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第九話:白面の記憶
数日後。 久我原透は、大学近くの旧資料庫で無事に発見された。 衰弱していたが、命に別状はなかった。
彼は椿子に、かすれた声で言った。
「ありがとう、椿子さん。 僕の沈黙を、語ってくれて。」
椿子は、微笑んで答えた。
「あなたの沈黙が、私に語らせたのです。 だから、これは“あなたの声”でもあります。」
白面は、再び資料室に戻された。 だが今、その傍らには一冊の記録台帳と、透のノートが添えられていた。
それは、語られなかった記憶が、ようやく“語られた”という証だった。
第一章をお読みいただきありがとうございました。
この物語は次章【
白面に微笑む令嬢探偵 ~椿子の記憶録と沈黙の三事件~ 第二章『沈黙の講義室』】へと続きます。
2025/10/26より連載開始します!




