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ゲーム開発アドバイザー(第三部)

第67部分 ゲーム開発アドバイザー(第三部)


俺は例の超大企業に就職した、月に1日~2日は働くことにしている。

役職は”ゲーム開発アドバイザー”だ。

ゲームのプレイして感想を言うだけの仕事をイメージしていたのだが、どうやらあの社長おれをコンサルタント扱いにしたようだ。

今日は、新システムのテスト稼働に来た。細かい技術は知らんが、おれがパンドラボックスで持ち込んだ、”未来の技術”を使ったシステムだ。

ザックリと概要だけ伝えて俺が作成させたシステムなんだ。


「タサキさん、新型のコンピュータ開発できました」とエンジニア、

「ほうこれは演算とか速いのか?」と俺、

「量子コンピュータ第3世代、大容量高速ストレージ、高密度データ圧縮技術、AIアクセレータ、新技術がもりだくさんです」

「OSやソフトの方はできたのか?」

「完成しました、OSはLinuxを改造、ソフトウェアは独自に開発し、AIが自動で改良した物です」

「DBへのデータ投入は完了済みか?」

「はい、過去、現在のゲームデザイン、ゲームシステム、地球上の建物のサンプルから地図や

動物、人間や、ファンタジー世界の動物、全ての情報を投入済みです」

「では、このデータも頼む、おれが独自に入手した写真だ、合成だけどよく出来ている」おれが、異世界で撮影した、魔獣、や仲間、建物や町並み、食べ物なんかの写真データを渡した。

「データ投入が完了しました、では使ってみてください、このアイコンでソフトが起動します」

「では早速、使用してみるとするか」俺は、アイコンをクリックしてソフトを起動した。

「”仮想現実空間ゲームツクール”ね」なんか微妙な名前だな。まあ、中身で勝負だろ。

「パラメータを選ぶだけでAIが自動でゲームの世界を作るんだな」と俺、

「パラメータの数は数百で、詳細設定で微調整できます」とエンジニア、

「なるほど、キモの所だけ設定するのもアリだな、デフォルトは地球の標準設定で良いだろう」

「ファンタジーだとエルフ、ドワーフ、猫耳なんか定番だろ、あと時代は中世とかが鉄板だな、銃とかはつまらないし、奴隷とか盗賊、魔獣も必要だ」と俺、

何か、俺が往き来している異世界そのものをパラメータで設定している気がする。

「あと全体の世界観のイメージは俺が渡した写真でね」と、俺が全てのパラメータを入力した。

「整合性チェックのボタンを押してください」とエンジニア、

なるほど、構築する世界に不整合が無いか確認する機能もあるのか。

「エラーが13件ほどあるので、全て修正してください」とエンジニア、

「なるほど、ここと、これと、こうか、でどうかな」と再度、整合性チェックのボタンを押す。

「ゲームを作成しますか?」とポップアップが出たぞ。

「それにOKを答えてください」とエンジニア、俺はOKを答えた。

「では1時間くらいで、ゲームが完成します。そのあと、その世界のバランスを自動調整する為、ゲーム内時間で2000年間分くらい動かし、歴史や世界の熟成、細かいパラメータを自動でAIが行います。それに1時間必要で合計2時間でゲームの世界が完成します」

「それは凄い、凄い技術だ」と俺、俺が異世界から持ってきた数十年後の技術を使ったのだろうが、すぐに応用できるこの会社のレベルも高いな。

「では、自分のオフィスに戻ってまた2時間後に戻って来よう」

俺はエレベータで47階の自分のオフィスに戻った。秘書はいないが個室だ。


ユウツベを見ながら、コーヒーを飲んでいたら、あっという間に2時間経過した。

エレベータで地下の研究室に降りる。俺がエコロジーリサイクルで空にしてやったあの研究室だ。

「戻ったぞ」と俺、

「タサキさん、AIキャラが自動でプレイしてシミュレーションしているところです。パラメータの微調整もAIが自動でしているところです。初代勇者のパーティが魔王ゴンザレスと戦闘するところを見ることができますよ」とエンジニア、

「おう、それは面白そうだ観よう」そう言うと、CPUやメモリをモニターしていたディスプレイが、ゲーム世界内のカメラに切り替わった。


「ようやく、魔王の部屋にたどりついたぜ」と勇者のようだ。グレン・グレンザー皇帝に似ているイケメンだ。持っている剣は金色で虹色に輝いている。あれはオリハルコンの両手剣だろう。

「グレンザー、入る前に全回復と魔法でエンハンスしてもらいましょう」と女の武闘家だ。けっこうカワイイ。

「ラプラス、回復とシールドを頼む」魔法使いが詠唱した。”アドバンスヒール””パーティエンハンス””パーティシールド”と3回連続で詠唱した。これができるのは大魔導師だけだ。

「スコットは槍の投擲で攻撃、ポッツは色即是空で敵の後ろに回り込んで攪乱してくれ、カシナットと俺は正面だ。ユパンは遊撃でよろしく」と勇者らしいグレンザーと言うやつがパーティメンバーに指示した。

こいつ、今なんて言った。”スコット”に”ユパン”だと!

「準備はいいな、気合い入れていくぞ」と勇者、

勇者グレンザーが魔王の部屋のドアを開ける。”ギギギギー”と扉が開く。

魔王がデカい、正面から勇者が向かってゆく。戦闘のBGMとかは流れないようだ。

「”槍投擲””ギュン”」とスコットが槍を投擲した。ヤシロのご先祖様だ。

ヤシロに似ているところは髪の毛の色だけだな。

「”気功砲弾”」ユパンが左側から、スキルをつかって攻撃を始めた。

ユパンも若いころは美人だったんだな。

「”ドラゴンスレーヤ光の剣”」カシナットと言うやつがスキルを使って剣を出した。あの剣士はドラゴンベインなのか。

「”エスプロ”」と大魔道士ラプラスが詠唱すると、魔王の周りが業火に包まれた。

火が収まると、

”ガキン””ゴキン”と近接攻撃が始まり、近接が離れると遠距離攻撃、と繰り返される。

コンビネーションがさすがだ、でも魔王が強い。

「愚かな人間ども、わしに勝てると思うな”ギガドンドン”」と魔王が攻撃魔法を使った。

勇者達が壁際に吹っ飛ぶ。

おっ、立ち上がって回復している。フウ、危ないな。

観ていられないぞ、これは勝てそうにない。

「すまん、魔王をもう少し弱くできるかなあ」と俺、

「できます。パラメータを調整しますね」とエンジニア、キーボードからコマンドを叩いた。

「魔王がひるんだ、一気にたたみかけるぞ」と勇者グレンザー、

ひるんだと言うか、俺がパラメータを調整して弱くしたんだけどな。

弱体化した魔王に勇者達が一気に襲いかかり、魔王がボコられる。

もう少しで倒せそうだ。


「”急所突き””サンダースピア”」ロイヤルガードのスコットが槍を深々と刺し、電気のビリビリ攻撃をすると、魔王が麻痺したように動かなくなった。

「ラストアタックは俺が行くぜ、どいてろよ、トウ!!」と勇者グレンザー

「”聖剣””ドラゴンジャンプ”ドラゴンダッシュ””真空兜割”」と勇者グレンザーが4連でスキルを放つ、魔王の正面がザックリと切られる”バタリ”と正面に倒れると動かなくなった。

「ついに、私たちやりました。長かった」とユパン、疲れたのか膝を床につけ、肩を落とした。

「”魔獣解体”」と勇者グレンザーがスキルを使って、魔王を解体した。

「”これ格納しますね”」とロイヤルガードのスコット、

ロイヤルガードのアイテムボックスは標準スキルなのか、それとも遺伝なのか。

「気味が悪い場所だな。お宝を回収して、さっさと帰ろう」とカシナット、

「宝箱開けたぞ」とシノビジョブのポッツが仲間を呼んでいる。

「こりゃスゲー、俺たち大金もちだぜ」とカシナット、

「スコット全部回収だ、家で分けようぜ、今日はお祝いだな。ハハハ」と勇者グレンザー

”テレ・ダンジョン”と大魔道士が詠唱する。

魔王の部屋には誰もいなくなった。

「なかなか良い感じですね。世界観がきっちりできあがってます」とエンジニア、

「この世界にいまから入れるか?」と俺、

「大丈夫です。このインターフェースを被って、コントローラを持ってください。町に転送します」とエンジニア、

おれは、自分の作ったゲームの世界にログインした。


迷宮都市ドルガードだ、見慣れた風景だった。

冒険者ギルドにジョブ神殿、武器屋にも入ってみる。

なにもかも同じだ。

”ステータスオープン”自分のステータスを開いて見た。

インターフェースが全く同じ?

しかも、初期ステータスじゃなく俺のジョブは勇者レベル15だ。

異世界にいるときと同じだ。どういうことだ。

「”アッ”」

「もう、大丈夫です。ここからログアウトさせてください」と俺、

「ステータスウィンドウの右端にログアウトボタンがあります、それを押してください」とエンジニアの声だ。

ステータスの画面にそんな物あったっけか、あった!

ログアウトボタンを押した。すると俺は、現実世界に戻ってきていた。

「すごいリアルだ、本物そのものだな。世界観も良い、ゲームの方向性はコレで良いな」と俺、

「この世界だが、コピーして別の区画でシミュレーションを継続できるか、この世界が今後どうなるか知りたい。ゲームサービスとして公開する方は、コピーして別区画で熟成させよう」と俺、

「その考え良いですね、AIの動きも未知数ですし、継続してシミュレーションしつつ、公開版にフィードバックもできます」

「インターフェースはもっと軽くなるんだよな、コントローラーはこれで問題ない。コントローラーはユーザが自由に選べれば良い物だし」と俺、

「それは試作品のインターフェースなので、大きくて重いですが、製品版はもっと軽くて小さいです。そのコントローラーは汎用の物です」とエンジニア、

「すごいじゃないか、もう完成間近だな。さすがだ」と俺、

「タサキさんのパラメータの設定とデータが良かったのかもしれません。私が試したときは薄っぺらで微妙な世界でした。この世界はバックアップしておくことにします。先ほどのシミュレーションは継続しておきます」

「そうだ、あとシミュレーション内の時間経過設定だが、現実と同じにしておいてくれ。その方が良い結果になりそうだ、よろしく頼む。あと、さっきの勇者が戦っているシーンの動画データをこの携帯端末にコピーしてくれ。機密情報は守る安心してくれ」

「わかりました」とエンジニア、

あとは任せておけば良いだろう。


それにしても、これはどういうことなんだ、おれが作ったゲームの世界が異世界なのか、それともおれが異世界とそっくりなゲーム世界を作ったのだろうか?

それとポップアップするウィンドウも気になった。

他のユーザも同じなのだろうか。

俺が異世界で身につけた”ステータスオープン”で出てくるウィンドウと全く同じに見えた。

これはいったいどう言うことなんだ。

スマホを取り出すと、ユリに電話をかけた。

「ユリ、迎えを頼む、いつも悪いな」

「うん、今行くね」”ブンッ”とユリが目の前に現れた。

「では、異世界側に戻ってくれ」

”タイムトラベル”とユリが詠唱した。


異世界側に戻ると、おれはみんなに”初代勇者 VS 魔王”の戦闘動画を見せた。

仲間達は、この世界で過去に起きた伝説の戦いを食い入るように観ている。

「これはすごいな、勇者の姿は本で見た伝説通りだ」とベン、

「初代勇者はイケメンですね」とスザンナ、

「ユパン様、凄く美人です」とヤシロ、

「そこか、ヤシロはご先祖のスコットもいるだろうに」と俺、

「うーん、スコット様とは面識ないですからね。背が小さいのと髪の毛の色が似ているなぐらいしか似てないし」とヤシロ、

「師匠、さすがです。そこ!良い攻撃だなあ」とアレックス、なぜかユパンを応援している。

「勇者のみなさんが使っている武器は普通の武器ですね」とスザンナ、

たしかに、普通のオリハルコンの武器がメインだな。

「これ!シノビのジョブ持ちが使っているのは私の剣と同じだニャア」とレン、

たしかにポッツと言うやつが持っているのは”シノビの脇差”に見える。

「みんな、何回観ても良いから、気になるところあったらあとで言ってくれ」

「了解、これはマーベリックにも見せた方が良いな」とベン、

「そうだ、マーベリックに連絡しておいてくれ」

俺は自分の部屋に帰り、仮説を立てることにした。


靴を脱ぐ、ベッドにゴロンと転がった。

あの動画のゲーム世界は俺が作った。それは間違いない。

それじゃあ、いま俺がいるこの世界は、俺が作ったゲームの世界なのか。

”ステータスオープン”このステータスウィンドウにログアウトのボタンはない。


おれはこの世界側ではNPCなのか、そこをユリの魔法でムリヤリに時間と空間、世界を越えて行き来しているのだろうか?

でも明らかな事が一つある。俺はこの世界で死ぬと本当に死ぬと言うことだ。

それだけは間違いない。

現実世界側でのゲームへのログオンは明らかに違う。あれはゲームだ。

「ほう、なるほど。フフフこれは面白い、俺は神になろと思えば成れるということか。逆にこのまま並行する世界を往き来するのも面白いじゃないか」





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