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原爆と竹槍  作者: サイシ
47/93

原爆と竹槍47話

「母さんの家の近くへ帰ってきたのにパンクとは」

 苦労して、やっと、母親の元に帰ってこれたと安心した途端のパンクである、それだけに、雪の落胆は大きかった。

 しかし、それを嘆いても何の助けにもならない。

 雪は、自転車を押し歩きだしたとき、自転車のタイヤが道路の段差や小石などで、がたがたと鳴り出した。

 このまま、無理に押して進むと、タイヤとチューブが損傷し、二度と自転車に乗れなくなり、長崎まで歩いて帰ることになる。

 しかし、怪我人を長崎まで歩いて帰らせることは不可能である。

 例え、少し歩ける程の怪我だったとしても、長崎まで帰るのに、何十日もかかっては食料が無くなり、全員が飢え死にするのは確実である。

 自転車は、雪の母親と雪と鈴子の命の綱でもあるのだ。

 雪は、パンクを直すことが先決と考え、修理に適した場所を探した。

 修理はまず、チューブのパンク箇所を見附ださなければならない。

 そこで、チューブに空気を充満し、そのチューブを水の中に入れ、チューブを手で圧迫すると、パンクしたところから、空気が泡のように水中に吹き出す、

 パンクの場所に小さいチューブ片を貼付けるのだ。


 水が無くては、パンク修理が非常に困難なため、水を探していると、学校の校庭より遥かに大きい広場があり、その中に小さな池があった。

 雪は、自転車を池の傍へ運び、修理を始めたが、首に掛けた袋が掛け時計の針のように揺れて作業の邪魔をする。

 袋には、お金など大切な物を入れてあるため、青草の上で楽しそうに遊んでいる鈴子を呼び寄せ、その首に袋をかけ、パンクの修理を始めた。

 やがて、パンクの修理を終えた時、自転車が倒れ池に沈んだ。

 雪が自転車を引き上げようとした時

「キャー!」

 鈴子の悲鳴が聞こえた。

 雪は、自転車を放置し、鈴子の所へ駆けつけた、

「何があったの!」

 聞くと、蛇に睨まれた蛙のように動けなくなった鈴子が指差した。

 みると、一メートル以上もある大きな蛇が鎌首を持ち上げ、鈴子を睨んでいた。

「しーしー」

 蛇が恐い雪は、蛇を追っ払うような仕草をしたが、蛇は逃げようともしない。

 雪は、動けない鈴子を抱き上げ、急いでその場から逃げ出し、ふと、前方を見ると、高い櫓が見えた。


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