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128 特別編・自由研究!!


 百二十八話  特別編・自由研究!!



 良樹が謎の外国人男性との修羅場を繰り広げている時間。

 愛とマリアは暑い中、二人仲良く夏休みの宿題……自由研究に没頭していた。



 ーー……御白神社の神・御白と、代行死神でもあるサキュバス・メリッサと共に。



「あ、マリアちゃん。 あそこの電柱いるよ」


「本当だ。 やっぱり良樹がこっそり呟いてたのは本当。 あの看板があるとことには、絶対いる」



 二人の視線の先にあるのは【事故多発中につき注意!】の立て看板。 以前、愛がまだお札なしでは霊が視えていなかったころ、『絶対にその看板があるところではお札を持たないで』と良樹から釘を刺されていたのだ。



「でも、なんでそこに霊が絶対いるってお兄ちゃん知ってたのかな」


「マリアは良樹の言葉、聞き逃さなかった。 あのあと良樹、こう言ってた。『そういうことがたくさん起こってるから看板がある』って」


「そういうことって?」


「多分だけど、そこで事故に遭って亡くなった人が何人かいるってことだと思う」


「ーー……それは最悪だね」



 そう、何を隠そう愛とマリアの自由研究は、『どこに霊がいるか……』ではなく、『どうすれば車の事故を減らすことできるのか』。

 少しでも良樹や愛の両親のように、事故に遭う人が少なくなってほしいという願いから、二人はどんな状況で事故が起こるのか……について調べていたのだ。



 目的の看板付近に到着すると、二人は真剣な表情で周囲を見渡す。

 もしそこで低級霊等を発見した場合は愛やマリアがその都度除霊し、さらにそこで事故が起こりやすい原因がないかを探しているのだが……



『お! あったぞ愛!! あの上部にあるオレンジ色の大きな鏡を見よ! 大きな傷が横一線に付いておるがゆえ、曲がり角の向こうが見えづらくなっておるぞ!!』


『むーー!! ねぇマリア見て!! そもそもここに、おっきな道路とかに書いてある【止まれ】の文字が剥がれてるのがいけないんだって!』



 二人が原因を見つける前に、御白とメリッサが横から割って入ってくる。

 最初御白たちが原因を見つけた時に、愛とマリアが「すごい!」とベタ褒めしたのがいけなかったのだろう。 それが心地よかった二人は何か見つけるごとに愛たちに報告……次第にどちらが先に見つけるかの勝負に成り果てていたのだ。



「ちょっとみーちゃん、ありがたいけど、これじゃあ自由研究にならないよーー」



 困り果てる愛の隣で、マリアは愛に向かって首を横に振る。



「マリアちゃん?」


「愛、違う。 これでいい」


「なんで?」


「見つけてくれた方がマリアたち、楽できる。 楽できた方が早く宿題終わるし、早く遊べる」


「でもマリアちゃん、それはズル……」


「愛、宿題はズルしても、誰にも迷惑かからない。 誰も傷つかない……いいことしかない」



 御白たちからもらった報告をノートに記した愛たちは、他に看板がないか周囲を見渡しながら歩みを再開。 しかしその時、御白たちの表情が一瞬曇ったことをマリアは見逃さなかった。



「ねぇマリアちゃん、まだあの看板、あると思う?」



 愛が振り返りながら話しかけてきているが、マリアには聞こえず。 聴力を御白たちに全集中しているため、「うん」と空返事からへんじをする。



「それにしても暑いねー。 今日は次で最後にしよっか」


「ーー……うん」



 もしかしたら御白たちの話している内容が、以前感じたあの恐怖の正体かもと聞き耳を立てていると、少し……ではあるが、会話の内容が聞こえてきた。



『え、ほんと? ヨッシー大丈夫かな』

『良樹はおそらく大丈夫じゃ。 ただ……心配は、力を持たぬ浮遊霊共じゃな』

『そうなの?』

『あぁ。 まぁ妾の眷属を数体向かわせた故、誰も消されずに済むとは思うのじゃが……少し心配じゃし、早めに帰るとするか』

『そうだねー』



 良樹じゃなくて……浮遊霊たちの心配?



 意味は分からないが、家の周辺で何かあったことは確かだ。

 マリアはすぐに愛の肩を叩き、もう今日はこれで終わりにしようと提案をした。



「え、もう終わる? さっき次で終わろってならなかった?」


「そうだった? マリア、覚えてない」


「マリアちゃんも『うん』って言ってたよ?」


「じゃあ気が変わった。 暑すぎてマリア、もう無理」


「え、それ大変だね!! 水飲んでもすぐに汗かくし、早く家に帰って身体冷やさないと!!」


「そう。 このままじゃマリア、熱中症になっちゃう。 すぐに帰る」



 こうして愛とマリアは行き先を変更して自宅へ帰ることに。 そして家へまであと少しのところで一台のパトカーとすれ違ったのだが……



「ーー……え」


「うん? どうしたのマリアちゃん」



 パトカーの中に悪霊・悪魔でもいたのだろうか。

 マリアは突然立ち止まり、後ろへと消え去っていくパトカーの姿をじっと見つめている。



『どうしたのじゃマリア』

『パトカーかっこいい?』



「ーー……なんでもない。 多分気のせい」



 一体マリアは何を見たというのか。

 アリアは愛、御白、メリッサから「どうしたの」と聞かれても、歯切れ悪くその話題を回避。 話している間に家の前へと着いていたのだった。



お読みいただきましてありがとうございます!!

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