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122 ラブブレ①


 百二十二話  ラブブレ①



 教壇前。 担任が教卓に手を置きながら、生徒たちを見渡し口を開いた。



「えー、それじゃあ明日から夏休みなわけだが……なんか夏風邪っぽいのが早速流行ってるっぽいから気をつけろよ」



 そう、教室内にいる生徒の数は、二十四人中たったの十人。

 それは他学年・他クラスも同様で、皆同じ理由……体調がすぐれないからと学校を欠席していたのだ。



 まぁ大体理由が分かるのはオレくらいなんだけどな。



 勘の鋭い人なら分かるかもなのだが、その欠席者のほとんどがあの忌まわしき恋愛成就アイテム・ラブブレの着用者。 そしてそれは悪魔が影響している者もいるのだが、残りはメリッサの影響……ラブブレを着けている人が結構いたことを教えたところ、瞳を輝かせながら夜の街へと飛び立っていったのだ。



 あいつあの時『ノルマ以上を倒したら、ご褒美増えるんだよねー!』って喜んでたからな。

 男も女も色んな意味で骨抜きにされて……動けなくなってるんだろうよ、ちょっと羨ましい。



「ねぇ加藤くん」



 快楽に満ちた女子たちのことを妄想していると、後ろから石井さんが声をかけてくる。



「なに石井さん」


「佐々木さんも体調不良で学校休んでるって珍しいよね」



 あー、ヤンキー女子・陽キャ佐々木な。



「そうだね」


「それで私昨日心配で電話してみたんだけど……なんかめちゃくちゃ息が上がって苦しそうだったんだ。 お見舞いとか行く?」



 Oh。



「ーー……いや、行かない方がいいと思うよ。 安静にしといて欲しいし」



 息が上がって苦しそうだった……か。

 多分それタイミング的に、メリッサによる快感マッサージを受けてたんだろうけど、仮にそうだとしたら……電話しながら我慢してるっていうシチュエーションかよ興奮するぜ。

 


 ◆◇



 ホームルームが終わり家に帰ると、既に帰宅していた愛ちゃんとマリアがリビングから顔を覗かせてオレの方へ駆け寄ってくる。



「おかえりお兄ちゃん!!」

「おかえり良樹」



 なんつーか……最近の愛ちゃん、今までよりさらに笑顔が眩しくなったような気がするぜ。

 まぁそれも数日前の授業参観のおかげなんだけどな。 実はあの日、ヒステリックババァの声に驚いて泣いちゃった生徒が数人いたのだが、そんな子たちを愛ちゃんやマリアが率先して介抱……クラスメイトたちの信頼を一気に勝ち取ることに成功していたのだ。



「ただいま愛ちゃん。 なんか嬉しいことでもあった?」



 オレのこの問いかけに愛ちゃんはすぐに反応。

 隣にいるマリアの手を握りしめながら、「聞いて!!」と言葉をつづける。



「あのね、明日マリアちゃんと一緒に遊びに行くの!」


「友達の家?」


「そう!」


「前に泣いちゃってた子かな?」


「そうだよ!」



 愛ちゃんが元気よく頷く。

 そんな愛ちゃんを見て、マリアも口角を若干上げながらつられるように頷いた。



「明日、お昼から遊びに行く。 それで夕方くらいには帰る予定」


「そうか、マリアも行くのは珍しいな」


「マリアはただの付き添い。 いちばん行きたがってたのは愛」


「にしては、マリアもいつもよりニコニコしてるぞ?」


「むぅ……、じっと見ないで」



 何をして遊ぶのかは……聞いてもあんまり分からないだろうからやめておくか。

 オレは二人の幸せそうな表情に癒されながら、二人を連れてリビングへ。 明日から夏休みという開放感に満たされながら、ソファーの上に寝転がった……のだが。



『おい何をくつろいでおる、良樹』


「え」



 目を閉じようとした一歩手前で御白が眼前に出現。 眉間にシワを寄せながらオレに顔を近づけてくる。



「な、なんだよ。 いいだろ別に、勉学という呪縛から解き放たれたんだから」


『今夜じゃ』


「ん?」


『お主の仲間の浮遊霊たちを総動員させて、あの憎き鉄の輪を作りよった愚か者を探させておったのじゃが……つい先ほど、ようやく見つかったのじゃ』


「そ、そうか」


『じゃから今夜襲撃する……メリッサも連れて行く故、お主も来い』


「ーー……」



 え?



「えええええええええええええ!?!?!?」



 聞くところによると、ラブブレの製造場所は隣町の商店街の一角とのこと。



 御白の表情から察するに、これ断ったら面倒なことになりそうだなぁ。



 オレは渋々了承。 愛ちゃんたちも行きたがっていたのだが、流石に夜出歩かせるのは危険だからな。 警察官に見つかったら明日遊べなくなるよと理解させ、何とか御白・メリッサ・オレの三人だけで行くことを納得させたのだった。

 


「でもさ御白、その時間、この家は大丈夫なのか? まだ警戒してくれてるって聞いてたけど」


『それなら心配するな。 その時間のみ龍神が来てくれることで話をつけておる』


「龍神さんが!?」


『あぁ。 奴なら戦闘能力も妾より上じゃし、仮に何か起ころうとも問題ないじゃろう』


「ーー……そ、そうだな」



 オレは別の意味……ロリコン的な意味で心配だぜ。



 こうしてその日の夜、オレは御白・メリッサと共に静かに家を出てラブブレが製造されているらしき商店街へと向かった。



お読みいただきましてありがとうございます!!


本日、前作『小五転生』にて、【作者気まぐれSP】を更新しました! 最終回の続きではなく未だ作者の脳内にあったネタを放出していきます!

そこまで長くはなりませんので、前作読んでくださっていた方等いらっしゃいましたら、お時間あるときにでも見てやってください☆

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