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7話 幸せの味

 高槻創君。


 クラスメイト。

 ただ、深い話をしたことはない。

 挨拶くらいは交わしているだろうけど、ちゃんと覚えていない。


 それくらいの関係。

 その程度の関係。


 ……だと思っていたのだけど。


 ふとしたことで話をするようになって。

 ふとしたことでお弁当を作ってもらうことになった。


「……改めて考えると、奇妙な関係ですね」


 友達というには、まだ浅い関係。

 それなのにお弁当を作ってもらうことになるなんて……


「……私の食い意地が張っているから?」


 うぅ……

 改めて考えると、とても恥ずかしくなってきました。


 最初の出会いもそうですし……

 高槻君には、恥ずかしいところを見せてばかり。

 『聖女様』としては失格も失格。


 ただ……


 高槻君は、それで失望した様子はない。

 いつも通り、なにも変わらない。


 言うほど、高槻君の『いつも』を知っているわけではないのですが……

 それでも、自然体であると感じました。


 いつでも自然体でいることができる。

 それでいて、人を色眼鏡で見ることはない。


 ……高槻君は、そんな人なのでしょうか?


 周りにいる人は、私の前だと不自然になって。

 私のことを無意味に特別視して。


 そういう人が当たり前。

 それ以外の人はいないと思っていたのだけど……


「……そんな人なのかもしれませんね」


 高槻君の作ったお弁当は、とても温かい味がしました。


 たとえるなら、家庭の味。

 親に作ってもらったかのような、美味しいだけじゃなくて、ほっとすることができる……そんな味。


 ああいう料理を作ることができる人は、なかなかいないと思います。


 誰にでもできるようなことじゃなくて。

 高槻君だからこそ、できること。


「料理が好き、と言っていましたけど……」


 どうして、料理が好きになったのだろう?

 ちゃんとした料理が作れるようになるまで、どれくらいの期間がかかったのだろう?


 たくさん、がんばったのだろうか?

 何度も失敗したのだろうか?

 それでも諦めないで、ひたすら勉強し続けてきたのだろうか?


 それらの姿勢は、日常にも現れているのだろうか?


 高槻君の成績がどれくらいなのか、それは知らないけど……

 ただ、補習を受けるように指導されているところは見たことがない。


 それに、日頃の授業はきちんと受けているように思えた。

 やはり、先生から高槻君が注意を受けたところを見たことはない。


 真面目な人なのだろうか?

 それとも、親しい人にしか素顔を見せないタイプ?


 なら、私も高槻君の素顔を……


「って……私は、なにを考えているんですか?」


 ちょっと頬が熱くなる。

 ぱたぱたと手で顔をあおいだ。


「……でも」


 高槻君のことを自然と考える。


「もっと……知りたいな」

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