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ゴブリンクロニクル Ⅰ  作者: 冨浦伝十郎
Chapter2  帝都のゴブリン
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ゴブリンの話

                                   ・



 こうして直接関わり合ってみるとNPC達の”作り込み”が浅い事が良く分かる。

クエストの討伐対象だからFPSの敵兵や狩ゲーのモンスターと同じようなものだが

( 実力で圧倒してからなら)話は通じる。 会話が成り立つのだ。


 記憶や知識という”中身”の乏しさに比べると向かい合った時の会話のスムーズさは全く違和感を感じさせない程でプレヤー同士のそれと遜色ない。

俺と同じ様なボランティアのPCにモディファイを加え大勢のコピーを作り出したのかとも思ったがそれにしては ”中身” が空疎に過ぎる。

詳細は不明だが何か キャラクタ・エンジンのようなものがあるのかもしれない。

( 俺はTFが先端を競っているスマホエージェント関連の技術だと思ってる )


 小さかった頃、親父の書斎のラックに整然と並ぶ十機以上のコンシューマ機をよく遊ばせて貰ったものだが、沢山のRPGの中に市街にいるNPCの一人一人全てに名前をはじめとするプロフィールが設定されていた作品があったのを覚えている。

文字にして数百字程度に過ぎなかったが『偉く手間を掛けたな』と思ったものだ。

”名前を付ける” だけでも大変な作業なのは間違いない。

( しかし其処は手を抜いて欲しくないんだよな! )







「女神様がこの世界(デルモニア)を作ってから 天界(ヒュモニア)の俺達が目を付けた」

俺はガルドス達にゆっくりと話し始めた。

「 『面白い遊び場を見付けた』 ってな。 噂は天界で瞬く間に拡がった」

かなり脚色してるが”嘘”でもない。

「お前ら”人間” と同じ成りになってこの世界に降りて来て遊ぶようになった」

皆、黙って話を聞いている。


「"遊び" というのは "殺し合い" だ。 狼と戦ったりモンスターと戦ったりな。

 天界には野獣や化物はいないんだ。 人間同士も滅多に戦ったりしない。

 とっても ”平和な” ところだと思ってくれ」

「・・待てや、おかしいやろ」

ガルドスが口を挟んで来た。

「そないなエエ所に住んどって何で態々・・・! 」

( …まあ そう思うわな )



 これだ。 この ”ナチュラルな人間味” 。

( 他社ゲームのNPCならば優秀なエンジンでも精々『さよか?』 程度だろう ) 

もう ”仕組み” はどうでもいい。 俺は対等な”人間” としてこいつらと接する。

( 進藤が(PC)を人として遇してくれたように )



「 ”刺激” が欲しいんだな。 子供のチャンバラごっこみたいなもんだ」

俺は出来るだけ分かり易く(分ってくれるか?)説明する。


「平和で退屈だからスリルを味わいたいんだ。 英雄気分になれるってのもある。

 こっちでやられて”死”んだって天界で目が覚めるだけなんだからな!

 怖がって来るやつなんていないのさ」


「・・・遊び、 か・・・」

誰かが呟く。 セシオ、だったか。( 記憶はスカスカでも俺の話は分かるんだ )




「そうだ。 お前達は俺達が ”遊び” で退治する "悪い盗賊" なんだよ」









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