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【完結】白面に微笑む令嬢探偵 ~椿子の記憶録と沈黙の三事件~ 第二章『沈黙の講義室』  作者: ましろゆきな


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第七話:封印された過去と沈黙の行方

 帝都大学・旧記録室。 椿子は、久我原宗一の記録台帳を読み進めていた。 そこには、戦前に起きた“仮面の記憶事件”の断片が記されていた。


「昭和九年、帝都大学美術資料室にて、仮面の由来を巡る論争が起きた。 一部の仮面は、戦時中の尋問記録と結びついていた。 それを語ることは、大学の名誉を損なうとされ、記録は封印された。」


 椿子は、記録の中に“白面”の記述を見つけた。


「白面は、語られぬ者の象徴として用いられた。 それを語る者は、沈黙の責任を問われる。」


 藤村が記録室に駆け込んできた。


「椿子様。透さんの下宿先から、大学構内の旧地下通路に向かった形跡が見つかりました。 彼は、祖父の記録を辿ろうとしていたようです。」


 椿子は、旧地下通路へと向かう。 そこは、戦前の資料保管庫へと続く封鎖された道だった。


 通路の奥、仮面の展示棚の裏に、透のノートが落ちていた。 その最後のページには、こう記されていた。


「祖父は、語らなかった。 大学は、封印した。 でも、記憶は消えない。 僕は、語ることに失敗した。 だから、椿子さん。 あなたが語ってください。 沈黙の奥にある、赦しと記憶を。」


 椿子は、ノートを胸に抱きながら、仮面の棚を見つめた。 そこには、白面が静かに置かれていた。 語られなかった記憶の象徴として。


「透さんは、沈黙に試され、沈黙に敗れた。 でも、彼は語ることを選ぼうとした。 その選択を、私は受け継ぐ。」


 椿子は、大学の講義室に戻り、再び教壇に立った。 今度は、記憶の改ざんと沈黙の意味について語るために。

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