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【60話】会いたくなかった人


 陽菜が身に着けているのは、フリルのついた純白のビキニ。

 先日街中へ出かけた際にデパートの水着売り場で一緒に見た、あの水着だ。

 

 しかしぶかぶかということはなく、ぴったりフィットしている。

 

 そうなったのは陽菜の胸が急成長したから――ではない。

 小さくなったのは水着の方。

 

 なんらかの方法で、自分の胸に合ったサイズを入手したのだろう。

 

 そうなると入手経路が気になるのが、人というもの。

 だが今は、とてもそれを言い出せる雰囲気ではなかった。

 

「ふ、ふふふ」

 

 陽菜は――笑っている。

 

 けれどそれは、嬉しくて笑っているのではない。

 目は笑っておらず、口元からは出ていくのは冷えきった笑い声。

 

 不気味なそれは、俺の恐怖心を煽りに煽る。

 とんでもなく恐ろしい。

 

 たぶん――というかこれはもう、確定で不機嫌だ。

 

 きっと陽菜は、俺のことをロリコンだと思っているのだろう。

 身が凍るような恐ろしい笑みを浮かべている理由は、それ以外に考えられない。

 

「こんなところで会うなんて奇遇ね」

「お、おう。お前はその……あれか? 友達と一緒に来たのか?」

「えぇ、そうよ。それにしてもあんた、ずいぶんかわいい女の子を連れているじゃない。……誰よその子?」


 陽菜の瞳がキリリと細められる。

 鋭い眼光が向かう先は、瑠奈ちゃんだ。

 

「この子は瑠奈ちゃんって言って、舞の――」

「ひいっ!!」


 紹介を終える前に、瑠奈ちゃんは俺の腕にギュッとしがみついてきた。

 青ざめた顔で、奥歯をカチカチと鳴らしている。

 

 これは……良くないな。陽菜に余計に誤解されちまうぞ。

 ……でも、無理ないか。

 

 陽菜の放つプレッシャーは、それはもうすさまじい。

 威圧感たっぷりのド迫力。

 

 そんなものを真正面から受けたなら、誰だってビビってしまう。

 瑠奈ちゃんの性格を考えると、尚更そうなるだろう。

 

「……あなた、人前だっていうのにずいぶんと大胆なのね」


 陽菜の不機嫌ボルテージは上昇。

 ただでさえ強烈だったプレッシャーが、さらに強まってしまう。

 

 瑠奈ちゃんの行為はどうやら、火に油だったらしい。

 

 そうなれば当然、瑠奈ちゃんの恐怖心も倍増。

 俺の腕を掴む両手に、さらなる力が入ることに。


 ……マズいな。

 もう限界だぞ。


 このままでは瑠奈ちゃんが恐怖心に押し潰されて、どうにかなってしまう。

 手遅れになる前にアクションを起こさないとならない。

 

「俺たちこれから昼飯に行くところなんだ。そろそろ行くよ。じゃあな」

 

 二人をこれ以上同じ空間にいさせてはいけない。

 そう判断した俺は苦笑いを浮かべつつ、退散しようとする。

 

 だが。


「私も一緒に行こうかしら」

「はぁ!?」


 衝撃の言葉に、立ち止まらざるを得なくなってしまう。


「俺たちと一緒にって……でもお前、友達と来てるんだろ? そいつらほっといて単独行動していいのかよ?」

「一言声をかければ問題ないわよ。それともなに? 私と一緒にご飯を食べるのが嫌なの?」

「別に……そうじゃねぇけど……」

「じゃあ決まりね。……あなたもそれでいいわよね?」


 切れ長の黄色の瞳が向く先は、瑠奈ちゃんだ。


 聞いている限りだと、陽菜の言葉は許可を求めるような内容となっている。

 しかし、実際のところは違っていた。

 

 その声色にはズシンとした重みと厚さがあり、有無を言わさない感じ。

 問いかけをしているというよりも、脅していると言った方が近いだろう。

 

 瑠奈ちゃんは何度も首を縦に振る。

 怯えきっている彼女にすれば、実質的にそれしか選択肢がなかった。





★★★作者のあとがき★★★


昨年はたくさんの応援をしていただき、本当にありがとうございました。

今年もそう思ってもらえるよう精いっぱい頑張っていきますので、どうぞよろしくお願いいたします。


瑠奈に対してのたくさんの応援コメントありがとうございました。

予想以上の人気に、嬉しい&ちょっとビックリしております。

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