足を切断しそうだったのでとりあえず蹴ってみた、反省も後悔もしないそ!
「ていやっ!」
そういって騎士にドロップキックをお見舞いした
不意をつかれたのでふっ飛んだ
ふっ詰まらぬものを蹴ってしまった
そう思っていたら周りを帝国の騎士たちが取り囲んでいた
・・・結構やばいかもしれない
元王国の男爵令嬢だったオレは何の因果か帝国の第三王子様の世話になっている
離宮で客人扱いされているという訳だな
・・・物好きな王子様だ
本当は平民になって城下でウエイトレスなりしたかったんだがなぜだか第三王子様は許さないんだよ
帝国に来る際に貴族の地位ははく奪されている
正真正銘の平民
いや虐待されていたから平民よりも酷い生活だった
だから平民になるのはばっちこい!
ちなみに中身は令和の日本人
平民以外に選択肢はないよな
という訳でニートをしてみた
第三王子様が音を上げるまでゴロゴロしてやるんだ(笑)
という訳で図書室に入り浸っている
活字中毒者にとって異世界というのは敵なんだよ
本はすべて手書きだからな
平安時代と同じだな
源氏物語なんて写本の数だけ2次小説があるらしい
・・・原作を勝手に改変するなと言いたい
でも帝国の威信をかけて集められた本は凄かった
日本の図書館みたいに、いやどこかの大図書館か?、床から天井まで本で埋め尽くされていた
・・・天井付近の本なんてどうやって取るんだと言いたい
でもいいんかね
本に書かれていることは大したことがなくても数を集めると帝国の地理とか特産物とか軍事情報とかまるわかりだろうに
まあ本を読む物好きはそうそういないから大丈夫か?
という訳で図書室に日参していたんだが、ある日、訓練場っていうの?騎士団が練習をしている広場、そこでマサカリを大きく振りかぶっている騎士がいた
その下には寝転がっている騎士
いや手足を押さえつけられていた
イジメかよ
酷いな
そう思った時点で駆け出していた
助走をつけて殴った、ではなく、蹴ってみた
いわゆるドロップキック
・・・新日本プロセスは永遠に不滅です(意味不明)
「なにしやがるんだ!」
当然囲まれた
だから豊かな胸(当社比300%) を突き出して堂々と言ってやった
「反省も後悔もしていない!」
そう言ったら第三王子様が
「そこまでだっ!」
と止めに入った
戦争撲滅を目的とした私設武装組織もかくやという速さで介入してきた
・・・2~3日に一回の割合で騒動を起こしているから当然だわな
こちらから喧嘩を売っている訳ではない
すべて売られた喧嘩を買った結果だ
「ケガをしてこのままだと死にそうなので足を切るところだった」
という騎士たち
「痛そうなので止めてみました」
これはオレ
・・・女言葉が気持ち悪い
「すまないがどうやら君の方が悪いようなんだが・・・」
第三王子様がすまなそうに言ってきた
騎士たちはというの王子様が味方になってくれたのでドヤ顔していた
・・・なんかむかつく!
いやだってさ、足を切られそうになった騎士の太ももって確かに膨れているよ?
でもプックリなんだ
3倍くらいに膨れているだけ
もしもケガで化膿していたっていうのならもっと酷いことになっているはず
なんでもかんでも切るというこの世界の常識に蹴りを入れたい気持ちでいっぱいだ
地面に寝転がっている騎士の太ももを触ってみた
ブヨブヨしていた
ケガの原因はわからない
だけどこの症状は判る
だって前の人生のケガと同じだからな
・・・もとも指にだけど
あの時は酷かった
左の薬指が3倍の太さまで膨らんだよ
切開すると緑色のドロドロが出てきた
宇宙人に寄生されたSF映画のようだった
後で調べたら緑膿菌?緑膿症?そんなことが書いてあった
早い話、菌による化膿
切開して膿を出して綺麗にすれば治る
ただそれだけ
ほら切る必要ってなくなくね?
という訳で第三王子様の離宮まで病人を運んだ
だって処置するなら綺麗な所じゃないとダメじゃん
もちろん事前に病院、いや診療所もどきを作っておいたから
だって石橋を叩いて壊すのがネット小説愛好者だよ?
第三王子様って権力があるなら事前に使わない部屋を一つ潰して作るくらいのことはするもんだ
・・・ニートで暇だったんだよ
ちなみに王国に居た時に麻薬は作っておいた
ケシだっけ?
ガクを傷つけると出てくる白い液体を乾かすとできたんだ
・・・王国の学院の花壇に普通に植わっていたのには驚いたね
図書館で調べてみると珍しい花は王家に献上するのが習わしだそうだ
王宮では見た目が良いバラとかが優先だから学院に押し付けたそうだ
まあどこにでもある花だから当然なのかもしれない
ゴールデントライアングルとかは人工の麻薬栽培用の花壇だからな
ここで分かったよな?
蹴り倒した時は痛みを緩和する麻薬があった訳だ
麻薬や鎮痛剤なしで切ろうとしていた時点でオレの勝ちは決まっていた
さすがにオレでも負ける喧嘩はしないって
という訳で騎士様を裸にして浴槽に入れて洗った
土とか付いているとバッチイからな
治るものも治らなくなる
騎士様を診療所のベッドに寝かせた後、ふとももの膨らんだ所をメスで切ってみた
・・・ちなみにメスも特注品
第三王子様万歳だな
こんなことをしているから評判が悪くなるんだよな
いい加減王子様も見限ってオレを突き放せばいいのに
でもしないあたりが生まれの良さってことなのかね
切り裂いて膿を出してみたらやっぱり緑色だった
異世界でもあるんだな
緑膿菌
オレが日本にいて指が三倍くらいに膨れた時は痛かった
触るだけで痛みがあった
でも切開して膿を出すとすっと痛みが引いた
そして傷がふさがったころには普通になっていた
たぶんこの騎士もそうなるんじゃないかな
凄い色と臭いがする膿を大量に掻き出して包帯を巻いた
後は自己責任で治るだろう
勝手に治るだけってやつだ(笑)
周りで見ていた騎士たちは変な顔をしていた
そりゃそうだ
日頃ニートだとバカにしていたオレによって仲間が助けられたんだ
こんな時どんな顔をすれば良いのかわからないわ、だろう
もちろん悔しがってくれていいんだよ
これから会うたびにドヤ顔してやろう
今までの悪口の復讐を兼ねて
売られた喧嘩は高値で買う主義だからな
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緑膿菌のあたりは本当にあったことです
緑色で本当にキモかったです