最終調整
第81部分 最終調整
「巣鴨さん、俺が作った修正のリストを、シュミュレーション環境に反映してもらえないでしょうか」
「はい、ジョブパラメータの修正と、転職システムの修正ですね。でも、この3番目の勇者からの転職なんてする人いるんですか?」とエンジニアの巣鴨さん、
「転職システムだけどユーザ側で選択肢があっても良いかなと思って、職業選択の自由でしょうか、アハッハハ」と笑ってごまかす。
「なるほど、あと生産職の自由度も上がりましたね」
「そうです、生産職はアイテムを生産できるメリットから戦闘能力を削られていますが、少し緩和しても良いかなと、全てのジョブでいくつかの戦闘スキルは訓練で身につけられるようにしても良いかなと思いました。あとは、エンペラーガードと言う血統ジョブの追加です」
「なるほど、了解です。今日中に修正しておきます」と巣鴨さん、
「あとこのゲームとは別の件ですが、次回作と言うか新プロジェクトの企画を持ってきました。部長に見せたところ、技術エンジニアにテクニカルな面で実現性を確認しようとなりまして、出来ればチーフエンジニアの巣鴨さんに、次回のプロジェクトも願いできないかなと思いまして」と俺、
「どんな企画なんですか?私はゲーム開発専門ですからねえ」と巣鴨さん、
「まあジックリ読んでみてください、このゲームをプレイしてヒントを得て企画しました」
「はあ。えっうん、これはすごい、なるほどねえ。こりゃ次のプロジェクトでも大儲けできそうだ、2回連続で企画が大当たりだと、俺達は昇進間違いなしですね」と巣鴨さん、
「そうです。また、ボーナスをタンマリと頂きましょう、ハハハ」と俺、
「この企画だと、それほど難しくないですよ、1ヶ月もあればプロトタイプが作れそうです」
「そうなんですか、なるべくインターフェースは変えないで欲しいし、今のユーザを取り込めるように、ゲーム内の別都市とか、その企画専用の有料コンテンツとして用意しても良い。全くゲームをしない人でも訓練や学習のシュミュレーションを利用できるようにしたいんですけど」
「なるほど、今のユーザも取り込み、新規ユーザも取り込む、うんうん」
「それに、この企画は社会貢献事業にしたいと思っているんです。うちの会社が損をするつもりは無いですが料金は可能な限り低く抑えたい、ニートや引きこもり、無職の人が利用できるような良いアイディアがあれば募ってくれないかな」
「社会貢献事業ですか、実は俺の妹もニートでね、いや無職というべきかな。分かりました、タサキさんはさすがです。そこまで考えるとは私とは器が違いますね」と巣鴨さん、
「いや、俺はこのゲームの世界からアイディアをもらってすこし形にしただけです、それではよろしく頼みます」と俺、
これで、ヤシロの上級職への仕込みと、次の仕事が決まったな。
休学している大学に寄って、復学の相談をしてこよう。昨日、ネットで確認したが、お金次第でどうにかなるらしい。なんでも金だな。
あとは、楽器屋でギターの弦を買っておかなくては。ミミンに頼まれていた良い香りのする花の種も買おう。
用事を全てこなし、家に帰ると、ユリと母が料理を作っていた。
これは唐揚げの匂いだ。母が作る唐揚げは俺の好物だ。
ビールあったかな、冷蔵庫を開けてビールの在庫を確認しておく。十分だな。
「ミチル、今日は夕飯食べてから戻りましょう」とユリ、
「そうだな、今朝こっちにきたばかりだし、明日の朝でも良いな」
「ユリは大学どうするの」と俺、
「わたし、大学は復学するつもりなんだ」とユリ、
「おれと同じだな」
「ミチル、私いまマンションにお婆ちゃんと住んでるんだけど、この辺に家買って引っ越しても良いかな」
「ユリの自由だろ、俺は歓迎するぞ。ここは駅にも近いし、病院もある。治安も良くて散歩できる大きな公園もあるから暮らしやすいぞ。だけどこっちの丘の上側は土地が高いんだ」と俺、
「お金は問題ないから、以前、ミチルからもらったあのリストでたんまり稼いでるから」とユリ、
「ああ、そうなの」と俺、確か目立つなよって注意したのだが。まあいいか。
「探せば、土地もあるだろうし、中古の物件とかもあるだろうな。駅前の不動産屋に行ってみるといいよ。買うときは俺が交渉してやろう」と俺、
「うん、頼むよ。大金だし、私だけだと不安で」とユリ、
「それじゃあ、明日の朝に不動産屋で物件見てきてそれから戻るか」
「それがいいね」とユリ、嬉しそうだ。
「ユリちゃんの家族が近くに来るなんて、私も嬉しいわ」と母、
「ミチル、写真のプリントがポスト届いていたわよ、そこに置いてあるわ、後でみましょう」
「ああ、ネズミーランドに行った時の写真ね」と俺、
俺達は、こちらの暮らしに戻る準備を始めている。
このまま異世界側にいると、”不正検知システム”のやつに俺達は消される可能性がある。
俺達は異世界ではデータでしかない、管理者権限を持っている者が操作すれば一瞬で削除できる存在だ。死体すら残らないだろう。
巣鴨さんに相談したが、”不正検知システム”はメインシステムなので、あまり触らない方が良いだろうとのこと、ゲーム全体のバランスが崩れてその世界が崩壊する可能性もあるとのこと、
俺達がなにか目立ったアクションを起こすと、仲間達が報復を受ける可能性もある。
所詮、神とケンカするなんて無謀なことだ、今回ばかりは勝ち目が無い。
チートで無理矢理ケンカに勝ったところで報復されて終わりか、あの世界が破滅するだけだ。
ユリと2人で話しあった結果、おれたち異邦人はあの異世界から逃げ出すことが最善であると言う結論に至った。
正直くやしくて、情けない。
が、これは単なるゲームでは無い。この世界に残る仲間にとってもそれが最善だろうと言う考えだ。
”タイムトラベル”ユリとが詠唱した、ユリだけが使える時空転移魔法だ。
異世界側の家に戻ってきた。
キッチンから”ガヤガヤ”と声が聞こえる。
「ミチル、サンプルの酒を持ってきたよ」とスザンナ、
「ああ、酒か飲ませてみろ」と俺、スザンナの家族が作った酒のサンプルを少し飲んでみる。キツー
「キツいな。チョット待ってくれ」”アイテムボックオープン”とボックスを開いて、携帯端末とセンサーを取り出した。土壌検査にも使ったが物質のマルチスキャンができる。
お酒をセンサーに垂らして、成分を確認した。
「スザンナ、ほんのわずかに有害成分が入っているな。蒸留する時の温度は正確にしないとダメだぞ」
「なるほど、レシピに書かれていましたね。もっと厳重に温度管理する必要があるんですね」とスザンナ、
「あとキツいな、アルコール度数60%はキツすぎる、ウイスキーだと40%ぐらいだから売るときは、きれいな水でもう少し薄めても良いな」
「水で薄めると利益が増えますから問題ないですね」
「コレを樽で寝かしても旨くなるだろうな」
「それは、レシピにも書かれていました。内側を火で炙った木の樽で今寝かせているところです」とスザンナ、
「これは売れる。許可は大丈夫か」と俺、
「クーランラとメリーに頼んだら、酒の製造と販売の許可取れました」
「ほう、そうかさすが貴族だな」
「みなさん、私が作った物も食べてみてください」とジーナ、ビーフジャーキならぬ、ドラゴンジャーキーを皿にのせてテーブルの上に置いた。
「干し肉ニャア!!」とレン、レンが干し肉に飛びついた。
「”バリッゴリゴリ”ほう、こりゃ美味い」スパイシーで、煙のよい香りがついている。
香ばしくて、旨みが濃いな。
「肉を漬け込むタレは、私が作ったオリジナルです」とジーナ、
「これは、すごいよ。こんな美味しい干し肉を食べた事無いぞ」とベン、
「ジーナ、これは売れる。ミミンと相談して石鹸店の隣で売っても良いかもな」
「分かりました、ミミンに相談します」
「ユリ、ギター教えてもらえる」とスザンナ、ギターケースを指さした。
「私も」とベン、
「私もニャア」とレン、
「わたしもです」とヤシロ、
「じゃあ、後でお教えします」とユリ、仲間の数人で異世界バンドを結成し練習をしているのだ。
結局メンバーは、ボーカル:ジーナ、アコギ:スザンナ、ベース:ベン、カホン:レン、横笛:ヤシロと言うアコースティックバンドである。俺も一応アコギを練習しているところだ。
「そうだ、写真ができたから全員にくばるぞ」と俺、プリントした写真を全員くばる。
「わたし、こんなにブサイクではありません」とヤシロ、
いやまちがいなくそれヤシロだから。
「私もだ、実物はもう少し痩せているはずだぞ」とベン、
いやそのままだから。
「これはおかしい、私こんなに大きくない」とアレックス、
いや2m近いから。
「あっ私だ、かわいいニャア」とレン、
まあ、そういうことだ。
「そしてこの写真は大きくプリントしてもらった、額に入れてきたのでどこかに飾ろう」と俺、ネズミーランドで係員に撮ってもらった集合写真だ。
「また、わたしこんなにブサイクだ、なんでこんな変な顔してるんでしょうか」とヤシロ、
「いや、いつものヤシロだ、みんな可愛く写ってるじゃないか」と俺、
「そんなことないですよ!」とヤシロ、
女どもが”ギャーギャー”ネズミーランドの話を始めたので、俺はキッチンを出る。行くところがあるのだ。
”テレフィールド”ジョブ神殿の前だ、
先日、孤児院にいるロンとシルビアをつれてきて、魔法使いのジョブに変更しに来たところだ。俺自身は一度も利用したことが無い。
受付に向かう、
「転職したいのだが」と俺、
「はい、分かりました。何の職業に変更しますか」
「ジャンクキングに成れるはずだ、頼む」
「勇者からの転職ですが、間違いないですか?」
「間違いない、やってくれ」
「分かりました、ではもう一度水晶に手を置いてください」と受付、
「ではジャンクキングに転職します、終わりました」
”ステータスオープン”と自分のステータスを確認する。良かった。変化したのはパッシブスキルだけで、アクティブスキルにはほとんど変化無い。
聖剣だけが無くなった程度だ。”テレフィールド”のスキルが残ってくれて助かった。
恐らく俺がジョブ変更の設定を甘くしたからだろう。
明日、ヤシロをレベルアップさせれば引き継ぎができる。
魔法ギルドにも寄る。
「店主、久しぶりだな。MP回復と擬態のスキルカードあるかな」
「在庫はございます」と店主、
「MP回復2枚、と擬態は1枚くれ幾らに成る」と俺、
「金貨450枚になります」と店主、
「金貨400枚にまけてくれないか、そうだ良い物を付けよう」”アイテムボックスオープン”とボックスから、100円ショップで買って来たボールペンを出した。3本で100円のやつだ。
「これは、さっと出して直ぐに書けるボールペンと言う魔道具だ、羽根ペンのように紙に字が書けるぞ、しかも水にぬれても消えない魔法のインクが入っている!!」
「そ、そんな便利な物があるんですか」と店主、
「おお、すごい、紙に細くきれいな文字が書ける」と驚いている。
「それ1本で金貨数十枚の価値はあるだろう、特別にボールペンを3本つけるから金貨300枚にまけてくれ」と俺、
「分かりました、よろしいでしょう」
金貨300枚を支払い、魔法ギルドを出た。
そして翌日、
「今日は、ジーナが干し肉を作る為、その材料にするレッサードラゴンを狩るぞ」と俺、
「分かった、ヤロウ」
30匹ほどドラゴンを狩り、”魔獣解体”スキルで素材に変えた。肉も大量にゲットできた。
肉は全部ジーナのアイテムボックスに入れてくれ。竜革は俺があとで換金してこよう。
「あっ、あれ私、なんかクラスアップするみたいです」とヤシロ、
ほう、ついに来たか。
「ヤシロ、もしかして”伝説のエンペラーガード”になれるんじゃないか?」と俺、自分で作らせたジョブなのにわざとらしく言ってみる。
「伝説の?初めて聞きました。では”OK”こたえます」とヤシロ、
”ステータスオープン”とヤシロ、
「くわー、ミチルの言うとおり伝説の”エンペラーガード”になってます」とヤシロ、ガッツポーズをしている。
”目利き”で俺もステータスを確認しておく”聖剣を抜く権利(有効)”がある。設定通りだ、安心した。
「ミチル、パッシブスキルに”聖剣を抜く権利(有効)”があります、もしかして私は勇者になれるのかもしれません」とヤシロ、
「ヤシロって確か貴族だろ、ご先祖さまは初代皇帝の冒険仲間だよな。いままで皇帝の血筋と結婚したりしたことがあるのかもしれないなあ」と俺、
「聞いたこと無いです。まあ、貧乏でしたが一応貴族でした、皇帝の血筋もピンキリですので可能性はありますね」とヤシロ、
「すごいなヤシロ、伝説のジョブだけあってかなり強化された、すぐに聖剣をぬくよりもこのままレベル10ぐらいまでサクッとレベルアップして、筋力や素早さとかの基本ステータスを上げてから、勇者に成った方が良いだろう、せっかくだから後もう少しがんばろうか」と俺、
「わたし、ヤルです」とヤシロ、
「そうだヤシロ、”ホーリーランス光の槍”の色を見せてくれ、皇帝の血筋であれば黄金の色のハズだぞ。これはユパンも言っていたからな」
「では、出すです”ホーリーランス光の槍”!!」”ブゥン”とヤシロの右手に光の槍が現れた。
「その色はまさしく黄金、間違いなく皇帝の血筋だ!!まっまぶしすぎて直視できないい!!」と俺、わざと大きなリアクションをした。
「うわっ、コレ凄いスキルですね。予備の槍を持つ必要が無くなりそうです」とヤシロ、
「まあ、そうなんだがMPの消費が激しい、ぶっ倒れないように気をつけろよ」
「ようし、レベルアップ頑張ります!」とヤシロ、光の槍を高く掲げた。
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ヤシロ・ガーフィールド ★エンペラーガード LV1
種族:ヒューム 女 14歳
*スキル
<アクティブ>
シールドアタック(★大)、槍突撃(★大)、槍投擲(★大)
サンダースピア、急所突き、★ポイズンスピア、★ホーリーランス光の槍
ビーストダッシュ、ビーストジャンプ
回復魔法(★大)「ヒール、★アドバンスドヒール、★神の手」
<パッシブ>
回避上昇(★大)、防御力上昇(★大)、素早さ上昇(★大)、剛力(大)
★状態異常無効、エンハンスアーマー(★大)、スキルコンボ(★3)
クリティカル発生(小)、アイテムボックス、★二刀流(中)
★聖剣を抜く権利(有効)、★節約レベルアップ(大)、★省エネ(大)
頭 オリハルコンのヘルメット
手 黒竜革のグローブ
胴体 オリハルコンの鎧
足 黒竜革のロングブーツ+靴底(エゾキングオオヤモリの足裏革)
盾 黒竜革の丸盾
武器1 コスモランサー(摩擦低減)
武器2 オリハルコンのショートソード
その他 竜革のリュック、バタフライナイフ
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