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【48話】初めてのお誘い


「あっ、もしもし!」

「お、おう……!」


 何度目かのコール音が鳴った後、鷹城さんは電話に出てくれた。

 

 それだけで俺はホッとしてしまうも、まず感じたのは違和感だった。

 

 なんだか声がおかしい。

 いつもに比べて、少しだけ上ずっているような気がする。

 

「なんかいつもと声が違うみたいだけど、どうしたの? もしかして風邪でも引いてる?」

「いや、そんなんじゃねえ。ただその……マサの方から電話くれるなんて初めてだったからさ。それが嬉しくて、変な声になっちまったんだ……」

「そ、そっか!」


 喜んでもらえたのは良かったけど、直接的すぎてちょっとくすぐったい。

 今度は俺の声が上ずってしまった。


「それで、急にどうしたんだよ?」

「えっと……あのさ! 『転生したら最弱魔法使いでした』って覚えてる?」

「おぉ! マサの家で読んだ漫画だろ? あれ、面白かったよな!」

「明日そのアニメの映画を見に行くんだけど、よかったら鷹城さんもどうかな?」

「え……それってもしかして私とマサの、ふふふ、二人きりでか!?」

「ううん。雨宮さんも一緒だよ」

「…………。そっか、乃亜もいるんだな」


 気のせいだろうか。

 直前まで盛り上がっていた鷹城さんの声のトーンが、ガクンと落ちた気がする。


 雨宮さんがいたら不都合なのか?

 そういえば雨宮さんの方も、鷹城さんを誘うって言ったら微妙な反応してたよな。

 

 二人は仲良しのはずなのに、どうして……あ、分かったかも。

 

 きっと二人は今、喧嘩している真っ最中なのだ。

 そういうことなら、関係がギクシャクしていることにも説明がつく。

 

「俺で良ければ相談に乗るよ。まずは理由を話してほしい」

 

 二人は俺の大切な友達だ。

 余計なお節介なのかもしれないが、喧嘩しているのなら仲直りの手助けをしたい。


 しかし。

 

「あ? 急になに言ってんだよ?」


 返ってきたのは、怪訝そうな声だった。

 

「だって……雨宮さんと喧嘩してるんじゃないの?」

「乃亜と喧嘩? そんなのしてねえけど」

「…………マジ、ですか」


 俺の予想は的外れだったらしい。

 こうなるともう、俺には声のトーンが落ちた理由が分からない。お手上げだ。

 

「……そんでさ、乃亜の他には誰か来るのか?」

「ううん」

「ってことは、私が行かないと二人きり……」


 鷹城さんは重々しく呟いた――かと思えば、


「私も! 明日の映画、私も絶対に行くから!!」


 えらく気合の乗った声で、オッケーの返事をしてくれた。

 

 鷹城さん、よっぽど映画が楽しみなんだな!

 

 そんな反応をしてくれるなら、俺としても誘った甲斐があるというもの。

 こっちも嬉しくなる。

 

 よし!

 緊張したけど、うまくいって良かった!

 

 声のトーンが落ちたことなんてすっかり忘れて、俺は大きな喜びに浸っていた。

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