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原爆と竹槍  作者: サイシ
10/93

原爆と竹槍10話

「そうだ、橋の下だ」

「橋の下?」

「そうだよ、橋の下なら火を炊いても火事にならないし、敵機に見つからないから安全だ。でも、大きな橋の下は爆破される恐れがあるが、小さな橋の下ならその心配はない。その上、煮炊きに必要な水があるから、一夜の宿とするには最適だと思う。また、町は空爆の恐れがあるから、町の中の橋はだめだよ」

 その時、鈴子が食べていたのもを、これと差し出した。

「さつま芋が欲しいの?」

 雪が尋ねたとき、明が言った。

「鈴子は、お利口さんだね」

 と言って、鈴子の頭を撫でた。

「何がお利口さんなの?」

「ご飯が炊けない場合は、さつま芋を食べればいいんだ。そして、生のさつま芋は一ヶ月たっても腐らないから、往復に何十日かかっても、安心して食べられるよ」

「そうね、母さんと鈴子はさつま芋が大好きだから、さつま芋を持ってゆきます。そして、私が帰ってくるまでの間、あなたが食べるさつま芋も掘りましょう」

「そうしょう」

 雪と明は、まだ、大きくなっていないさつま芋を堀り、荷車に乗せた。

「あなた、鈴子を抱いて、荷車に乗ってください」

 雪が明に言った。

「乗れないよ」

 明が尻込みをする。

「何時も乗っているのに、なぜ、断るの?」

 雪が不思議そうに尋ねた。

「明日から雪は、大変な旅をしなくてはならないのだ。出来るだけ、体力の消耗を避けないといけないから、僕は歩くよ」

 雪は夫の愛のある思いやりの言葉に涙したが、それが明に分からないように、背を向けて言った。

「大丈夫だから、さあ、乗ってください」

 雪に急かされ、明と鈴子が荷車に乗った。

 家に帰り着くと、明は、雪が乗って行く自転車のタイヤ、チューブを新しい品と取り替え、鈴子を乗せる小さな椅子をハンドルの後ろに取り付けた。

 その間、雪は郵便局へ行き、母親に迎えに行くと、電報をうった。

 そして、家に帰ってくると、自分が旅に出ている間、身体の不自由しないよう、防空壕に水や食料を運び入れた。

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