アベチャンーンズ(第二部 完)
第66部分 アベチャンーンズ(第二部 完)
「ユリ、今だ」
”テレフィールド”とユリが詠唱し、俺たちは社長室にいる社長の目の前にテレポートした。
「おはよう、社長」と俺、
「き、君はタサキくんじゃないか!」と社長、びっくりしている。
「いやー、社長ひどいじゃないですか。おかげで少し首を痛めました」
「ま、まさかあの転送ビーコンを付けて生きているなんて、そんなことあり得ない」
「俺は、タイムスリップしたおかげで不死身になった。これからお前達にいくらでも仕返しできるが、そんなことは普通の人間がやることだ。仮にそんなことをしても一銭の特にもならん、今日はビジネスの話をしに来たんだ。そうだな会議室に移ろうか」
「わかった」社長は少し震えている。
俺たちはエレベータで下に降り、例の広い会議室に移動した。
「あの秘書と、女性の博士がいたろう。あいつらも呼び出してくれ」と俺、
分かった、社長は電話で、2人を呼び出し、しばらくすると2人が会議室にやってきた。
2人とも俺を見た瞬間飛び上がるほどビックリしている。
「まあ、座ってくれ、言っておくが暴れたり騒いだりするなよ。怪我では済まさないぞ」
「わ、わかった」
「”アイテムボックスオープン”」と俺が言い、ボックスからパンドラボックスの125番を取り出した。
「コレを見てくれ、125番だ」と俺、女性の博士が手に取る。
「本物に見えます」
「確実に本物と判別するにはどうするんだ」と俺、
「パソコンに接続すれば分かります」と博士、
「中のデータはどうやって取り出すんだ」
「パソコンで取り出します」
「では、パソコンに接続するまではやっても良い」と俺、
博士はパソコンに125番のパンドラボックスを特殊な接続ボードの上に置いた、
「本物です。暗号化の方法など間違いありません」と博士、俺はそれを聞くと、そのボードの上にあるパンドラボックスをサッとかっさらい、アイテムボックスに収納した。
「あっ」と博士、
「俺のパンドラボックは73番、これは向こうの世界で、俺が埋めようとした場所に既にうまっていた125番だ。お前達の理論の逆だが、このパンドラボックスにはとても価値があるようだ、買い取ってもらいたい」
「それは、私たちの物だ、今すぐ返しなさい。はやくよこせ!」と社長、立ち上がって俺に怒鳴った。
「そんな理屈は俺には通用しない、俺はビジネスをしにきている。さきほども注意したろう、黙れ人殺し!!」と俺、
「う、わかった。で125番をいくらで譲ってくれるんだ」と社長、
「欲しい物は2つある。俺を転送する前に転送した72人の氏名と自宅の連絡先、口座番号の一覧。それと、5000バーチャルコインをこの仮想通貨の口座に送金してくれ。今すぐだ」
「5000バーチャルコインって100億円だぞ、そんもの払えるか」と社長、
「社長、ゴニョゴニョゴニョ」と博士が社長に何か説明した。
「本当か」
「本当です、ものすごい価値です」と博士、博士は気づいたようだな。
俺の73番から125番だと、おそらく10年ぐらい未来の情報がそのパンドラボックスの中に入っているはずだ。
「わかった払おう、リストも今すぐ渡す」社長は秘書に指示すると、秘書がパソコンを操作してリストをプリントアウトして渡してきた。自分のパソコンから送金もしているようだ。
「このリストはもう一枚ほしい、秘書殿、頼む」俺がそう言うと、秘書がもう一枚プリントアウトして俺に手渡した。
そのときだ、秘書が隠し持っていたナイフで俺に斬りかかってきた。
「死に損ないめ、しねえ!」と秘書、ナイフを振りかぶった。”ゴギン”と後ろから木の棒がものすごい勢いで飛んできて秘書の肩に当たった。ナイフがテーブルに転がる。
「ぐわっ、痛い、ふえー」と秘書がうめいた。ありゃどこか骨が折れたな。
俺はナイフをつかむと、
「俺は不死身だって言ったろう、おまえらなんか何時でも殺せるし、おまえらの家族や親戚も全員殺すことでもできるんだ。あきらめろ”グサ”」と拾ったナイフを秘書の腕に突き刺した。
「ウッ、なにすんだ、痛え!」とわめく秘書、
「いたいよな”マルチリペア”」とスキルで治療した。
「あれ、治ってる。何したんだ」
「まあ、こういうわけだ、これで俺の言ったことも信じたろう、俺は不死身だ。これ以上無駄な抵抗は止めろ」
「よし振り込んだ、確認してくれ」と社長、
俺はスマホを取り出し、仮想通貨の口座を確認する。5000バーチャルコインが入金されていることが確認できた。
「確かに入金を確認した」
「では125番をわたそう。中のデータを取り出してくれ」と博士に手渡す。
「では読み込みます」と博士、
「これは、すごい、社長これは凄い情報です。コレで我が社は莫大な利益を手に入れることができます。データベースに格納しました」
「では次の取引に移ろうか」と俺、
「まだ、何かあるのか?」と社長、
「実はまだある。コレを見て欲しい”アイテムボックスオープン”」今度はパンドラボックスの251番を取り出して、博士に見せる。
「251番!!」と博士、
「もちろん本物だ、ついでにこちらも買い取ってもらいたい」
「ひ、卑怯だぞ、初めからなんで251番を出さないんだ、卑怯者」と社長、
「おまえらの理屈はどうでも良いんだよ、俺は俺の理屈で生きている」
「でだ、こいつは非常に価値がある。さっきのリストの72人の口座に3億円づつ現金を振り込み、2万バーチャルコインを俺の口座に送金してくれ」
「2万って、そんなの無理だ、支払えない」と社長、すると。
「社長、ゴニョゴニョゴニョ」と博士がまた何か社長に何か説明した。
「本当か」
「これこそ、ものすごい価値があります」と博士、博士はとっくに気づいている。数十年後の世界の株価、発明、画期的な技術、宝くじの番号、有益なものからくだらない物まで、あらゆる情報がこの小さい箱の中にデータとして入っている。金塊?ダイヤモンド?そんな物なんて比べものにならない、この地上にある物のなかでこいつが最も価値のある物だ。
愛を除いてな。愛は物じゃないだろ。
「分かった支払おう」と社長、
素直でよろしい。
72名への送金を秘書のパソコンから確認し、俺の仮想通貨口座への入金をスマホで確認した。
博士に、パンドラボックスの251番を渡す。
「社長、これはすごい、凄すぎます」と博士、
「核融合、重力加速装置、再帰エネルギー増幅、すごい」なんか興奮しているみたいだ。
「ではみんなが満足したようだな」と俺、立ち上がるとアレックスを見た。
「アレックス、やってくれ」と俺、アレックスが俺の視界から消えると、
”てなづけ””てなづけ””てなづけ”と社長、秘書、博士を自分の”いいなり”状態にした。
「アレックス、まずは社長に俺をこの会社の社員にするように指示してくれ。そうだな、ゲーム開発アドバイザーとかたまにしか働かなくても給料がもらえるわけの分からん役職で頼む」
「社長、ゴニョゴニョ」 とアレックス、社長に指示をする。
「わかりました」カタカタと社長がパソコンを操作する。
「タサキ君はこの会社の社員です」と社長、
「アレックス、博士にデータベースからタイムスリップ関連の情報の全てを削除し、データが2度と回復できないようにアーカイブからも完全削除するように指示してくれ」
「博士、ゴニョゴニョ」 とアレックス、博士に指示をする。
「わかりました」カタカタと博士がパソコンを操作する。
「全て完全に削除しました、復旧は不可能です」
「アレックス、秘書に社長、博士は長い期間、出張に出ると家族や、社員に連絡するように指示してくれ」
「秘書、ゴニョゴニョ」 とアレックス、秘書に指示をする。
「わかりました」カタカタと秘書がパソコンを操作する。メールを送信しているようだ。
なんでもパソコン操作で完了なんだな、便利な世の中だ。
俺は、パンドラボックス125番と251番とテーブルの上にあったパソコン3台も全てアイテムボックスに収納しておく。
「会議室から地下の研究室に移動しよう」
エレベータで最下層、地下の研究施設に移動した。
「アレックス、博士にタイムスリップの準備をするように指示してくれ」
「博士、ゴニョゴニョ」 とアレックス、博士に指示をする。
博士は機器を操作し、タイムスリップの準備を始めた。
「アレックス、社長に転送ビーコンの場所が保管されている場所まで案内するように指示してくれ」
俺たちは社長に転送ビーコンが保管されている金庫のような場所に案内され、そこに置いてあった転送ビーコン全てをアイテムボックスに収納した。
「準備できました」と博士、
「アレックス、博士にその装置の操作方法を俺に教えるように指示してくれ、時代設定と転送開始するボタンだけで良い」
「これが時代を設定するダイヤルで、これが開始ボタンです」と博士から説明を受けた。
簡単だな。ダイヤルをぐるりと回した。
「あっ」と博士の口から声が出た。
「アレックス、博士にこの研究に関係した研究者をこの場所に呼ぶように指示してくれ」
「博士、ゴニョゴニョ」 とアレックス、博士に指示をする。
博士が内線電話をかけた。
「アレックス、こいつら3人はいままで70人以上も殺害した、盗賊以上に凶悪な犯罪者達だ、こいつら3人をあのサークルの中に入るように指示してくれ」
「おい、外道達そのサークル中にはいれ」アレックスが強引に誘導する。
社長達はおれがなにするのか気づいたようだ。
だが、アレックスには逆らえない。
社長、博士、秘書の3人がサークルの中に入った。
「お前達は俺たちみたいな貧乏人を騙して、過去に転送し、帰れる手段として渡した、転送ビーコンを使わせ爆弾で自爆死させていた。この罪は非常に重い、同じ経験をしてもらおう。そうだ忘れてた、これが必要だろう、転送ビーコンさえ有ればここに帰ってくることができる。ほら、こうして俺もこの時代に無事戻ってこれた安心だな。”ありがとう”」と俺、そう言いながら、転送ビーコンを一人ずつ手渡した。
「その転送ビーコンの使い方だが、首輪のようにはめてロックしてから、両端のボタンを同時に押してくれ。おまえらみたいなやつでも使えるように良く出来ている。まあお前らが作った物だから知っているだろうな、ハハハ」
「アレックス、念のためにこいつらの記憶は破壊してくれ」
「了解」”記憶破壊””記憶破壊””記憶破壊”とアレックスが3人の記憶を破壊した。
記憶破壊、ってどの程度記憶が破壊されるのだろう。
「おい社長、おまえ名前は?」
「だれも答えない。自分が社長であることも分からないようだ」
なるほど。
「あばよ、もう二度と会うことも無いだろう」転送装置の開始ボタンを
「”ポチとな”」とボタンを押すと、サークル内にいた3人が”ブンッ”と言う音と共に消えた。
「ミチル、あの3人どこの時代に送ったの」とユリ、
「知らん、時代設定のダイヤルを適当にグルっと回したから俺が転送されたよりもかなり過去だな、原始時代ぐらいじゃないかな。あいつらの野蛮な知識が役に立ちそうだ」
”ピィン”とエレベータの到着した音が聞こえた。
「アレックス、あの研究者達にタイムスリップの研究資料を削除するのと、情報が記録されている物を一カ所に集めるように指示してくれ」
”てなづけ””てなづけ””てなづけ””てなづけ”と声が聞こえた。
「データの削除作業と、情報はあそこにまとめました」と研究者達、
「アレックス、こいつら全員に記憶破壊をしてエレベータに乗せてくれ」
”記憶破壊””記憶破壊””記憶破壊””記憶破壊”と少し遠くからアレックスの声が聞こえた。かわいそうかもしれないが、こいつらも同罪だ。
博士が俺に転送ビーコンを渡して説明している時、こいつらの何人かは、ヘラヘラ笑って俺を見ていた。ハッキリと覚えているぞ。
結構あるなあ、集めたハードディスクやパソコン、ノート類はなんかの情報はあとで処分しよう。とりあえずアイテムボックスに全て収納しておく。
この機械って、リサイクルできるのかなあ。
”エコロジーリサイクル”大きな機器にスキルを使用した。
”ボン”と鉄、銅、金などのインゴットにリサイクルされた。
俺のレベルも上がったからだろうか、なんでもリサイクルできるな。全ての機器を素材にリサイクルした。部屋に物がほとんど無くなるまで続ける。
「良質な鉄のようです。この素材は私が回収しますね、ムフフ」とスザンナ、自分のアイテムボックスに素材を収納している。
「もう回収出来る物は無いな」
「最後は警備室だ、俺たちが監視カメラに写っているかもしれん。みんな覆面の用意だ」覆面をかぶった。場所は偵察した時に把握してある。
「ユリ、テレポートを頼む」
警備室で俺たちは警備員を”てなづけ”でいいなり状態にすると、データを全て削除させた。
「アレックス、こいつらに”記憶破壊”だ頼む」と俺、
”記憶破壊””記憶破壊””記憶破壊””記憶破壊”警備員には悪いが記憶は消させてもらった。
「ユリ、家にテレポートだ」
”テレフィールド”とユリが詠唱した。
家に帰り、着ていた物や、回収した情報などをスキルやハンマーで破壊、燃やして処分した。
残骸はビニール袋に積めて俺のアイテムボックスに入れた。異世界に行き、埋めておけば安心だろう。
バーチャルコインは全て現金やAmazunギフト券に換金済みだ。
これでAmazunで買い物し放題だな。最新のパソコンでも買うか。
「母さん、少し留守にします。やり残した仕事があるんです」
と俺、
「ミチル、またお友達をつれてらっしゃい、またネズミーシーにいきましょう、フフフ」と母、ネズミーシーがとても気に入ったみたいだ。
「必ずまたきます!!」とスザンナ、ヤシロ、アレックス、ユリがハモった。
「ハハハ、ではユリ頼む」
”タイムトラベル”とユリが詠唱した。
異世界側の家に帰り、現代側での出来事を留守番していたレン、ベン、ジーナに説明した。
ネズミーランドで購入したぬいぐるみとお菓子を配る。
「これはレン、これはベンね。最後はジーナだ」と俺、
「わっなんですニャー、かわいいニャア」とレン、
「うむ、ありがとう。今度は私たちも連れていってくれよ」とベン、
「ミチル先生は優しいですね。ありがとうございます。宝物にします」とジーナ、
女達はギャーギャー言いながら、お菓子をほうばり、タイムトラベルの話をし始めた。
ジーナがお茶を入れるのを見ると、俺は自分の部屋に向かった。
現代側で購入した物をアイテムボックスから出す。大型のソーラーパネルやバッテリー、各種調味料や、カレールー・シチューの元、下着類や歯ブラシ、シャンプーにトリートメントその他、諸々だ。パソコンも最新の物を買い。
携帯端末も会社でグレードアップしてもらった。おれはあの会社の社員なんだ。
ハードディスクには音楽と映画を大量に保存し、BDやDVDのメディアも買ってきた。
「生活が充実するぞー」とつぶやく。
その日の夜は、俺がカレーを作り。みんなで食べ、風呂に入り、
古い映画を見ながら眠りについた。
翌朝、
”ステータスオープン”おれのステータスに変化は無かった。
未だ最後にやり残していることがある。
”トントン”「お兄ちゃん、行こう」とユリの声だ。
「ああ、今行く」
ドアを開けると、汚れたピンクのジャージを着て、魔法の杖だけを持ったユリ、後ろに仲間が立っていた。
「ゴーレムは置いて行くのか?」と俺、
「うん、見つかるとマズいかも」とユリ、その通りだ。
みんなで庭に出た。
「では俺の世界に行ってくれ」
レン達が手を振る。俺とユリが何をするかは、昨日、説明してあった。
”タイムトラベル”
俺の家の前だ、まずは家の中に入り、母に挨拶をした。
俺のパソコンを起動して、インターネットでとある物のリストを作成し、プリントアウトした。
「ユリ、この世の中、お金で解決できることは多い、これを持っていけばいつでもお金が手に入る。これは知っているよな。あまり目立つなよ不審に思われる。少額の当選だけ狙え」
「うん分かった。じゃあ行ってくる。ミチルありがとう、ミチルは私の命の恩人でそれ以上です。元気でね」とユリ、俺に向かって手を振る。
「ああ、ユリこそな」
”タイムトラベル”とユリが詠唱した。
ユリは自分が埋められた直後の時間、場所は自分のアパートに戻っていった。
おそらく、お婆ちゃんと暮らすことになるだろう。
数日後”ピンポーン”とチャイムの音、俺は玄関に飛び出した。
そこには、リュックを背負った、背がずいぶん伸びて成長したユリが立っていた。
「お兄ちゃん、いやミチル、行きましょう」と成長したユリ、もう俺と同じ20歳だろう。
おれが別れたのは数日前でも、ユリにとっては10年間経過しているんだ。
「久しぶりだな、とても大きくなったな」と俺、
「身長も伸びたし、私これでも無外流の免許持ちになれたよ」とユリ、刀を構える素振りをした。鍛錬していたらしい。
「ほう、古武術を極めたのか、それは心強い。俺にも教えてくれ」
「中に入って少し待っていてくれ、おれも準備する」と俺、
「母さん、成長したユリが帰ってきたよ」と俺、母さんにユリを見せる。
「まあ、本当に大きくなって、フフフ。元気そうね」と母、母は事情を知っている。
「ええ、私にはとても長かったです10年前ですから」とユリ、
俺は準備していたリュックを背負い、1階に降りた。
「ユリ、行こう、やり残していることがある」と俺、
俺と、ユリは庭に出た。
母に手を振ると、
「”タイムトラベル”」とユリが詠唱した。
異世界の家に転送されてきた。
中に入る。
「わあ、ユリが大人になっている」とベン、
「大きくなったニャア」とレン、
「ま、負けました」とスザンナ、ユリの胸の辺りを見て言った。
「なにもかも、大きいです」とヤシロ、
ジーナが、ユリに竜革のバックを渡すと中から小さくなっているオリハルコンゴーレムのノリユキがヒョッコリと顔を出した。
「ご主人様、とてもご立派になられて、私も嬉しいです」とノリユキが涙を流している。
”ステータスオープン”と俺、「クラスアップしますか?」の表示だ。やはり来たか。
もちろん”OK”でしょう。
OKを答えた。ステータスが更新された。
「”えっ”」と思わず声が出た。クラスアップはしたが、想定していたスキルが追加されていない。
グレードアップしたスキルもあるが、新規のスキルは2つ追加されただけだ。しかも、
”剛力(大)、スキルリサイクル(残1)”
先輩のスキルと違う。同じ”リサイクルキング”のジョブなのに何で違うのか?
これは、なにか意味がある。
このゲームみたいな世界はそういう仕組みになっているのだ。
これはきっと、何かの謎かけにちがいない。
”スキルリサイクル”ってなんだ。不要なスキルなんてあるのか?それをリサイクルする?
何だ?なにか忘れている。
なんだ、なんの役に立つんだこんなスキル。
分からない。
「うーん、なんだろうな」あたりを見渡した。アレックスと眼が合った。
「分かった、そうか」
「あっ、おれちょっとミミン石鹸店まで行ってくる」と言うと、俺は走り出した。
後ろからみんな走ってついてくる。
ミミン石鹸店の門に入る、マーベリックがいた。
「マーベリック、お願いがある。不要なスキルを俺にくれ」
「ミチル、僕に不要なスキルなんて無いですよ」とマーベリック、
「いや、有るんだ」
「聖剣を抜く権利(有効)はもう不要だろ、おれに譲ってくれ」
「そんなこと出来るんですか?」とマーベリック、
「いまさっきクラスアップして出来るようになった、では早速やるぞ」
「”スキルリサイクル”」と俺がマーベリックに向かってスキルを唱えた。
「おお、ミチルに譲るスキルの選択が出てきてますね」とマーベリック、
「早く選んでくれ」と俺、
「えーと、”目利き”で良かったんでしたっけ、フフフ」とマーベリック、
「マーベリック、笑えねえよ早くしろ」
「レアアイテムドロップ増加も便利ですよ。ハッハハ」
「ちっ、ふざけんな、早くやれ」
「じゃあ、これね”聖剣を抜く権利(有効)”選びますよ」
「”ステータスオープン”」と俺、
ある、俺のパッシブスキルに”聖剣を抜く権利(有効)”が表示された。
「よしメンバーはだれにしようかな」
①俺
②勇者マーベリック
③大魔導師ユリ
④拳聖アレックス
⑤バルキリー ルミナ
⑥ロイヤルガード ヤシロ
で良いか、俺は槍使いだし。他に欲しいスキルもあるが、最も必要なのはこのメンバーが持っているスキルだ。
”パーティ解除””パーティ招待”
「みんな、俺が招待送った人は俺のパーティに入ってくれ」
「では、ユリ、聖剣を抜きに行くぞ。頼む」”テレフィールド”とユリが詠唱すると、
ブラックドラゴンの巣穴前に転送された。クーランラが他の者も転送してきている。
仲間全員がそろっている。
巣穴の奥まで歩いてゆく。
俺には、隠し扉のボタンが見えない。
「マーベリック、隠しボタンを押してくれ」
「はい、押しました」やはり、マーベリックには見えたようだ。
隠し扉に入る。
台座には、マーベリックが先日抜いて消えたハズの聖剣が突き刺さっている。
「やっぱり、在ったな」俺はグローブを脱ぎ、後ろのポケットにいれた。
アイテムボックスからハイポーションを取り出しフタを抜いてマーベリックに手渡した。
「いただきます。ハハハ」とマーベリックが飲むフリをしてみんなを笑わせる。
「フフフ、剣を抜いたら俺の手に振りかけろ、たのむぞ」と俺、
「ミチル、想像以上に痛いです、一気に引き抜かないと大けがします、注意してください。チャンスは一度」とマーベリックが真顔でアドバイスしてきた。
「フー、よしそれでは抜くぞ」
素手で聖剣をつかむ、まるで真っ赤に焼けた鉄をつかんだかのように熱い、自分の手が焼ける。
でも、そのまま一気に力をいれて引き抜く。
「んん、ウオー」かけ声を出して一気に引き抜いた。
聖剣をそのまま振り上げると聖剣が光り輝き、消えた。
手のひらを見るとすごい火傷だ。
「大丈夫ですか”ジョボジョボ”」とマーベリックがハイポーションを手のひらに振りかけてくれた。
「くそー、なんでこんな痛い目にあわないとイカンのだ」と俺、
まったく意味不明の痛さである。
しばらくしているとようやく手の痛みが収まった。俺の手にもなにやら紋章が刻まれているようだ。
マルチリペアで治療するとこの紋章が消えてしまいそうだ。やめておこう。
でも、この紋章はマーベリックの物とは違うな。まあいいか。
アイテムボックスから包帯とハイポーション軟膏を出して手に塗ると、ヤシロに包帯を巻いてもらった。
”ステータスオープン”でステータスを開く。勇者レベル1になってる。
やはり、パーティ内のスキルをランダムに身につけることができるようだ。
レベル1かあ、ユパン様が言っていたレベル50以上ってけっこう大変そうだ。
「勇者に成れたぞ、やったー!」とガッツポーズをする。
「さすがです、勇者ミチル」とベン、
”パチパチ””パチパチ””パチパチ””パチパチ””パチパチ”
”パチパチ””パチパチ””パチパチ””パチパチ””パチパチ”
仲間の全員が俺に拍手をしてくれる。
「ありがとう、きょうはお祝いのパーティをやるぞ!夜は家に集合だ!」
そしてまた、新しい冒険が始まる。
みたいじゃ。
第二部 完
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ミチル・タサキ ★勇者 LV1
種族:ヒューム 男 20歳
*スキル
<アクティブ>
★スーパーマルチリペア、目利き、★スーパークリーニング、
★スーパーエコロジーリサイクル、
永久機関、魔獣解体、★サンダースピア、★急所突き、
★ホーリーランス光の槍、★槍突撃(中)、★槍投擲(中)、★聖剣、
★ビーストダッシュ、★ビーストジャンプ、★アイアンパンチ
★空間魔法「テレ・ダンジョン、テレ・フィールド」
<パッシブ>
節約レベルアップ(大)、省エネ(大)、コレクターボックス、★状態異常無効、
★無詠唱、★剛力(大)、★回避上昇(大)、★防御力上昇(大)、★素早さ上昇(大)、
★知力上昇(大)、★クリティカル発生(大)、★スキルコンボ(4)、
★聖剣を抜く権利(有効)
*装備
頭 黒竜革の帽子
手 黒竜革のグローブ
胴体 黒竜革のジャケット
足 黒竜革のブーツ+靴底(エゾキングオオヤモリの足裏革)
盾 黒竜革の丸盾
武器1 オリハルコンの槍(摩擦低減)
武器2 オリハルコンの脇差(火属性)
その他 ダマスカスのバタフライナイフ、予備の槍数本
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第二部まで飽きずに読んでくれた人ありがとうございました。
これからもシクヨロ。




