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21.アリーシャ

「お願いします!」


 次いで部屋の中に入って来たのは、橙色の長袖で丈の長い上衣を着けた、活発そうな少女だった。


「アリーシャといいます!」


 加えてそう自己紹介すると、鳶色のきらきらした瞳で俺のことまっすぐ見つめる。

 やや面長でショートカットにした茶色の髪、涼やかな鼻梁が特徴的な、それはメイルたちと同じ、まさしく人間の女の子だ。しかも相当利発そうな。


「ああ、よろしく」


 それゆえ俺が即座に相手へ好印象持ったのは言うまでもなかった。


「これから色々聞かせてもらうよ」


 すなわちこれがバイトだったら、即採用決めていたくらい。

 他の応募者と比べるまでもなく。


「へえ、親は商人をしているんだ」

「はい、そんな大きなお店じゃありませんけど」

「店の手伝いはしているかい?」


 そうして今回も提出書類見やりながら、話を進めていく。とりあえず家の話題から入ったのは、彼女の醸し出す明るくて真面目そうな雰囲気より、その方が受け入れられやすいと思ったがゆえ。

 そう、俺にもそれくらいの計算はもちろんあったのだから。


「あ、そうですね。……時々は」


 対して当然ながら笑顔で応えてくれたアリーシャ。それも割と正直な感じで。その変にごまかさない感じも、むしろプラスポイントだ。

 早速心の中で採点を積み上げながら、俺はさらに質問を続けていった。


「歌と踊りに興味はあるんだね?」

「はい、特に昔王都の大劇場へ連れて行ってもらって、シャルロッテ・ローズさんの歌を聞いてから、大好きになってしまって」

「ほう、なるほど」


 と、そこで出てきた名前に俺は一瞬戸惑うも、どうやらそれはなかなか名の知れた歌手のことらしい。むろん聞いたこともなかったが多分プロデューサーたる者が対してハテナマーク浮かべているのはさすがにマズいので、俺は適当に相槌打つことにした。


「そういった舞台を見るのが好き、と」


 まあ、こうしたオーディションに参加するくらいなのだ、元々歌関係が好きなのは想定通り。人間性も問題なく見える以上、後はデビューするに当たってその実力が伴っているのか見究めるだけで。


「分かった。それでここにある、趣味の絵画のことだけど」

「あ、それですか」

「うん、前に市のコンテストで入賞したなんて、凄いじゃないか」


……はたして俺は彼女に関してはほとんど早くも第一印象で合格判定出しながら、残りの時間は他に気になること幾つか問うていったのである。

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