昨今のランキングの『文化』について思うこと
主人公を追放!
追い出したら没落!
なんてこった!
主人公が実は凄い!
アイツは強かったのか!
帰ってきてくれ!
今更遅い!ざまぁ!
昨今のランキングは、文字にすれば上記の100文字に満たないもので埋め尽くされている。
見ていて思うのは、『ちょっと味を変えたポテチでも、迷走じゃなかったら売れるっちゃ売れる』といったところか。
まあ、『別に良い』と個人的には考えている。
『ランキング』というものが何によって構成されるのかというと、『ポイントを入れる層』が持っている【文化】によるものだからだ。
昨今なら、コンビニに入って1個のビスケットを買って、歩きながら食べてるような感覚。
定番という言葉が持つ『気軽さ』や『手軽さ』……そう、『軽さ』と言えるものだが、それを味わうのが現在のランキングの【文化】なのだ。
書籍化を狙って一心不乱に流行に飛びつく姿は、『人間って活力があるんだなぁ』ということを感じられる(誰目線だお前は)。
言い換えれば、
『緻密で独特な世界観』と『魅力あふれるキャラクター』と『緊張感のあるバトル』で構成された作品を読んで、
①『あー面白かった』とプラウザを閉じる者。
②『こんな裏設定を見つけたぞ!』と歓喜する考察勢。
③『このヒロインは俺の嫁だ!』と騒ぐ馬鹿。
そんな【様々な人】が出てくるような、『重厚なストーリーを楽しむ』という【文化】が、現在のランキングに備わっていないのだ。
昨今のランキングだと、多分①しかいないだろう。
ただ、1話ごとに更新するなろうのシステムに置いては、この重厚な世界観を楽しむ【文化】を構築するのは、困難を極める。
電車の中や休憩中、寝る前にちょっと読んでいるという人が多いだろう。
しかも、『個性』ではなく『展開』が重視される以上、本当の意味で『スナック感覚』なのだ。
極端な例を出すなら、何の心の準備もせずにグロホラー映画を見る奴なんていないだろう。
なろうのランキングには、『最近流行の、1個だけで包装されたビスケット』が並んでいる。
現在の『展開重視』のランキングの文化が続いているという以上、『今のなろう読者』に対しては、現在のスナック感覚でお手軽に食べられるような【文化】が、最も『適している』のだ。
個人的な意見をさらに加えるならば、スナック感覚でカタルシスをしっかり得られるトレンドが『追放ざまぁ』というデッキという『だけ』であるということ。
人間が潜在的に物語に求めているものとして、おそらく2点。『復讐』と『なり上がり』だろうか。
この2つの要素がしっかり満たされて、なおかつ『お手軽』に食べられるのであれば、『追放ざまぁ』にこだわる必要はない。
しかし、これほどわかりやすく『復讐』と『なり上がり』を提供できるデッキが今のところ開発されていないのも事実である。
きっとまだまだ続くだろう。
あたらしく、お手軽にカタルシスを得られるデッキを構築する先駆者の登場に期待する。
★
少々話を変えるが、『重厚なストーリーを楽しむ』という【文化】
これの存在に対して、一定の『希望』があると考えている者がいるのも事実だと思う。
『さすがお兄様!』
『アインズ様万歳!』
『カズマ頑張れ!』
『ターニャたん可愛い!』
様々なキャラクターに『なろう』で今まで出会って、また、こんな【主人公】に会いたいと願っている人、絶対にいると思います。
昨日読んだランキング作品の主人公。皆さんの頭に残っていますか?
ヒロインの表情が思い浮かびますか?
私は断言します。ほとんど覚えてないです。
今、パソコンで執筆している目の前に画面に、昨日読んだランキングの作品ページは一切載っていません。
……キャラが、全く思い出せないんです。
きっと、またジャンル別のランキングページや、回覧履歴のページを開いたら、思い浮かぶでしょう。
でも、それは『テンプレ』というマネキンが、どんな服を着ていたのかを思い出すかのような作業です。
それは空しい。
スナック感覚で読む今の文化に否定はない。それを楽しんでいる自分はいる。しかし……あの頃憧れた……
【この作品に入ってみたいな】と思えるような……
そう考えている人、きっと多いと思います。
ですが、困難です。
これを解決する方法は、なろうのルールを変えるしかない。
現在、1話やプロローグだけを投稿しようとした場合、最低文字数は『200文字』である。
この最低ラインを、重厚なストーリーを感じるため、1巻分、要するに『10万文字』にするのだ!
……。
できるかボケ!というツッコミが私の頭から聞こえてきたので、別ルートにしよう。
私が頭の中でごちゃごちゃ思い浮かんだのは、新システム、『巻数管理』である。もとからある『章管理』という、自由に『章』を張り付けられるシステムを弄ったものだ。
およそ、ラノベで出版するために必要な1巻分の文字数は10万文字とのこと。
この『巻数管理』に置いて、『第1巻』を設定する場合、『第1話から数えて、合計文字数が10万文字を超える話』でなければ登録できない。というシステムである。
例を挙げれば、例えば1話を平均2500文字で40話書けば、文字数は10万文字になる。
この場合、『巻数管理』では、『第1巻』を設定する場合、『1話』から『40話以降のどこか』で設定する必要がある。
これによって、自分が書いた長編小説の中で、『第1巻』が仕上がるというわけだ。
なお、なろうの特性として、『ランキングに載らないと読者が増えない』というのはもう摂理なので、『巻数管理設定された小説のみ』の『ランキング』があれば、なおいい。
1話のありふれた展開を読んで、安直にポイントを入れるという行為がある程度削減されるのではないだろうか。
そして、『巻数管理設定』が行われた作品は、それまでのランキングに載っている作品よりも、より『店頭に並ぶラノベ』の形式に近くなる。10万文字書かれていて、しっかりと作者が『これがこの作品の1巻分です』という体裁をきっちり整えているからだ。
変な文字数稼ぎや馬鹿な設定をしていたら、感想欄でぶっ叩かれるだけだろう。
大雑把に考えたものなのでツッコミどころは多いかもしれない。また、『巻数管理システムがあったら嫌だなぁ』という意見があれば、ドシドシ感想の『気になる点』で突っ込んでいただければと思います。