表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
原爆と竹槍  作者: サイシ
18/93

原爆と竹槍18話

「ありがとうございます」

 雪が出掛けようとして自転車に乗ろうとすると、老人が尋ねた。

「お子さんを背負って佐賀市まではたいへんだね。佐賀市の何処へ行くのかね」

「佐賀市は途中の町で、最終地は広島市です」

「なに、広島市!」

 老人は、目が飛び出すように驚いた。

「はい、そうです」

「本当ですか」

「はい」

「なぜ、そんな遠い所へ、それも自転車で」

 雪は広島へ行く経緯を話した。

「お気の毒に、そんなことがあったのですか、それなのに、景色を楽しんでくださいなどと言ってすまなかった」

「いえ、私を励まして頂いたと感謝しています」

「若い母娘の旅、大丈夫でしょうか」

 老婆が不安げに尋ねた。

「人は無愛想だが、他人の物を盗んだり、この母娘に危害など絶対に加えない。ただ、医師が何処にでも居ないので、猪や犬に怪我させられたり、病気にならないように気を付けることが大切だよ」

「ご忠告ありがとうございます」

「一刻も早く、無事に広島へ着くことを祈っている。さあ、行きなさい」

 雪は、老夫婦に見送られ出発した。

 長崎街道に出た雪は走る。だが、予定していた速度の半分しかだせなかった。

 それには複数の訳があった。

 長崎県は坂の町と言われるほど、どこを走っても坂道があり、何度も自転車を押して歩かなければならない。

 また、嬉嬉津から広島までの間、一度も通ったことがない道であるため、人に道を尋ねないと、前に進めないのだ。最も重用視しているのは、母親を安全に我が家まで連れて帰ることだ。

 だが母親の怪我が悪化した場合や、病気になった時は、医者の治療が必要になるため、医者が何処にあるか知る必要がある。

 また、通る道に病院がない場合には、一刻も早く、長崎へ連れて帰らないと、命の危険があるため、道に迷うことは厳禁なのだ。

 道に迷わずに帰るには、道に標識を立てないと不可能であるため、雪は、記憶の中に標識を立てることにした。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ ランキング参加しました。ポチとクリックお願いします。 いつもランキング応援ありがとうございます。 人気ブログランキングへ ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ