訓練生ヤシロとレベルアップ
第58部分 訓練生ヤシロとレベルアップ
冒険者ギルドが開店するタイミングで受付に行き、槍兵の訓練を申し込んだ。
槍兵は当日でも大丈夫だったな。前日に予約しないと教官がいない場合も多い。
「ヤシロ、訓練を受けられるって。よかったな」と俺、
「はい良かったです」とヤシロ、
中庭に移動するとイケメンのパラディンが後からやってきて訓練が始まった。
「じゃあなヤシロ、ガンバレよ。この金で昼飯もキチンと食えよ」
ヤシロに銀貨5枚を渡しておく。
イケメンのパラディンにデレデレしているヤシロと別れ、俺たちは水源の森に行きレベルアップすることにした。
「ベン、ダンジョンも60階になると厳しいな、特にあいつBランクの半透明でパタパタする魔獣、あいつが面倒くさい」
俺たち、姑息な手でブラックドラゴンを倒し、Aランクの冒険者になったが、実質Bランクぐらいの実力だった。
「ビッグクリオネールだろ、触手と毒が油断できん」とベン、
ダンジョンでは、基本的に敵をあまり避けられない、なぜなら避けていると2方向からハサミ討ちにされてしまうからだ。
それに、面倒な敵と遭遇した場合でも戦うことになるから、戦闘が長引いてしまい、その音を聞いた魔獣が集まってくることもあって危険だった。
または、安全に50階層ぐらいでCランクと戦うのも悪くないが、それだと水源の森で魔獣狩りをした方が効率良くなる。面倒な敵を避けてガンガン狩れるからだ。
俺たちの目的はレベルアップであって、強い敵と戦う為では無い。時々手応えのある敵と戦う為にダンジョンに潜るのも悪くは無いが、その程度だ。
たまにはジーナも魔獣狩りがしたいと言うので連れてきた。今日のパーティは6人、
昼飯の材料と野外料理の道具も準備した。腹が減るとみんなイライラして狩りの効率が落ちるからだ。
ユリのLV30が近い、あともう一息だな。最上級職とレベルの高い者はやはりレベルアップのスピードが落ちるようだ。これは現実世界で俺が遊んだゲームと同じだな。
①ベン ドラゴンベイン LV22
②スザンナ マイスター LV5
③ミチル ジャンクヒーロー LV45
④ジーナ メイド長 LV20
⑤ユリ 魔道士 LV25
⑥レン シノビ LV22
「レン、簡単なレッサードラゴンでも狩って、お金も稼ぎつつレベルを上げよう、索敵よろしく」と俺、レンに魔獣を探してもらう。
「後ろ200mぐらいにいるニャンね」とレン、
「ではそいつからだな」
「レン、ドラゴンの目を潰してくれ、次は私が尻尾を切る、スザンナは足は切ってくれ、ではヤロウ」とベン、戦闘リーダーのベンが指示する。
「先に行くニャンね」とレンが、走って先制攻撃をしに行った。
「私たちも行くぞ」とベン、
俺たちも魔獣に向かって走る。おっ見えてきた。普通のレッサードラゴンだな。大きさも色も普通だ。
レンが弓を引くのが見えた。魔法矢を使うようだ。”ギンッ”と言う音と共に光の矢がドラゴンめがけて飛んで行く、次の魔法矢をもう打つ準備をしている。
ドラゴンの片目が潰れた”ギギッギシュー”と魔獣が吠えた。
再び”ギンッ”と言う音がして、もう片方の目を潰すと、ベンとスザンナが魔獣の後ろに回り込んで行ったのが見えた。
俺も準備するか、魔獣の右に回り込んで、盾を背中にカチリと固定すると両手で槍を構えた。ドラゴンに隙が出来たら1つめの心臓を突いてやるつもりだ。
「おりゃ”ズン”」とベンが高く飛び、光の剣を振り下ろした。レッサードラゴンの尻尾が切り離されて、尻尾だけがウネウネ動いている。
「”なぎ倒し”」とスザンナの声が聞こえ、後ろ足の1つが切り離された。
今だ、前足の後ろ側で革が白い部分をめがけ槍を深く突き刺した。
俺の槍には摩擦軽減のスキルカードを結合しているので、より深く突き刺さる。
”ギュエー”と魔獣が叫ぶ、
「”ファイヤボール”」とユリの声、魔獣の口にファイヤボールが当たった。
おしいな、ファイヤボールは口の中で爆発すると効果が高い。
「”麻痺攻撃”」とジーナがスキルを起動し、ショートサーベルを俺とほぼ同じ場所に突き刺した。
するとドラゴンが硬直した。
「チャンスだ、一気に攻めろ」とベンの声、
俺は反対側に回り込み、もう一つの心臓に突き刺そうと槍を構えたところ、
「”真空兜割”」と上の方からベンの声がし、”ゴギン”と言う音と共に、レッサードラゴンの首が切り離された。
「なんだ先を越されたか」と俺、
首をなくしたレッサードラゴンがピクピク動くとドサッと倒れた。
「ジーナ、麻痺攻撃が効いたな」
「はい、たまに効きます」とジーナ、
「魔獣解体と素材の回収を頼む」
「はい、”魔獣解体””アイテムボックスオープン”」とジーナ、ジーナも魔獣解体のスキルが使える。ボックス持ちだから素材も収納できて俺の仕事が減るな。
「レン、次だ索敵を頼む」
俺たちは、それから20体くらいの魔獣を狩り、昼飯を取ることにした。
安全な場所まで移動すると、
「昼飯の準備だ、ジーナ、レン、手伝ってくれ」と2人に声をかけた。
「俺は、火を起こす。肉とか野菜の準備してくれ」
「肉食べるニャン、肉」とレン、
「私、野菜を切りますね」とジーナ、
ベンと、スザンナは倒木で丸太の椅子みたいな物を作り、俺が火を起こした場所に大きな石を運んできた。
俺は、アイテムボックスから鉄板を出して、その上に乗せると、そこに油を垂らす。
「今日は簡単なバーベーキュだ、食べよう」と俺、
ジーナが肉や野菜を鉄板の上に並べると、みんな食べ始めた。
「うんうん、美味しいですね。なんですかこのタレ」とスザンナ、
「それか、俺がこないだ回収した荷物の中に入っていた醤油と言う物で作ったタレだ」
「塩よりも濃厚な味です。これは良いです」
「これは、アリだな。美味い」とベン、
「醤油味は久しぶりです」とユリ、ユリは俺と同じ現代からタイムスリップしてきている女の子だから、醤油味が懐かしいんだろうな。
俺は肉と野菜を交互に食べる派だ。
うんうん美味い、米が有ればなあ、米が喰いたいと思った。替わりにパンを焼くことにする。
「あっ、私にもパンください」とスザンナ、
パンを渡す。
「他にパン食べる人いる?」と聞くが、俺とスザンナ以外はみんな肉ばかり食ってる。
「肉、肉ですニャ」とレン、お前は本当に肉が好きだな。
「俺もう、腹一杯だから、この辺散歩してくるな」と俺、立ち上がると周囲を散策した。
この辺は魔獣があまりいない場所なので安全だ。まあ弱い雑魚は出てくるが、簡単に倒せるし、仲間の所まで走って逃げれば良い。
水源の森には川が何本か流れていて、その水は直接飲めるほど綺麗だ。川に近づき手ですくうと口に入れて飲んだ。クハー冷たくて美味いな。肉を食べた後の口がすっきりした。
倒木を避けながら散策していると”ブーン、ブブブ、プーン”と言う音が聞こえた。
これは、もしかして”蜂の巣”か、どこにある。
辺りを見渡し、音のする方向に近づき、蜂の巣の場所を探す。
有った、あれだ、倒木の空洞部分に大きなミツバチの巣が見えた。これは生ハチミツを食べるチャンスだ。
でも一人じゃ無理だ。作戦も必要だ、みんなの所に戻ろう。
”キャッキャ、ギャハハハ”と肉を食べながら騒いでいる女達の所に戻ってきた、
「向こうで大きな蜂の巣を見つけた、レン、採り方を知っているか?」
「ミツバチの巣は気合いだニャア、つかんで、逃げるニャアよ」とレン、
「それは、作戦でも何でも無い」と俺、
「ヒュームが枝の束でたいまつを作り、煙で蜂を弱らせてから蜂の巣を採っていたのを見たことがあるぞ」とベン、
「それだ!、その方法だよ」と俺、
そこら辺に落ちている、乾燥している枝と生乾きの枝を集めてたいまつみたいな物を作り、それで蜂を追い払い弱らせる。その隙に足の速いレンが一気に蜂の巣を回収で良いな。
アイテムボックスにフタ付のバケツが入っていたはずだ。
「よし、作戦はこうだ、俺が蜂を煙りで追っ払い、弱らせる。
レンがこのバケツに蜂の巣を回収する。レン、ナイフで切り取ってくれ、少し残せば、また取りに来れる。そして回収できたらユリのテレポートで少し離れたところに全員で逃げよう」
「ハチミツが取れたら、美味いパンケーキを作ってやろう、美味いぞ」と俺、
「パンケーキだと、ヤロウ」とベン、
「ホットケーキは大好きです」とユリ、
「何です、パンケーキって」とスザンナ、
「私も食べたことありません」とジーナ、
「ハチミツ甘くて美味しい、高く売れるニャン、これ狩人の常識ニャ、回収するニャンね」とレン、
俺は鉄板などを”クリーニング”スキルで綺麗にし、後片付けを終わらせると、たいまつを作り、火を付けた。
ハチミツ回収作戦の始まりだ。
「レン、スピードが命だ、合図したら一気にやってくれ素速くな」と俺、
「了解にゃん、”色即是空”も使うニャンよ」とレン、
「始めるぞ!!」と俺、
たいまつ2本に青いツタを巻き付け、煙をモクモクと出すと、蜂の巣に近づき1本を蜂の巣の下に置き。もう1本で周りを煙で燻した。ハチの動きが弱まり、地面に落ちてもがいている。
「レン今だ!」
「”色即是空”」とレンがスキルを起動したところで、たいまつ2本を回収して火を消した。レンが素速く、蜂の巣を切り取り、バケツに入れると走ってユリの所まで戻ってきた。
「”テレ・フィールド”」とユリがテレポートした。
レンが回収した蜂の巣を見てみる。
ハチミツがたっぷりで、これは美味しそうだ。たしかこの透明な部分はハチ蝋と言うもので蝋燭やワックスの原料にもなるはずだ。少し指ですくってなめてみる。
「濃い味だ、とても甘い、花の香りもほんのりとした。これは良いハチミツだ」
みんなも指ですくって舐めている。
「まるでお菓子みたいに甘いです」とジーナ、
「帰りに小麦粉と卵、牛乳を買って帰ろう、今日のデザートはパンケーキだ」と俺、
ハチを取り除き、バケツに蓋をしてから、アイテムボックスに蜂の巣をしまった。
「魔獣狩りを再開しよう」と俺、
「レン、索敵を頼む」
「はいニャ」とレン、
それから俺たちはレッサードラゴンばかりを狙って、20体ほど、魔獣を狩った。
レベルも若干上がり、ユリはレベル30にさらに近づいた、あと一回レベルアップにくれば、ユリは大魔道士のクエスと開始だ。後はヤシロでも育てるだけだ。
①ベン ドラゴンベイン LV25
②スザンナ マイスター LV8
③ミチル ジャンクヒーロー LV47
④ジーナ メイド長 LV24
⑤ユリ 魔道士 LV28
⑥レン シノビ LV25
冒険者ギルドに入ると、中庭でまだヤシロが訓練を受けていた、ヤシロが泥だらけで汗を流している。真剣にやっているな。よしよし。
窓口に行き、レッサードラゴンの素材を大量に売った。金貨300枚くらいになった。まあまあだな。レッサードラゴンの革は、竜革として装備や、日用品、バッグなどの素材になるので、幾ら売っても値崩れしないし、高値で売れる。この町で消費できない素材は他の町に運ばれているのだろう。
「ハア、ハア、訓練終わりました」とヤシロ、相当疲れているようだ。
「大丈夫か?これの飲め」と俺、ポーションを渡した。
「ありがとうございます”ゴクゴク”」とヤシロ、汗まみれの美少女がポーションをゴクゴク飲むのはイイ、と思った。ポーションを持った手から血が出ている。
「ヤシロ、マメを潰したな、どれ俺に見せてみろ」と俺、
「槍とか、あまり慣れていなくて」とヤシロ、俺に両手を見せた。これは、ずいぶんやったな。”マルチリペア”とスキルを使い、治療した。
「な、なんですか今のそれ。怪我が治ってます」とヤシロ、
「俺のスキルだ、なんでも治療できるんだ」
「わわわ、すごいです」とヤシロ、自分の手と俺を交互に見ている。
「内緒にな」と俺、
「分かりました」
冒険者ギルドでポーションを買うんだったな。
サッ”ゴールドの冒険者カード”を取り出し会計で見せる。
”俺、ゴールドだから”をアピールしておく。
「ゴールド会員様は20%引きになります」と店員、
これが唯一のメリットだな。20%引きになったポーション1ケースとハイポーションクリーム3個、特大サイズポーションを2本購入した。
「ヤシロ、ポーションのクリーム渡しておく、さっきみたいにマメを潰したら我慢しないでこれを塗っておけ、直ぐ治るから」と俺、
「こんな高価な物、ありがとうございます」とヤシロ、
うんうん、お前は素直で可愛いやつだな。
泥だらけの装備も綺麗にしてやる”クリーニング”とスキルで、ヤシロの泥を落とした。
「なんです、魔法ですか?すごく綺麗になっています。すごいです」とヤシロ、
「それも、おれのスキルだ、便利だろ」と俺、
「ミチルさん、ミチルは攻撃スキルはどんな物を持っているんですか」とヤシロ、
「俺は、攻撃スキルは1つも持っていない」と俺、言い切った。
「えっ」とヤシロ、驚いている。そんなに以外なのか。
「では、ミチルはどうやって戦っているんですか?」
「そうだな、主に気合いかな。技と気合い、あとレベルアップでのステータス向上でどうにかなっている」
「技ですか」とヤシロ、
「ジョブやレベルも重要だが、ある程度レベルが上がると、ジョブの上限値があるみたいでステータスも伸びなくなる。なのでジョブやレベルは目安でしか無くなる。本当の強さを得たいのなら技を磨くことだな。武人の男爵も言っていたが、日々繰り返す鍛錬が重要だ。同じ事を繰り返しても意味あるのかなと思う時もあるが、魔獣から攻撃を受けた時、体が反射的にスッと動いて、攻撃を弾いたり、かわせた事が何回かあった。無意識の動作だ、あのような動きができたのは、日々の鍛錬の成果なんだと思う。ヤシロも鍛錬を繰り返し技を磨くことだ、そうすれば強くなれて勇者のパーティに入ることも可能になる」と俺、
「そうなんですね、わたくしガンバリます」とヤシロ
食材を買い、家にテレポートして帰る。
ジーナが夕食の準備をしている近くのテーブルで、ハチの巣を取り出した。
”エコロジーリサイクル”とスキルを使うと、ハチミツ、ハチ蝋、不純物(枝)に分離できた、ハチミツを瓶につめると瓶2本分にしかならなかった。
「案外、量が少ないなあ」と俺、
「食材屋で見たことありますが、それ1本で金貨1枚くらいしますよ、高級品です」とジーナ、
「へえ、そんな価格で売っているんだ」
木のボールに小麦粉と卵、牛乳を入れてかき混ぜる。携帯端末で一応レシピを確認したが、バニラビーンズなんて無いから、これで良いだろう。
フライパンで焼いてみる、薪の火の温度調整がむずかしいな。
「ジーナ、弱火と言うか、温度下げたい時どうするんだ?」
「フライパンを火から少しずらすんです」
なるほど、こうか。これで弱火になるんだな。パンケーキは弱火でなければ上手に焼けないからな。クレープ屋で同僚のやかましい女子高生と喧嘩しながらバイトした経験が生きるぜ。
問題なく、パンケーキができた。10枚ほど焼くと俺の料理が完了だ。
ジーナの食事の準備も終わり、みんなを呼ぶ。
「夕飯食べるぞー、食事!!」と大声で言うと、ゾロゾロ集まってきた。
みんなで食事を食べ終え、デザートとなった。
「一人1枚な」と言いながらパンケーキを配り、ハチミツをスプーンですくい、パンケーキにたらした。
「こ、これは何ですか初めて食べます」とスザンナ、
「まあ、簡単なケーキみたいな物だ食べてくれ」と俺、
みんなで食べ始める。
おお、これは美味い、久しぶりにこんな濃い甘さの物を食べた気がする。
「始めて食べました、甘くておいしいです」とスザンナ、
「これは、とてもおいしいです。お婆ちゃんにも食べさせてあげたいな」とヤシロ、
「こんな物なら、いつでも食べられる。明日も食べよう」と俺、
「これはうまい」とベン、
「あまいニャア」とレン、
「ホットケーキです。美味しいです」とユリ、
「こりゃ良い、採れたてのハチミツじゃな、花の香りがのこっておるわ」とユパン、
みんなでデザートを食べ終えた。
「みんな聞いてくれ、もう少しでユリがレベル30になる、大魔道士のクエストを始めることになるから明日は休みとする。そこで報酬を渡そう、一人金貨20枚だ。ヤシロは入ったばかりだけど、必要な物もあるだろうだから金貨10枚な、ユパン様もここに住んでいるとお金は必要でしょうから金貨20枚お渡しします。必要な物を購入してください」と俺、全員に報酬を配った。
お金を配るとみんな喜ぶ。そして俺も嬉しくなる。
「みんな、それは小遣いではない。働いた分の報酬だ、無駄遣いはしないようにな。使わないお金は冒険者ギルドで預金できるから貯めておくこと。一生この家で暮らすわけでもないから貯蓄はたいせつなんだぞ」と俺、
「一生住んではダメなんですか?」とスザンナ、
「住んでも良いけど、例えば、スザンナだと自分の工房付のお店を持つとか、ベンだと独立して自分の屋敷を持つとか考えないのか?、お金を貯めて叶う夢もあるぞ」
「自分の武器屋かあ、いいなあそれ。自分で作った装備を売れます」とスザンナ、
「屋敷かあ、剣のコレクションを壁一杯に飾りたいな」とベン、
「わたしは、ココでいいニャンね。快適だし、仕事も御飯もある。昼寝もしほうだいニャ」とレン、
昼寝しほうだいはレンだけだけどな。
「まあ、お金は報酬として渡しているから自由につかって良い。でも、俺たちは種族が違っても所詮生き物だ。いつまでも若くは無い、ジジイやババアになっても魔獣と戦えるのはユパン様くらいだ。将来のことも少し考えた方が良いよな」
「そうニャンな、ドワーフやエルフは寿命が長いけど、猫耳族は、ヒュームとほとんど同じニャンからすぐババアに成るニャンよ」とレン、レンも理解できたようだ。
「まあ、おちついてきたばかりで、毎日忙しくしているから先のことが見えなくなることもある。少し先の事も考えておく良い、と言うことだ。では俺は風呂に入る」と俺、風呂に入ることにした。
みんなには偉そーには言ったものの、俺自身の将来って何なんだ。
大学は休学してきた。とりあえず現代に帰って復学するのか?
そして三流の会社に就職か?
以前はそんなことも考えていたが、なんか全然違う気がしてきた。
まったくやる気がしない。
これは、お金を得たからだろうか、今のグループを作りまとめて、私兵のような集団を統率しているからか?
普通に就職するなんてすごく無意味に感じてきた。
「俺は何がしたいんだっけ」と言ってみた。そのままベッドで目を閉じた。
朝目覚めると、庭で物音がした。カーテンを開けて庭を見ると、アレックスとユパンが今日は休みのハズなのに訓練している。
庭の反対側にはヤシロだ、鞘を付けた槍で型の稽古をしている。
ベンが玄関から木剣を持って出てきて、ヤシロの横で素振りをしながら、ヤシロを指導し始めた。
キッチンから物音がする、ジーナが朝食の準備をし始めたみたいだ。
俺も、服を着ることにする。
庭に出て、ユパンに話しかけた。
「ユパン様、アレックスどうですか?」
「うーん、まあまあ形になってきたのう、始めるのがもう少し早ければのう」とヤシロを見ながら言った。ヤシロは13歳、アレックスは29歳で子供もいる。
「まあ、アレックスは良い根性しておるのう」とユパン、
「拳聖に成れますか?」と俺、
「ワシとの、手合わせ次第じゃ」とユパン、
やっぱりそうか、そこで判断するのか。
「そうですか、ユパン様から見てあそこにいるヤシロはどうですか、体も小さいですが武人に成れますかね」
ユパンがヤシロをじっと見る。
「あいつは、化けるな。このまま訓練を続ければ、そこそこ強くなるじゃろ。あいつの先祖のスコットも体は小さかった。体の大きさなんてさほど問題ではない」とユパン、
よかった。
俺から見てもヤシロは頑張り屋だし、ここ二、三日でグングン実力も上がっているように見える。
槍兵からロイヤルガードにクラスアップできれば、かなり戦えるようになると感じた。
「ところで、ミチルどの昨晩、大魔道士のクエストを始めると言っておったが、ユリが望んでのことじゃろか?」
「いえ、私たちのパーティの目的の為、ユリには大魔道士に成って貰う必要があるのです」
「ユリは何歳じゃ、10歳くらいに見えるが、その歳で精霊と時空の試練を受けるのかえ、大丈夫じゃろか」とユパン、心配そうな顔だ。
「ユパン様、賢者の祠には何があるんですか?、精霊と時空の試練とはなんでしょうか?」
「わしが大魔道士から聞いた話じゃが、人生最大の試練とのこと、悪夢の中、何回も自分と戦ったと聞いた。魔法力と精神力が試される場所らしい、5人入り、出てくるのは3人、その3人に一人は頭がイカレルとのこと、注意して望むことじゃな」
「なにか、事前に準備できることはないのでしょうか?」と俺、
「うむ、わしが教えられることは瞑想じゃな、過去の自分を認め、許し、克服することができる。自分を第三の目から冷静に観察できるようになるぞ、おのずと精神力は高まる。そうじゃな、2週間ほどで効果はあるぞ」
「ユパン様、ユリに瞑想を教えてください。よろしくお願いします」
「ユリみずから、判断させ、わしに頼むよう言ってくれ、自分から望まずには瞑想の力をえることはできないじゃろう」
「分かりました、ユリには言っておきます」
「それに、あのユリと言う子供じゃが、わしも少し気になっておる。なんじゃろな、あの心を閉ざしているような感じは。冷たくて寂しく、飢えている餓狼のような目をする時があると思えば、子供のような目をしている時もある。昔わしもあのような弟子を持った事があるんじゃが、」とユパン、悲しい顔をした。
「その弟子は、どうなったのですか」
「頭がおかしくなって、罪の無い人を何人も殺した。そして、わしが自らそやつを成敗した」
「そうですか、そんかことが」
「瞑想は万能ではない、己の弱さを見つめることもできる。少しばかり手助けになればよいな」
「分かりました、ユパン様ありがとうございます。ユリとは一度よく話しをしておきます。瞑想の件はよろしくお願いします」
そう言えば、レンを見ないな。
そうだ、あいつは休日は昼まで寝ていて、起きて昼飯を食べると昼寝を始め、夕飯まで寝ているやつだった。
あいつの将来が少し不安だ。




