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勇者ヤシロ

第82部分 勇者ヤシロ


「ミチル、わたし今日、勇者になるです」とヤシロ、

”目利き”のスキルでヤシロのステータスを確認した。

”エンペラーガード レベル15”か、たしかにもう良いだろう。

「じゃあ、マーベリック達も必要だな。トランシーバーで呼び出してみよう」

「”ピピー”ミチル、どうしました”ガガー”」とマーベリックだ。

「こないだ話したヤシロが聖剣を抜く件だ。いまからどうかな」

「OK、大丈夫です。しばらくしたらそちらに行きます」とマーベリック、


「ミチル、じゃあ行きましょうか」とマーベリック、

「そうだな、ユリ、テレポートを頼む」”ブゥン”無詠唱か。

ブラックドラゴンの洞窟の前にいる。

「なんか様子がおかしくないか?レン、索敵してくれ」と俺、

「ミチル、あいついるニャンな」とレン、

「ブラックドラゴンなのか?」

「そうニャンな」とレン、

「俺達、数ヶ月前にブラックドラゴンを討伐したよな、魔獣はこんな頻度で復活するのか?」

「うーん分かんないニャアよ」とレン、

ハッ、もしかしてヤシロが”聖剣を抜く権利(有効)”のスキルを入手したから、何かのフラグでも立ったか。


「ミチル、例の爆弾で一発ニャンよ」とレン、

「レン、爆弾はもう無い。こないだポイズンドラゴンに人形のマイケルが特攻で使ったやつが最後の爆弾なんだ」と俺、

「まじかニャアー」とレン、

「俺達じゃあ、ブラックドラゴンは倒せないかもなあ」と俺、

「ミチル、光の剣や聖剣でなら倒せるハズですよね」とマーベリック、

「まあ、たしかに、この奥に聖剣の部屋があることから考えると、光の剣ならドラゴンを倒せるかもしれんなあ。その上位の聖剣でなら効果はあるだろう。でも危険だぞ」

「ミチル、やりましょう」とマーベリック、

「ミチル、私も興味ある。ヤロウ」とベン、

「分かった、では光の剣と光の槍が使えるメンバーだけでパーティを組み直そう」と俺、

①ミチル   ジャンクキング ホーリーランス光の槍

②ベン    ドラゴンベイン ドラゴンスレイヤー光の剣

③ヤシロ   エンペラーガード ホーリーランス光の槍

④マーベリック  勇者    聖剣

⑤ザビス  ドラゴンベイン  ドラゴンスレイヤー光の剣

⑥メリー  ピースメーカー  ドラゴンスレイヤー光の剣


「作戦はこうだ、マーベリックは色即是空が使える、聖剣でドラゴン首めがけて奇襲してくれ。運が良ければ、一撃だろう」

「俺とヤシロは両脇から2つあるであろう心臓に槍をつきさす。ベンは尻尾、ザビス、メリーはマーベリックの後で首狙いだ。それでダメなら、いったん退却だ、テレポートで直ぐに逃げる。この作戦で良いか?」

「問題ない」とマーベリック、

「残りのメンバーは俺達が退却する場合に遠距離攻撃でドラゴンを足止めしてくれ、俺達が離れたら、テレポートで逃げるように」

「了解」とユリが答えた。


「全員ハイポーションは持ったな。ではユリ、パーティシールドとパーティエンハンスを頼む、クーランラは、エンハンスアーマを全員に頼む」と俺、

「了解」とユリ、クーランラ、

全員にエンハンス系の魔法をかけてもらう。

「よし行こうか、ゆっくりな」と俺、

マーベリックの奇襲が鍵だ。

「ヤシロ、俺達の光の槍で一回刺したら、そこには通常の槍も入ると思う。二回目の攻撃ではサンダースピアも試そう、鉄の槍を捨て槍にして、刺してビリビリさせ、そのまま槍は抜かずに、ドラゴンの動きを封じよう」

「なるほど、その手がありますね」とヤシロ、


ブラックドラゴンが見えてきた。こないだのより色が薄くて小さい。未だ成長途中なのかもしれない。

「ミチル、これは取り囲んでから一気に方をつけたほうが良いな」とザビス、

「ああ、みんな位置について、マーベリックの攻撃音が聞こえたら一気にヤロウ」とベン、

「そうしよう」と俺、俺は奥側、ヤシロは手前な手で合図した。ベンは尻尾を両断する気だろう。

マーベリックが高く飛び上がるのが見えた。

今だ、”ホーリランス光の槍”俺も光の槍を持って突進する。

「”ガシッ”」今の音は、マーベリックが切りつけた音だろう。

”ビーストダッシュ”で俺も加速し間合いに入った”急所突き”で光の槍を繰り出す。

「”ガゴ”」と音がして、俺の光の槍がドラゴンの前足の付け根に突き刺さった。さらに力を入れて奥まで突き刺す。バックステップで待避した。メリーとザビスが首に攻撃しているのが見える。後方から魔法や魔法矢がドラゴンの顔めがけて飛んできて来ているのが見える。

俺も、もう一度だ。鉄の槍を両手で握ると、先ほど自分が攻撃して出来た傷を狙って突進する。”サンダースピア”電気をまとった槍がドラゴンの体にすいこまれてゆく。先ほど打ち込んだ光の槍は、すでに消えているが、傷は開いたままだ。

ドラゴンのからだが激しく痙攣した。

尻尾の方を見ると、ベンが尻尾を切り落としていた。

「ミチル危ない!!」とベン、

”ドガッ”と言う音と、車にでもはね飛ばされたような感覚がした。

やば、黒竜革の防具付けてなかったら死んでたな。となぜか冷静に思うと、岩の地面に叩きつけられた。

「ぐふっ、げほっ、ぐっぐ、はあ、はあ、はあ」やばい、衝撃で少し息がつまった。

「ミチル、大丈夫か」とベン、

「俺は大丈夫、今がチャンスだ、一気に叩きこめ、俺は自分で治療する」

”スーパーマルチリペア”

足と、膝と背中を自分で治療する。立ち上がって、ポーチからハイポーションを出すと一気に飲み込んだ。

「フー、油断した、くそ」と俺、”ホーリランス光の槍””ビーストダッシュ””ビーストジャンプ”きっとあそこも弱点だ、首の裏側で皮がシワシワになっている裂け目だ。白くマダラになっている。構えた槍を思いっきりそこに突き刺した。

”ギョギー”とドラゴンが叫ぶ。

「”真空兜割”」と右上の方でザビスの声が聞こえた。

ザビスが”ザシー”とドラゴンの首を切り裂き、すぐに回避する。

ドラゴンはもう立っているのがやっとのようだ。

「”真空兜割”」と俺の真横を通過したベンが、ザビスの切り裂いた傷をさらに深くえぐった。

”ドッシン”とブラックドラゴンが倒れ、その大きく開いた目に生気は無くなっていた。

「やったぞ、勝った」とベン、

「やりましたです」とヤシロ、

「連携が良かったですね」とザビス、

「ミチルが無事で良かった」とマーベリック、

すまんな油断した。

「ああ、俯瞰的ふかんてきに見ようと仲間の動きを気にしていたら、後ろからはね飛ばされたようだ。油断したよ、ごめんな。ハハハ」

「”魔獣解・・・”ちょっと待とうか、せっかくの大物だ記念写真を撮ろう」

「オーイ、みんな集まれ!!」と俺、

倒れたブラックドラゴンを背にして、俺のパーティと、マーベルリックのパーティが列んだ。デジカメを岩に置いてタイマーをセットする。”パシャリ”薄暗い洞窟にフラッシュが光った。

「何ですそれ」とマーベリック、

「瞬間的に絵を保存できる魔道具だ、見てみろ」とデジカメの液晶を見せる。

「わっ、きれいに描かれてますね」

「だろ、後日絵にしてみんなに配るよ」と俺、

「ミチル、私を写してください」とヤシロ、ドラゴンの顔をバックにやりを構えて笑っている。

「撮るぞー”パシャリ”」

「見せてください、あーまた変な顔だ、なんでこうなる、プンプン」とヤシロ、

いや、いつものお前の顔だ。安心しろ。

その後、何枚か仲間の写真を撮った。マーベリックとルミナは2ショットを撮ってやったぜ。


「”魔獣解体”」ドラゴンを解体して、素材にする。マーベリックのパーティと分割してアイテムボックスに収納した。

「ヤシロ、あそこの壁にボタンが見えるか?」と俺、

「はい、あの光っているところですね」とヤシロ、

ヤシロには見えるのか。俺には何も見えなかった。

”カチリ”とヤシロがボタンを押すと、隠し扉が開く。

「ヤシロ、欲しいスキルを持っている仲間とパーティを組め、なるべく絞った方が良いぞ」

「では、ミチル、マーベリック、レン、ユリの4人にお願いします」

「なるほど、そうか考えたなヤシロ”了解”っと」

「ヤシロ、聖剣は素手で台座から抜くんだ。その剣すごく熱いんだ。ひるまずに一気に引き抜け、その後でハイポーションを手にかけてやるからな」アイテムボックスからポーションを出して栓を抜いておいた。


「ではヤルです。絶対に抜くです。オリャー、ギャー熱いです!!」と言いながらも聖剣を引き抜いた。聖剣が光り輝き、一瞬で消えた。

「ミチル、お願いします」とヤシロ、

”ジョボジョボジョボ”と火傷したヤシロの手にハイポーションをかけてやる。

「ふう、めっちゃ熱いじゃないですか」とヤシロ、

「俺、言ったから」

「そうでした」

「”ステータスオープン”」とヤシロ、

”目利き”でおれも確認した。なるほど、テレポートは身につけたが、やはりタイムトラベルはムリだよな。

「はあ、残念です。異世界には行けません」とヤシロ、異世界とは俺の世界のことだろう。ヤシロから見ると、俺の世界が異世界なのだ。

「ヤシロ、タイムトラベルはムリだろう、血統スキルだからな」と俺、

「はい、ムリだろうなとは思いましたが、好きなときにネズミーランドに行けるユリがうらやましいです」とヤシロ、

お前は本当に好きなんだな。


「ヤシロ、おめでとう」とベン、ヤシロの肩に手を置いた。

「ヤシロも立派になって、お姉ちゃんうれしいニャンよ」とレン、いつからお前ヤシロのお姉ちゃんになったんだ?

「お姉ちゃん!!」とヤシロ、レンに抱きついた。

すでにお姉ちゃんでした。


「みんなー聞いてくれ、いまから重要なことを話す、集まって聞いてくれ」と俺、

「ヤシロ、勇者になれたな、おめでとう。

ベンとも相談して決めたことだが、俺の後継となるリーダはヤシロだ。これからお前がリーダーで仲間を率いてくれ。そしてみんなはヤシロに協力してほしい。

しかし、ヤシロがリーダーになるとはな。

俺が初めてヤシロを見た時、近所の子供が俺をからかいに来たと思ったんだ。

だって当時のヤシロときたら、ワラの三角帽子にナベのフタ、ゴミみたいなボロい槍を持って俺の家におしかけてきたんだからな。

 しかも、事情を聞くと数百キロも離れた村から知り合いの馬車と徒歩で勇者マーベリックと合流するために来たって言うんだもんな。

今の俺でもヤシロのような勇気は無いぞ。

あのときのヤシロの顔といったら、すごく汚くて男の子かと思ったほどだ、思い出すと今でも笑ってしまう。ハハハ  ”「ひどいですう」とヤシロ”

まあ、ヤシロをからかうのもこれが最後だ。

実は、おれは、この世界の人間では無い。

遠い世界から来た者だ。そこに住んでいた俺は、父親がおらず、母親は病気で、学校の授業料を支払うために四六時中お金の心配ばかりしていた貧乏人だった。

しかも苦労して勉強している内容といったら本当にクソつまんない、なんの役にも立たない屁理屈を覚えるだけの勉強だ。16歳のころから仕事を始め、恋人も作らず。というか出来なかったというべきかな。フフフ、まあいつも忙しそうにしていた。だから困っている人がいても、助けられる余裕もなくて、無視していた。

そんな自分のことしか考えないダメな人間だった。

でも、この世界に来てすぐにレン、ベン、スザンナと仲間が増えた、クーランラの怪我を治し、途中でユリが合流、お祭りのトーナメントでアレックスを助け出した。

次にマーベリック達、それからのことは、もうみんな知っていることだ。

 俺はみんなを助けた、でも同時に俺もみんなから勇気をもらい、助けられてきた。

そして、仲間全員が一緒に成長してこれたと思っている。

これはとても素晴らしいことで、それ自体がみんなの財産だと思う、そして俺の宝物だ。本当に今まで協力してくれてありがとう。

”グスッ”みんなは俺の家族です。

どうにもならない事情で、俺とユリは元の世界に帰ります。

もう、一緒に戦うことは無いだろう。

そのうち俺もみんなも年寄りになる、若くても魔獣に負けて死んだりするかもしれない、バルハラで俺を見かけたら仲良くしてくれると嬉しい。

では後日、勇者になったヤシロのお祝い、俺とユリのお別れパーティを行います。

皆様どうぞ参加してください。連絡は以上だ」


「ま、まじですかあ」とヤシロ、ビックリした顔をしている。

「ミチル、本当ニャンか、いつもの悪い冗談ニャンよなあ」

「本当なんだ、もうしばらくこの世界にいるがお別れの日は近い」と俺、

「みんな、ごめんなさい、私たち元の世界に帰る必要があるの」とユリ、

「そうニャンかあ、残念ニャンなあ。わたしミチルと結婚しようと思っていたニャンよ」とレン、

「レン、おまえ以前、”異種族は結婚できないニャン、子供もできないニャア”って俺に言ってただろ、嘘をつくなよ」

「ハハハ、ばれたニャンねえ」とレン、

「こうなったら私、ミチルの子供を生むです」とヤシロ、

本物のバカキングがここにいたか。

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