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原爆と竹槍  作者: サイシ
17/93

原爆と竹槍17話

「岡本さんのお墓へ行きたいので、教えて頂けませんか」

 老人が辛そうに言った。

「残念ですが、岡本さんの家族はみんな死にましたんで、墓は建てていません」

「墓も作れず、お参りする人も居ないんですね、お可哀想に」

 言って、涙を流す雪だった。

 何時までまでも悲しんでは居られない雪は老人に尋ねた。

「諫早へ行きたいのですが、道が分からないので教えてください」

 老人は詳しく教えてくれた。

「色々と教えて頂いて、本当にありがとうございました」

「じゃあ、気をつけて行くんだよ」

 老人と別れた雪は、諫早に向かった。

 やがて、諫早に着いた雪は、早速、道を尋ねる人を探してても、目につくのは、小さな子供たちばかりだった。

 これ以上、走ると大きく迷うと思った雪は、自転車を停め、辺りを見渡していると、道から少し入ったところの家から一人の老女が出てきた。

「今日は」

「はい、今日は」

 老女が挨拶を返した。

「すみませんが、道を教えて頂けませんか」

「何処へ行きなさる?」

「有明海を右手に見ながら、佐賀市へ行きたいのです」

「佐賀市」

 聞いた老女が家の中に向かって叫んだ。

 すると、家の中から老人が出てきた。

「何かね」

「この人に、佐賀市へ行く道を尋ねられたけど、私は詳しく知らないので、教えられないのよ。あなたは、よく知っているでしょう。教えて上げてくださいな」

「分かった。ここから佐賀市へ迷わずに行けるのは長崎街道を通ればいいよ」

「あなた、この人は、有明海を右手に見ながらの道が知りたいそうよ」

 老女も、長崎街道のことをよく知らないようだ。

「有明海に沿った道が長崎街道だよ。長崎街道の中でも、有明海に沿った道は、難所でもあるが、それを補っても余あるほど風光明媚だと言われているから、自転車を走らせながら、景色を楽しんだらいいよ」

「あなた、景色はいいから、道を教えて上げなさい」

 妻に言われ、道を詳しく教えた。

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