伝説の鎧
第72部分 伝説の鎧
「巣鴨さん、伝説の鎧ってしらない?」と俺、会社でエンジニアの巣鴨さんに聞いてみることにした。
「タサキさん、耳が早いですね。今度のイベントは伝説の装備をゲットしようガチャ祭りです」と巣鴨さん、
はあ?ついに子供から大人まで見境なく金ふんだくるガチャ要素も取り入れたか。
「ガチャ始めるんですね」
「ええ、上層部からの圧力で、うちのゲームもガチャ始めろ!って言われちゃいまして、やむを得ず」と巣鴨さん、頭をかいた。サラリーマンの弱いところだ。
「なるほどね」
「ガチャ以外の方法で伝説の鎧を手に入れる方法は無いのかな」
「もちろん有ります。でもそれがものすごく面倒なんです。レアなアイテムを数種類集める必要があって、鍛冶師の上級職にレシピを渡して作らせる必要があるんです」
「ほう、そのレシピをプリントアウトして見せてくれないか、アイテムが入手できる場所も知りたい」
「タサキさん、ネットに情報を流したりしないでくださいね」”カタカタカタ”とタイプして”カチカチ”とマウスをクリックすると近くのプリンターから出力された。
内容を確認する。
<極秘>伝説の鎧、入手方法
鎧のイラストが描いてある、かなりファンタジーだな。”俺のコスモを見せてやる”
と言う声がどこからか聞こえてきた気がした。そーんなデザインだ。
レシピ:①~④の材料でコスモクロスを作成、それに⑤をスキルカード結合する。
①コスモメタルのインゴット5個
入手場所:漁村ガロンの北50Kmのクレータ中央
②オリハルコンのインゴット1個
入手方法:お店で買う、またはドロップで入手
③黒竜革 1枚
入手方法:お店で買う、またはドロップで入手
④世界樹の堅木 1本
入手方法:世界樹のクエスト報酬
⑤伝説のスキルカード
入手方法:魔王城の王座に敷かれた、絨毯の下
「巣鴨さん、魔王城ってどこに在るんですか?」
「海辺の街ハマナから船に乗って北に3時間くらいの場所ですね。漁師に送ってもらうと楽ですよ。船を買う手間が省けます」と巣鴨さん、
「へえ、そんなところに城があるんだ」
「あるんです」
「では、この紙いただいてくことにします。ありがとうございます」
「くれぐれもゲームのしすぎに注意してください、フフフ」と巣鴨さん、
家に戻る。ユリと母さんがテーブルに座ってコーヒーを飲んでいた。
「ミチル、分かったの」とユリ、
「おおよそな、向こうの世界で入手できるかわからない」と俺、
「向こうの世界に戻る?」とユリ、
「ああ、行こう」俺たちは庭に出るとタイムトラベルで異世界側に戻った。
家のリビングにいたメリーとはなしをする。
「メリー、伝説の鎧の入手方法がわかったぞ」と俺、
「え、本当にあるんですか?」
「いや無い、作るんだ」と俺、
「ふーん、どおりで聞いたこと無いわけですね」とメリー、
「まずは材料の入手だ」
コスモメタルと伝説のスキルカードを入手するぞ。
「ところで、メリーはドラゴンベインになったから、出て行くんじゃ無いのか?」
「そんな意地悪を言わないでくださいよ。私、帰るところが在りません。家に帰ると意地悪な姉さん達に、お前は家で掃除してろ、とか言われて。舞踏会に出してもらえません。せっかく手作りしたドレスもビリビリに破られてしまいました。ミチル王子様なにとぞお助けください。フフフ」とメリー、
「要するに帰りたくないんだろ、しばらく居ればよい」
「そうなんです、ここは気楽で良いです。ご飯も美味しいし、仕事は魔獣狩るだけなのでストレスもありません」
「帝都のお城の中は居心地が悪そうだな」
「最悪で最低です。それが嫌で兵役に志願しましたから」
なるほどねえ。
「ただいま」とスザンナの声だ。
「スザンナ、店は大丈夫なのか」と俺、
「母に店番をたのんできたので大丈夫です」とスザンナ、
「親父と弟もいるしな」と俺、
「うちの家庭が貧乏な理由がようやく分かりました、クソ親父とバカ弟が酒ばかり飲んで働かないからです。フー、困ったものです」とスザンナ、
「スザンナ、男どもに酒を飲ますな。酒は基本的に毒だ。科学的には寿命を縮める効果しかない」と俺、
「そうなんですね。”酒は適量飲めば薬だ”と言う伝説を信じてました」
「大間違いだな。全くの嘘で、酒は病気の原因でしかない。老化も早まるらしいぞ」
「それは良いこと聞きました、父と弟にはこれからガンガン飲ませることにします。ハハハ」とスザンナ、
「スザンナ、コレ見てくれ”伝説の鎧”のレシピだ、明日から素材を集めるぞ」
「宇宙から飛んで来ると言う幻の鉄”コスモメタル”と”伝説のスキルカード”ですか、これは大変ですね」
「でも、入手する場所がわかっているから簡単だ」
「たしかに」
「私も行きたいけど、お店があるしなあ。残念です」
「まあ、俺たちには俺たちの仕事がある。スザンナにはスザンナのだ。お互い頑張ろう」
「そう言えば、レシピにある”世界樹の堅木”ですが、賢者の杖が作れることが分かりました。今度作って持ってきますね」
「賢者の杖か、なにか優れているのか」
「オリハルコンの魔法杖以上の魔法伝導性能と、スタッフのように長いのでまたがってフライの時に乗れます。魔法杖とスタッフが不要になります」とスザンナ、
「それは助かります。二本を持ち歩くの面倒なんです」とユリ、
女達がギャーギャー話を始めたので、自分の部屋に帰ることにする。
部屋に行くとドアが開いている。部屋の中を見るとヤシロが本棚から本を選んでいた。
「おう、ヤシロ元気か」と俺、
「ミチル、本を返しにきました。代わりにまた借りていっても良いですよね」
「もちろんだ」
「ミチル、私こっちの家が良いです。どうやら私にガチ勢はムリでした。マッタリ系が良いですう」
「俺たちはマッタリ系なのか、けっこう頑張っているんだけどな。フフフ」
「マーベリックはガチ勢というかスパルタです。昼飯抜きとは普通ですし、ご飯もこっちの家の方が美味しいんです。これは内緒です」とヤシロ、
お前の戻りたい一番の理由は飯だろ、わかってるって。食いしん坊のヤシロめ。
「まあ、メリーと交代しても良いかもな。あいつは結構ガチ勢だから」
「本当ですか、早くそうならないかな。ぜひお願いしますね。ハアハアハア」とヤシロ、
おまえのような舌を出した犬をみたことがあるぞ。
だいたいヤシロは勇者と共に戦う為、ド田舎から出てきたんじゃなかったのか。
まあ、おれも一応勇者なんだけどな。




