ジャンクキング(第三部 完)
第83部分 ジャンクキング(第三部 完)
「スザンナ、本当に必要なのか?」工房には俺とスザンナだけで、いま俺は自分のパンツを脱いだ。
「全部見る必要があるんです、ハアハア」とスザンナ、なんか興奮してないかおまえ。
「じゃあ、はい。1回転するぞ」俺はノーパンでクルリと1回ターンすると、すぐにパンツを履いた。
工房のテーブルにはすでに素材が並べられており、あとはスザンナがアイテムを作成するだけだ。
「ハアハア、イイですね。イメージできました。イクです”アイテム作成”」とオリハルコン製の俺そっくりの人形ができた。
「では、コレに擬態のスキルカードを結合します」とスザンナ、擬態のスキルカードにはカメレオンの絵が描かれている。
「”スキルカード結合”」 人形がオリハルコンの金属から、肌色をしている人間のように変化した。
「さすがだな、スザンナ。俺そっくりだ、まあ実物はもう少しいい男だがな」と俺、
「そんな事ありません、全く同じです」とスザンナ、
「スザンナ、コレも頼む」MP回復のスキルカードを2枚テーブルの上に出した。
「”スキルカード結合”」をスザンナが二回繰り返し、黒竜革の帽子(MP回復)、オリハルコンのロングソード(MP吸収)を作成した。
「ユリを呼んで、ゴーレム化しよう」、工房のドアを開けて、ユリを呼んだ。
「できたの?」とユリ、
「すごいミチルが寝ているみたいね」とユリ、
「ノリユキ、じゃあ始めるね」
「はい、ご主人様よろしくお願いします」とノリユキ、ノリユキはユリの従魔でゴーレムだ、ユリの命令には逆らえない。
「ノリユキ、ノリユキはどう思っている」と俺、
「私は、ご主人様のお役に立てるのでしたらそれが一番の幸せです」とノリユキ、
「そうか、では始めよう」
ユリは、俺そっくりの人形に、ノリユキの魂を移した。
「ノリユキ、俺にそっくりだな」と俺、
「はい、私は今日からミチルです」とノリユキ、声までは似なかったな。今まで通りの声だ。
「ユリ、この装備をノリユキに与えてくれ」
「何ですこれ」
「MPが自動回復する黒竜の帽子と、魔獣に攻撃をするとMPが回復するオリハルコンのロングソードだ、それをユリから与えられるとノリユキはおそらくほぼ永久に動くことが出来るだろう」と俺、
「なるほど、それで私から与えるのですね、MP回復ポーションのように」とユリ、
「そうだ、ノリユキはユリからしかアイテムを受け取らないからな」
「私は、ご主人様以外から回復アイテムを受け取れません」とノリユキ
「では、装備を授けます。ノリユキ、今まで私を支えてくれてありがとう」とユリ、ノリユキに装備を手渡すと、ユキはノリユキをギュッと抱きしめ、魔力をゴーレムに充填したようだ。
「ご主人様、ありがとうございます。ご主人様に使えることが出来て本当に私は幸せでした」とノリユキ、
「そこでだ。ノリユキ、最後の贈り物がある。受け取るかどうかはノリユキが自分の意思で判断してくれ」
工房のドアを開け、ピースメーカーのメリーを中に入れた。
「メリー、ミラクルを使って、ノリユキをターゲットできるか確認してくれ」と俺、
「”ミラクル”」とメリー、スキルを起動させた。
「ミチル、ターゲットできます。赤く丸い印がノリユキだけに表示されました」とメリー
「だよな、いったんキャンセルしてくれ」と俺、
「ノリユキ、ノリユキはこのままゴーレムとして生きてゆくこともできる。MPを回復できるからほぼ永久に動き続ける事が出来るだろう。だが、もう一つ選択肢がある。人間になるつもりはあるか、老いて限りある命となる人間に成る覚悟があるか?自分で判断してくれ」と俺、
「わたしが、人間・・・・成る」とノリユキ、考えているようだ。ノリユキがユリを見つめた。
「ノリユキが選んでね。ノリユキが判断することよ」とユリ、
「私、人間になりたいです」とノリユキ、
「そうか、なんとなくそう言うと思っていたんだ」と俺、
「メリー、ノリユキにミラクルを使ってくれ」
「はい”ミラクル”」とメリー、ノリユキにピースメーカーだけが使える、”ミラクル”のスキルを使用した。簡単に言うと奇跡を起こすスキルだな。
「”目利き”」と俺、さっそくノリユキのステータスを確認して見た。
”ノリユキ ヒューム 20歳 転職可能な職業 槍兵”槍兵からスタートか。
「ノリユキ、槍兵からスタートだ、ガンバレよ」
「”ステータスオープン”」とノリユキ、
「これが、自分のステータスなんですね。すごいなあ」とノリユキ、
「ノリユキ、俺の代わりを頼んだぞ、周りに舐められないようにな」
ノリユキを俺そっくりに変化させたのは、準男爵の俺がこの集団から抜けることによる不利益を無くす為だ。
この世界は物騒だ、弱みを見せると攻撃してくらやつらも多い。
俺が抜けても、戦力的にあまり変化は無い。
強くなるまで、家で留守番していても良いだろう。
「ヤシロに鍛えてもらってパラディンに成れると良いな」
「ミチル、ありがとうございます。わたし頑張ります」とノリユキ、
「ミチルからミチルと呼ばれるとなんか変な感覚だな、ハハハ」と俺、
「フフフ」とユリ、スザンナが笑った。
「では、みんなの所に戻るか」俺達は工房を出る。リビングとキッチンには仲間全員がいた。
ユリの後任は、孤児院で暮らしていた魔道士シルビアに任せることになった。
ユリは、シルビアとロンの魔法使いの兄弟をよくかわいがっていて、ネズミーランドにも連れていってやっていた。
とても仲が良い3人だ。
ユリは魔道士にできる全てのことをシルビアとロンに教え込んでいたようだ。
アレックスが瞑想を教えれば、大魔道士にも成れる才能を持っている。
「ミチル、悲しいニャンなあ、また会えるといいニャンな」とレン、
「ああ、また会えるさ」と俺、
「ミチル、これでお別れとは残念だ、長生きしろよ。死んだらバルハラで酒を酌み交わそう」とベン、
「そうだな、バルハラにはユパンもいるだろう、みんなで、昨日みたいに演奏してバカ騒ぎしようぜ」
「ミチル、またホームセンターに連れて行ってください、悲しいです”グスッ”」とスザンナ、
「スザンナ、自分の店と酒作りでお金を稼いで、みんなを支えてくれ」
「ミチル、いろいろありがとうニャア」とミミン、
「ミミンはしっかり者で経営の才能があるな、すこしアホなレンをよろしく頼むぞ」
「アホではニャイ!!」とレン、
「ミチル!!ありがとう」とアレックス、いきなり抱きついてきた。
「あっ、アレックスずるいです」とヤシロ、ヤシロも俺に抱きついてきた。
「イタイ、イタイやめてくれ」
「勇者ヤシロ、おまえがリーダーだ。金は大事に使えよ」と俺、さっきおれの持っている金貨のほとんどはヤシロに渡しておいた。
「ミチルがいなくなると、なにかと不安です」とマーベリック、
「マーベリックはもう一人前の勇者だ。りっぱな男だ、ルミナを幸せにしろよ」と俺、腹に軽くパンチをしてやった。こいつらは来月結婚する予定だ。
「パンク、なに泣いてるんだ。孤児院はまかせたぞ」
「大魔道士クーランラ、いろいろごめんな。男爵によろしく言っておいてくれ」
「はい、残念です」とクーランラ、
「それでは、みんなこれで本当のお別れだ、」
「ユリ、行こう。じゃあなみんな元気で」と俺、
「みなさん、ありがとうございました」とユリ、深く頭を下げた。
「”タイムトラベル”」と詠唱するユリ、オレ達2人だけが、現実世界の家に転送された。
「フー、寝ていないから眠いな」と俺、仲間達と夜通し酒を飲んでいた。
「そうですね。私も限界です、帰って寝ます」とユリ、歩いて門から出て行った。
よりによって俺の家のすぐ近くに引っ越して来るとはな。
俺の家とユリが買った家は20mぐらいしか離れていない。
家の鍵をポケットから出して鍵穴に入れた。
母さんは未だ寝ている時間だろう。
”スーパーマルチクリーニング”とスキルで自分を綺麗にした。酒が体に残っていてシャワーを浴びるのが面倒だ。
ベッドに横になる。明日から大学だ。学部は経済学部から人間社会学部に変更できた。
少しは、興味が持てる勉強内容だと期待しよう。
ゆっくり眼を閉じた。
それから3年後、俺とユリは大学を卒業し、なぜかユリは俺と同じ会社に就職した。まあ俺のコネを使ったからな、なんの問題も無かった。
俺は、大学に通いながらも働き、すぐに昇進し部長待遇になっていた。
俺が始めに作成したゲームもまだ人気があるし、その後に始めた、仮想現実空間での人材育成プログラムや、外国語の習得プログラム、楽器演奏のコーチプログラムの利益も順調で、コンテンツも膨大に増えている。
この事業はうちの会社が初めて数カ国から表彰された事業となり、新社長からも褒められた。
エンジニアの巣鴨さんは今ではテクニカルアドバイザーで俺と同じ部長待遇である。
まあ、新社長はフランス人なので何言ってるのか分からなかったが。
「ミチル、これどうなってんのよ」とユリ、
ユリは平社員だけど、俺には厳しい。
「ああそれか、役員達はそのコンテンツ作成にそんな予算は出せないとさ」と俺、
「これは、利益を出すコンテンツじゃないから。もう、たんまり儲けているいるのにドケチなんだから」とユリ、
「ユリ、しばらく間をおいてから、人気のあるコンテンツに紛れ混ませてやれば大丈夫だ、パワポの資料のタイトルと概要、イメージ差し合えて、少し儲けられますと修正しておけばその企画は次回は承認されるさ。俺が通しておくよ」と言うと、ユリの腰を抱き寄せた。
「セクハラです!!」とユリ、俺の腕のねじり上げた。
ユリは古武道の免許皆伝だった。
「イテテテ、婚約者になんてことを」と俺、ユリと俺は6月に結婚する予定だ。
「そうでした。フフフ、今日の夕飯は何がいいの?」とユリ、
「ああ、うーん。何でもいいよ」と俺、
「デタ」とユリ、
「じゃあ、今日は魚かな」とユリ、
「楽しみにしておくよ」と俺、ユリが俺のオフィスルームから出て行った。
”プルプルプルプル”と電話だ。
「はい、タサキです」
「ミチル、なんでメール無視する。キュウヨウ、キュウヨウ」
NASUA(宇宙開発機構)の友人、フレデリックからの連絡だった。大至急来て欲しいとメールがきていた。けど、面倒くさいから無視していたんだ。
フレデリックとは以前、うちの会社が量子コンピューターをNASUAに納品した時に、世界的に有名なゲームデザイナー”ミチル・タサキ”に会いたいと言って会ったんだが、フレデリックはすごい天才でしかも話が面白く、ゲーマーと言うことで気が合い、この町のリサイクルショップでレトロゲーのカセットを一緒にDIGった仲だ。
「フレデリック、お前の所遠い、面倒、OK?、いまここで言ってくれ」と俺、
「電話ダメ、盗聴されてる。ダメ絶対だめ、禁止されている。ヤバイ、本当の危機、早く来て」
「わかった、OK。じゃあ明日な。施設の入館申請よろしくな。忘れるなよ。前回警備に止められてんだからさ」と俺、
「あれ、私じゃない、秘書、秘書が忘れた。あいつ美人なだけ仕事ダメダメ」とフレデリック、
「OK、明日、13時、NASUAの正門前に行くから出迎えろよ、OKか?」
「OK!!」
面倒だな、明日はスーツ着て、アメリカか。テレポートで一瞬だけど。
「17時30分か、帰る時間だ」わざわざ、エレベータに乗って1Fまで行き、カードゲートに社員証をかざした。コレをしないと、出退勤時間の監査に引っかかる。
以前注意されて懲りた。
隣のビルのトイレに行き、無詠唱でテレポートして家に帰った。
”ブゥン”と庭の方から音が聞こえた。ユリも帰宅したか。平社員なんだからもっと働けよ出世できないぞ。と俺のブラック思考がうずいた。
”ピンポーン”ピンポーン”
なんでチャイム鳴らす。あいつ鍵忘れたのか?
”ガチャリ”と鍵を外してドアを開ける。
「ミチルだニャン」とレン、いきなり抱きついてきた。耳のモフモフがくすぐったい。
「ミチル、お久しぶりです」とヤシロ、ヤシロが大人になってる。カワイイというか美人で格好いいと言う雰囲気に変わっていた。
「ミチル、元気でしたか」とスザンナ、スザンナは髪型が変わっただけで、あまり変わっていないな。
「ミチル、元気か?」とベン、
後ろにはアレックスとジーナ、シルビアもいる。
「まあ、早く家に入れ」と俺、彼女達は防具を装備をしており、手には物騒な武器を持っていた。
「おまえらどうした?、どうやってこっちの世界に来たんだ?」
「ミチル大変です、宇宙から魔獣が来て、そいつと戦っていたら、全員変な魔法をかけられて知らない場所に飛ばされました。しょうが無いので、シルビアがテレフィールドを使ったらこちらの世界だったようで、シルビアが知っているこの場所にテレポートできました」
「はあ!!」
”ブゥン”と庭の方から音がした、ガチャリとユリが家に入ってきた。
「わあ、みんな!どうしたんですか」とユリ、うれしそうだ。
「ユリ、みんな変な魔法でこの世界にとばされてきたらしい」
「えっ、私、ちょっと向こうの様子をみてきますね」
「”タイムトラベル”」とユリ、詠唱した。
「・・・・・”タイムトラベル”あれ、おかしいな転送されません」とユリ、
「ミチル、どうやら私達、こちらの異世界で暮らすことになりそうです。いやーまいったなあ、ホームセンターやネズミーランド、ネズミーシー、いやー本当にまいった」とスザンナ、なぜか嬉しそうだ。
「スザンナ、お前嬉しそうだぞ」
「そんな事あります!!ミチルがこっちの世界からいなくなったあとは刺激がなくなりました。事業も全部上手くいってますし、なんの心配も無くなりましたが、冒険もなくてつまんないんです。久しぶりに戦闘だったのですが、そしたらこのありありさま。やっぱりミチルが関係していたのですか?」とスザンナ、
「いや、俺達なにもしていないよな」と俺、
「はい」とユリ、俺の横に移動してきた。
「スザンナ、あれ見ろ」とベンが俺達の手を指さした。婚約指輪を見つけたようだ。
「ハッ、ミチルはユリと結婚するのですか?いつからロリコンにい、子供と結婚するのは犯罪です」とスザンナ、
「いや、ユリはもう俺と同じ歳だし」と俺、
「ミチルとユリが結婚するとはめでたいな」とアレックス、
「まあ、そうなんだけど」と俺、
「これからしばらく、ここにいるとして、どうする?」と俺、
「しょうがないです、こちらの異世界で働いて暮らすことにしましょうか」とスザンナ、
「ちょと待て、ヒュームのやつらは良いとしても、猫耳族や耳長、ツノ有りはどうすんだよ」
「ミチルは耳長を差別するんですか!!」とスザンナ、
「耳長を差別だと、それは聞き捨てならんな」とベン、
まあ、ベンも耳が長いしな。
「差別とかじゃなくてさあ、外見的にさあ目立っちゃうでしょう」
「ミチルは私の猫耳は嫌いニャンか?」とレン
「いや猫耳は好きだけどな、そういうこと言ってわけじゃなくてさあ」
「そうか、猫耳が好きニャンか。フフフ、すこしなら触らせてあげてもいいニャンよ」とレン、
「まあ、とりあえず飯たべようか。みんな装備は外してスザンナかヤシロに預けてくれ」
「ワーイ、飯だ飯だ、ザキヤマ15年がんがん飲むぞ!!」
「ミチル、どうすんのよ!!」とユリ、
「おれも知らんよ、ハアー」




