第六話:透の失踪と原本の発見
帝都大学・翌朝。 久我原透が、講義後から行方不明になっていることが判明した。 彼の下宿先には、仮面のスケッチと椿子の講義ノートが残されていた。
藤村が椿子に報告する。
「透さんの最後の目撃は、資料室の奥。 その後、旧記録室の鍵が一時的に開いていた形跡があります。」
椿子は、旧記録室へと向かった。 そこは、戦前の資料が未整理のまま眠る場所だった。
埃をかぶった棚の奥に、椿子は一冊の台帳を見つけた。 表紙には、薄く“仮面の記憶録”と記されていた。
ページをめくると、久我原宗一の筆跡でこう記されていた。
「この仮面は、語られぬ記憶を宿す。 語れば、誰かが壊れる。 語らなければ、誰かが消える。 私は、沈黙を選ぶ。 だが、いつか語る者が現れるなら―― その者に、記憶を託す。」
椿子は、台帳の最後に挟まれていた紙片を見つけた。 それは、透の筆跡だった。
「僕は、語る者になろうとした。 でも、沈黙の重さに耐えられなかった。 だから、椿子さん。 あなたに、記憶を託します。」




