生まれました
うぅ・・・眠い。やる気がでない。
なんだ・・・なんだっけ・・・何があったんだっけ・・・。
「(*^▽^*)」
はっ!?誰?
いや待てよ、なるほどな、わかったぜ。
つまり、この明るめの茶髪の女性が母親ということだな多分。
「(*・O・*)」
何言ってるか分からないけど、何か言ってることは分かる。
「("・ω・")」
「(*^▽^*)」
お、なんか暗めの茶髪の父親らしき人も来た。なんか喋ってるぞ。
「("`・ω・´")」
うん?なんだ?なんか近づいて来て・・・・・・ウオオアアァァ!?
「うあー!?あー!」
「("^ω^")」
うわぁ!高い!高いって!下ろして!ちょっまっ、ひぃぃやぁぁぁ!回すな! 回すな!ぐわぁぁぁ!
「あーぅー」
「("・0・")」
やっと下ろしてくれた・・・急に上げないでくれファザー。ファザーの身長高くない?、百八十位あるだろ。それからもう二度と高い高いしないでくれ頼むから。
赤ちゃんは激しく揺らすもんじゃないぞファザー。
はぁ、もう疲れた。寝よ。
「(*^▽^*)」
「("^ω^")」
そんなこんなで新しい生活が始まった俺。
新しい家は、ファザーが俺を高い高いできる位に天井が高く、部屋がいくつもあって二階まである。電気をエネルギーとして使ってる様子はなく、夜とかマジ暗い。
その代わりと言うか、魔法を使っているようだ。なんか魔法陣がぐるぐるしてたから間違いない。
住んでいるのは、推定二歳の俺と両親の他に、女性の使用人が一人いる。
窓の外に見える一面の畑から察するに、ここは農村とかそんな感じだろう。
抱っこされながらの移動でいろいろ確認することができた。
それにしても広いなぁ。他の家もこの位なのか、それとも我が家が特別なのか。使用人が居るくらいだし、結構凄いのかもしれない。
ハイハイして家の中を徘徊しようと思ったけど、すぐに捕まるんだよなぁ。抜け出すのも楽じゃないんですけど。
取り敢えず寝るか、よく寝る子は育つ。幸いにも俺には、我が神から頂いた固有魔法がある。念じるだけで発動するなんて素晴らしいなぁ。
うーん、なんかすっごい眠くなってきた。おやすみなさい。
それなりに時が過ぎました。
まぁ体感一年くらい?少なくとも歳はとったと思われる。少しずつ家の中を徘徊することも見逃される様になってきた。結構な頻度で抜け出してたから諦めたな。
歩くのも上手くなった。まぁ、ドアとか届かないけど。
さて、今日も家の徘徊を始めよう。と言っても行く場所は大体決まっている。二階は寝室で埋まっているので、基本的に一階を彷徨うのだが、その中で本棚のある部屋を見つけることが出来た。
「貴方は本が好きねジーテス」
あ、母さんだ。今日もドアを開けてくれた。ありがてー。最近は本棚の中にある絵本を読んでくれている。
ちなみに言葉はある程度わかるようになりました。脳内で日本語に変換してお届けしております。早くはないけど、ある程度文字も読めるようにもなりましたよ。
「本、読む!」
発音も問題ないな。このままマスターしてやるぜ!
「それじゃあ今日は、そうねぇ・・・これにしましょうか。おいでジーテス」
母さんが一冊の本を手に取る。
あ、言い忘れてましたけど私の名前はジーテスみたいです。名字的なのはまだよく分からん。
「それじゃあ読むわね」
そう言って本を開く。タイトルは、星の魔法使い?
物語の内容としては、魔法使いマーレがとある村に襲いかかる災厄を、星の魔法で次々に解決していくというもの。
魔獣を吹き飛ばし、魔人を蹴散らし、そして魔獣をぶっ飛ばして、最後に魔獣を封じ込めて物語は終わる。
なるほどな、よく分からん。星の魔法が凄いことはわかった。
「これね、貴方のおばあちゃんの話なのよ」
え?おばあちゃん?マジかよ、絵本になるくらい凄い人なのか。いや、確かに絵本の中だとめっちゃ強そうだけど。
「この本はね、実際におばあちゃんが助けた村の人が作ったのよ。おばあちゃん、結構凄いのよ」
「へぇー」
「私は使えなかったけど、もしかしたら貴方は使えるかもね、星の魔法。おばあちゃんの固有魔法なんだけどね」
固有魔法なんすね。でもそれなら使えないのは当たり前では?だって固有だぜ?それとも、固有魔法は受け継ぐことができるのか?まぁどちらにせよ関係ないですね。なんてたって私には既に、このなんかすごい眠くなる固有魔法がありますからね。
「この村もね、おばあちゃんが助けたおかげで今平和なのよ。だから、うちは近くの家に比べたらそれなりに広いの」
「へえー」
「貴方にはまだよく分からないか。とにかく、おばあちゃんは凄いってことよ」
なるほどな、つまりグランマは凄いってことだな。
「わかった!」
「ふふっ、どうかしら」
そして、俺は何度も本を読みにその部屋へ行った。最初は書斎かと思ったが、読書部屋と読んだ方が近いだろう。
祖母も母も本を読むのが好きらしい。本棚には多くの本が並んでいた。読めそうな本から読んでいるうちに、いろいろな言葉が分かるようになってきた。
そしてついに、魔法に関する本を読むことにした。
一度開いたことはあったが、何が書いてあるのかさっぱりわからなかった。しかし、今ならもう何が書いてあるのか理解できるのではないか?ということで、再び読むことにしたのだ。
よし、先ずはこの魔法入門ってやつから読むとしよう。ちょうど取りやすい位置にあるし。
ふぅむ、どれどれ・・・あー・・・・・・ほうほう・・・・・・。
読める、読めるぞ!成長を感じるぜ。
序盤には、魔法についての説明とその歴史が簡単に載っていた。
魔法を使うためには、魔力が必要である。人によって総量は違うが、誰しもある程度の魔力を内包していて、減ったら空気中から取り込むらしい。魔力の素、魔素でいいか。それが空気中にあるんですって。
この世界の魔法は七つの種類に別れていて、そのうち六つは適性が無いと上手く発動できないらしい。
火、水、土、風、光、闇、この六属性を上手く使うには適性が必要だという。適性がなくても使えるが、簡単な魔法しか上手く使えないということのようだ。その中でも、光と闇属性は適性者が少ないらしい。
そして、適性が必要なく誰でも上手くなれるのが白魔法である。白属性と言うとちょっと聞き慣れない感じがするので、無属性と訳すことにしよう。上記の六つに当てはまらない魔法は無属性に分類され、白魔法と呼ばれるのだ。
誰でも上手くなれるとは書いてあるが、やはりというか、魔法の才能がないとそう上手くはなれないらしい。
母さんが言うんだから間違いない。俺にはきっと魔法の才能があるとも言っていたが、それは正しいぜ母さん。何故なら俺には『賢者』の称号があるからな!
ところで、称号ってどうやって確認するんでしょう?ステータス画面的なのありませんかね?自分がちゃんと賢者になってるのか不安なんですけど。
まぁいいやそれは後で。
魔法の適性は、十歳までには確定するらしい。そのため、十歳になると近くの教会に行って適性を見てもらうようだ。特殊な儀式?があるという。もし、生まれ持っての称号があるなら、ここで同時に判明するらしい。
ここか!この時に分かるのか!といってもまだ先だな。
魔法の歴史に関しては、簡単に解りやすく紹介されていたが、そんなに面白くなかったのでカット。
中盤からようやく魔法の使い方が始まる。
魔法を使うには詠唱が必要らしい。省略はできても省くことはできないようだ。
ものは試し、いざ!
「魔力よ集え!(意訳)」
あれ、出ないぞ。ちゃんと本読むか。
なになに・・・ただ唱えるだけでは意味がありません・・・何処に魔力を集中させるのか意識して見ましょう・・・なるほどな!
それではもう一度、右手のひらに集めるイメージで。
「球体!(直訳)」
上に向けていた右手のひらに、白い魔法陣が現れる。大きさは、3歳の俺の右手より大きい位、大人の手と同じ位である。
そして、その魔法陣の上に魔力だと思われる粒が集まっていき、白い球体となった。ほんのり光っている。それと同時に魔法陣は消えた。
「おぉー」
出来たぞ!なんか体の中から何かが、右手の先に吸われる感じがしたけど、これが魔力ってやつか!なんかちょっと感動したし、結構嬉しい。
使えるぞ!俺はちゃんと魔法が使えるぞ!
あれ、なんか球体が小さくなっていくな。魔力が形を維持できなくなって、霧散してるとかそういうのだろうか。
ちょっと触ってみるか。そろーり、そろーり・・・。
って痛ったぁ!痛いんですけど!なんか破裂したし、破裂音みたいなのが聞こえたし!
なになに・・・魔力を集めただけなので、触れると痛いですって?最初に教えてくれ。
しかし、これで俺は魔法を使えるようになったということだ!
ようし、早速次の魔法カモーン。
「ジーテス、出てきなさい。晩御飯よ」
ふっ、今日はここまでにしてやるぜ。続きは明日だ。
取り敢えず、しばらくの間はこの本で勉強していくことになりそうかな。
これから沢山の魔法を使えるように頑張るぞー!おー!