結婚指輪
しこたま飲んだ帰り道、噴水に腰かけて休んでいたら、うっかり結婚指輪を落としてしまった。すると、水の中から女神が現れてこう言った。
「あなたが落としたのはこのゴールドの指輪ですか、それともこちらのプラチナの指輪ですか」
「ああ、女神様。私が落としたのは、結婚式の日に妻と贈りあった大事な結婚指輪です。二人ともお金がなくてシルバー製しか買えなかったけれど、お互いの名前を裏側に彫り込んだ大事なものなんです」
「あなたは正直者ですね。褒美としてこのゴールドとプラチナの指輪を差し上げましょう」
「そんな! 女神さま、ゴールドやプラチナよりも、大事な記念の指輪を返してください!」
しかし、そんな願いもむなしく女神は消えてしまった。
「ああ、妻に何と言えばいいんだろう」
悩み抜いた末、妻の分も女神に取り換えてもらい、サプライズで買い替えたことにすればいいと思いつき、妻が寝ている間にすり替えてしまおうと考えた。
寝ている妻の指から指輪を抜き取り、再びあの噴水にやってきた。そして指輪を水の中に落とすと、あの時の女神が現れてこう言った。
「あなたが落としたのはこのゴールドの指輪ですか、それともこちらのプラチナの指輪ですか」
「私が落としたのは、私の名前が裏に刻まれている記念の指輪です」
「あなたは嘘つきですね。罰として指輪はすべて没収します」
女神の意外な言葉に仰天し、すぐさま反論する。
「そんなはずはありません! それは確かに私が贈った、私の愛する妻の指輪です!」
すると女神は非常に気の毒そうな顔をして言った。
「そうですか。しかしこの指輪の裏にはあなたとは別の男性の名前が刻まれています」




