは焦ったけど簡単に落とし穴に落ちてたから楽だったしな。)
落とし穴の中には痺れる酸を塗ったツタが編み込んである。落ちたら痺れてしばらく動けなくなるだろう。
(みんなのレベルは)
ギノ LV40
リーフ LV12(スライムレンジャー)
リーフィア LV9(バタフライスライム)
長老 LV22(進化可能だが、昔に戦線を離脱)
ハク LV5(スライムウォリアー)
(長老もレベル上がってるじゃんwよかったですね。)
(まあ高いに越したことはないしのう。他は進化して上がりにくくなったようじゃの。ギノは進化しないのか?)
(ふふん、スライムマジシャンになれるんだ。でもスライムアサシンも前からなれるから悩んじゃって。)
(アサシンかっこいいけど俺と似てるじゃん。)
(まあリーフの進化先だったりするしねw)
(魔法使いがいてくれると助かります。)
(そうね、ギノは後ろから補助してくれるのが嬉しいわ。)
(じゃあマジシャンになります!!)
ギノ LV1(スライムマジシャン)
リーフ LV12(スライムレンジャー)
リーフィア LV9(バタフライスライム)
長老 LV22(進化可能だが、昔に戦線を離脱)
ハク LV5(スライムウォリアー)
(で、私達これからどうするの?)
(それなんだけど、少し西に狭めの洞窟があって、ミノタウロスが住んでたんだけど冒険者に殺されて今はなにも住んでないらしいんだ。隣に故郷の洞窟に近い洞窟があって人間が良く来るらしいからそこに住まない?)
(いいですね、僕はしばらくゆっくり過ごしたい。)
(ワシは本があればどこでもいいぞ。)
(俺もどこでもいい。)
(じゃあそこに移動しようか?大きな街「トパーズ」が近いからきっと本もいっぱい取りに行けるよ。)
よーし。じゃあ出発だ!!
長老メモ
長老は洞窟内でギノがくるまで賢者と呼ばれてた知恵者で探究心も強く、水魔法に適性があった。
本人はもう戦えないと昔から思っているが、スライムは結構タフなので実は普通に戦える。いつか気づくのかな?最近は本にはまっているから知識もどんどん増えてこれからどうなるのか楽しみな人
気が向けば洞窟編とか書くかもです.
書くなら今年中には書きたいです.