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46.最大の事件(2)

 かくて総勢七人、いざホーリーを連れ戻すべく急遽結成された一団は、鼻息も荒く白羊亭を勢い飛び出した。すなわちそのメンバーは俺、メイル、それにプロキオンの四人、そして――


「で、でも本当にいいんですか、ユージン先生?」


 メイルがいまだ信じ難いとばかりに訊ねた相手、そう、突然現れたバンシーのユージンに他ならず。


「はい、私も行かせてください」

「でも、相手はボーガンの一味ですよ?」

「大丈夫です。何より、ホーリーは大事な私の教え子ですから」


 特にそのバンシーの今回の一件に掛ける意志には、まこととんでもなく強いものが傍からも感じられたのである。


「何があっても、助けないと」


 何よりその声音さえもが、いつになく力強かったのを見れば。


「リップル、ボーガンの屋敷ってどの辺りにあるんだ?」

「裏町の一番奥まった方。通称〝盗っ人小路〟を抜けた所だよ」

「盗っ人、ねえ……」


 そしてそれはもちろん他の六人にも完全に当てはまること。はたしてゆっくり歩くのももどかしいと、全員その足取りはいつしかほとんど小走り状態になっている。


「よし、後はそこに突撃すればいいんだな! 待ってろよ、ボーガン!」


 中でも血の気の多いユリアーデに至っては、もはや少年漫画の主人公めいた台詞まで放っていたのだが。


「ちょっと、ユリアーデ。幾らなんでもそれは頭悪すぎ。もっと慎重に行かないと」

「何だよキルデア、ホーリーが捕まっているっていうのに、そんなグズグズしていられるか!」

「だからそれはグズグズじゃなくて……」


 ――とはいえむろんそこへはすかさず、そして相変わらずのキルデアによる鋭い突っこみが、容赦なく綺麗に入っていて。


                  ◇


 ――そうこうして、それから十数分後。

 ようやくたどり着いた盗っ人小路はその名の通り、実に剣呑な雰囲気のする小道だった。

 幅は大人二人が通ればすぐ一杯になるくらいだろうか、そんな感じの背の高い建物に挟まれた、曲がりくねった道がだらだらとどこまでも続いていたのだ。


「うわ、何かヤバそうだな……」


 はたしてそこに入った途端、さすがのユリアーデも不安そうに呟いていたように。


「あら、さっきの威勢はどこへ行ったの?」

「う、うるせえ! これは武者震いってやつだ!」

「しっ、大きな声出さない」


 ……途端始まったキルデアとの言い合いを、後ろを行くメイルに厳しくたしなめながらも。

 ちなみに順番は先頭を道案内役のリップル。何度かこの周辺へ来たことがあるのか、実に迷いのない足取りだ。そしてその後ろを俺、次にアリーシャ、ユリアーデ、キルデア、メイル、最後にユージンというもの。特に細かく取り決めたわけではないが、いつの間にかそうなっていて。

 まあ結局こんな細い道では、全員縦一列になって歩かざるをえず。

 ――いずれにしても俺たちは昼日中、揃って躊躇なく裏町の中の街路をまっすぐ突き進み、


「あ、見えてきた」

「ここ、なのか……」


 やがてしばし後道の尽きる辺り、小さな広場状になった場所に、その建物の外壁と思われる部分をしかと認めていたのだった。

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